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ビーフィーター

夕方広島駅を降りて、ちょっと他所者には難しい乗車システムの路面電車に乗り、おそらくは繁華街と思われる「ハッチョウボリ」という電停で降りる。



そこからまだお店が開く前の飲み屋街をぺたぺたと歩き回る。

基本的に碁盤の目のように南北東西に交差する道がすごくわかりやすい。
自分がどっちの方向をむいて歩いているかさえ把握していれば基本的に迷うことのない街だ。

あたりがやや暗くなるたそがれ時には、どうやら八丁堀から南、流川とか、新天地とか胡町といったところが呑助にとって面白そうな匂いがするということを、実際に足で歩いた感覚でつかんだ。

こういうのはやはりネットの情報とかで聞いたのとはちがって自分の目で見て肌で感じた感覚が大事。

銀山町(かなやまちょう)とか胡町(えびすまち)とか、あと廿日市(はつかいち)とか、ちょっと(余所者)には読めん地名ばかりでハードルが高い。


そんなことを考えながら、繁華街のメインストリートからちょいとだけ外れた通りにて目についたバーにふらりと入ってカウンターに腰を下ろす。


「一杯目は何にしますか?」
とおしゃれな髭のバーテンダーさんが言うので
ジントニックを、
と答えたら
「ジンの銘柄は何にしましょう?」と。

そら来た。ちょいとしゃれたバーではジントニックひとつお気楽にはオーダーさせてくれないのである。

んー、じゃあビーフィーターで、と変にカッコつけずに無難にその場をやりすごそうとしたのに、なんと髭のバーテンダーさん、苦笑い気味に
「ビーフィーターはちょっと・・・・うちでは置いてないんですよ」
などと言うから、お、そーきたか、とボタニストをオーダー。


ボタニスト


ボタニストのジントニック



「ビーフィーターは、正直どこでも飲めるじゃないですか。言ってみれば居酒屋の飲み放題で使うお酒なので、うちでは置いてないんですよ」だと。

まあ言いたいことはわからないでもないけどねえ、それってやや偏見だし、ちょいと色々な意味で問題発言のような気もするがねぇ。まあいいんだけどね。

これがあの、旅の風下に立ったことはいっぺんも無いんで、という奴なのか。


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