見出し画像

まほろ町の焼き鳥屋

映画「まほろ町多田便利軒」

大森監督の映像美、とくに照明の使い方が非常に美しかった。
原作もそうだけれど、この町田を実際以上に美しく魅力的に見せることに成功していたように思える。

この年の初めにこの映画版と同じ主人公二人のキャスティングでテレビドラマをやるらしいとは聞いていたが、春先に実際に自分がいつも行っている焼き鳥屋でロケをやっていたのを目撃したのにはびっくりした。


この焼き鳥屋、上京してきた日の夜から足繁く通い詰めているが、焼き鳥がまあまあ美味しいのに加え、ポテサラの上からドバドバとウスターソースをかけて出してきたり、椅子にガムがついたままになっていたり、冬になると破れかけた表の扉から冷たい風が吹き込んできたり、なかなかいろんな意味で味のある店だった。


いつも元気なアルバイトの女の子が感じのいい良い子だったので、彼女が前の晩にTSUTAYAで借りてきた「ユージュアル・サスペクツ」を見たと言う話に乗って
「カイザー・ソゼ!カイザー・ソゼ!」などと言ってみるがポカンとされて通じず。

あれ?

あ、彼氏と一緒に見てたんで、途中からなんかいい雰囲気になってですね、ゴニョゴニョ。
なるほどね。若いもんね。

でもね、年甲斐もなく若い女の子と張り合うようですが、オイラだって10年前は90分で3回できたりしたんだぜ、と胸を張ったら、それならアタシは前の前の彼とご休憩で9回して帰り道歩けなくなったことがあります、と言われて完敗。轟沈。


まほろ町の話。

ここ町田に住む者にとっては件の映画の原作、三浦しをんさんのすべての描写がふふ、と思わずニヤついてしまうほど馴染みの深いもので嬉しくなってしまう。



JRの構内を通って駅裏へ抜ける、なんて書いてあると、その意味するところをやはりすぐわかってしまうものね。

仲見世通り商店街の雰囲気が大好きで、あの街並みがいちばん落ち着く場所だったのだけれど、雨の日はトタンにバラバラと叩きつける雨音を聞きながら屋台で飲んだりして、きっとこの場所は何年も、いや何十年もこのままだったんだろうなぁという感慨にふけってしまう。


まほろ町、町田大好き。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?