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女将の台所

入り口の大きな看板を見上げながら中に入ると、真正面にカウンター。その向こうに若い女の子の店員。

つまり女将というのは彼女のことなのでしょう。ずいぶん若い女将なんですね、と聞くと、どうやら日替わりでアルバイトの女の子が「女将」をやっているとのこと。

可愛い女の子を前にお話相手をしてもらえて二千円で飲み放題と数品の肴。これはよいですな。よいシステムですな。

カウンターの隅のテレビでは雪の少ない北海道の映像が。今年は三十数年ぶりに積雪がこの時期10センチ未満だとか。

その昔、初期型のジムニーシエラ(JB31)に乗っていた頃に、当時のガールフレンドと小樽までドライブに出かけることになって。
わりとスタイルが良くて足が長かった彼女にとっては、シートがたちの悪い冗談のように全く下がらない初期型ジムニーの座席は相当きつかったようで、信号で停車するたびにごっつんごっつんと膝がダッシュボードにぶつかる音がして。

「・・・電車でひとりで帰る」と言いだした彼女を駅まで送り、悪路も雪道もなんなく走破してくれる頼もしい相棒である愛車のシエラと、悔し涙を拭きながら「俺をわかってくれるのはお前だけだ」と雪の札樽道を札幌まで帰ってきたことが「走る現場事務所」などと揶揄された初期型ジムニーの、私の個人的な記憶。

今非常に人気らしい新型のジムニーはきっと居住性もアップしてて、女の子を乗せてもなんら問題ない素敵な仕様になってるんでしょうなぁ・・・。

なんて、飛び込んだ最終バスの座席に、窮屈そうに足を折り曲げて座るスラリとしたモデル体型黒髪ロングの女子高校生らしき女の子の姿を見て若き日のほろ苦い思い出を回想するのでした。

ところで、すだち酒って日本酒なんですか?

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