令和4酒造年度全国新酒鑑評会 製造技術研究会 杜氏ver.

こんにちは。石井酒造杜氏の中束です。
令和4酒造年度全国新酒鑑評会 製造技術研究会に参加してきました。
今回で111回目の全国新酒鑑評会は、独立行政法人酒類総合研究所と日本酒造組合中央会が共催して行われています。

場所は広島県東広島市にあります東広島運動公園内にある体育館で行われます。全国から蔵元や杜氏が集まる酒造関係者のみの研究会です。
普段お会いすることない他県の清酒製造の方々とお会いできる機会でもあります。今期の造りの感想や愚痴を言い合える貴重な場(笑)でもあります。

現在、様々な品評会やコンクールがありますが、全国新酒鑑評会は蔵元、杜氏が結果に一喜一憂される特別な鑑評会だと思います。
私自身、醸している最中はそこまで意識しないようにしていますが、結果が出る頃は今期の製造も終わり、片付けもひと段落している時期なので発表日間際は製造中より緊張感のある日々を過ごしております(胃が痛い……)

それぞれの蔵元の考え方もあるので一概には言えませんが、鑑評会のお酒は特別のものだと私は考えています。
全国新酒鑑評会で良い結果を目指し、品質を向上させ、傾向と対策ができる製造技術をもっているかが問われる場だと考えています。
弊社では数年前から純米大吟醸で出品を行っています。私はこの会社で杜氏となり今期で3期目です。
昨年は入賞という結果をいただき、今年こそ金賞が欲しい、☆マークが欲しい(注 金賞酒は入賞酒目録に☆マークがつきます)と意気込んていましたが…。

今期は前期と同じ入賞を取ることが出来ましたがやはり金賞の壁は高いなぁと感じています。

製造技術研究会では全国から出品された818点すべての利き酒が可能です。すべての利き酒をすることは体力的にも苦しいので、ある程度は目的を持って利き酒していきます。
食事をすると味覚に影響があるという説もあるそうなので極力、食事を控えるようにしました(利き酒中はお腹の鳴りが止まりませんでしたが…照)。また苦味や渋みを敏感に感じたかったので飲み物にも気を付けて当日を臨みました。

私の場合は金賞酒と入賞酒を積極的に利き酒するようにしています。金賞と入賞の違いを自分の脳みそにインプットさせるような感覚で利き酒します。
また純米に関しては賞に関係なく全て利き酒しました。ちなみに純米の出品は昨年より22場増えたそうです。
純米はアルコール添加の出品酒より熟成が早いと思っています。そのため現状の酒質を利いて、どのように香りが変化したか、後に残る余韻に不快感はないかなど、自分の思考の中でリストを作成して永延と利き酒を行います。
他県他社様の出品酒を聞ける機会はこの研究会と日本酒フェアしかありませんので本当にこのような研究会は貴重です。(日本酒フェアは金賞酒と入賞酒のみ)

味覚は経験だと私は考えています。未知の味覚は表現することも実現することも不可能だと考えます。ですので、このような場で利き酒させていただく機会をいただいた会社には感謝しかありません。
今回の経験を活かし、お客様に喜んでもらえるお酒を造れるよう日々精進いたします。  杜氏 中束

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