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13th #ぼくてつカフェ「ヒーローって?」の簡単なレポート

13回目の #ぼくてつカフェ (オンライン哲学カフェ)をZoomで開催しました。オープン1周年記念イベントとして、通常回とは少し趣向を変え、『僕らの世界を作りかえる哲学の授業』(土屋陽介著/青春出版社/通称「ぼくてつ」)に掲載された「哲学対話の授業」のようすを、Zoom上でなぞってみる!という試みでもありました。

開催概要)
■日時:2021年7月31日(土)13:00~15:00
■テーマ:「ヒーロー」って?
進行:土屋陽介さん
場所:Zoomにて開催
参加費:無料
定員:25名

アンパンマン、ウルトラマン、仮面ライダーなどなど……「ヒーロー」という存在は、どうして多くの人の注目を集めるのだろう?
そういえば、大リーグでホームラン量産中の大谷翔平選手は、現地で「スーパーヒーロー」[※2,3]と呼ばれているらしい。また、今回の哲学カフェ開催日(7月31日)は、東京オリンピックがひらかれている真っ最中。新たな「ヒーロー」が生まれているかもしれない。
私たち観客はどうして選手らを応援し、活躍を期待するのだろう? そしてなぜ、実際に活躍した姿(または涙した姿などの場合も)を目にすると興奮したり感動したりするのだろう? そもそも「ヒーロー」って? といったことを当日集まったみんなで考えてみたいです。

※2=参考:Ohtani might just be a real-life superhero | MLB
※3=参考:大谷翔平は「マーベルのスーパーヒーロー」 米メディアは前半戦MVPに選出 | Full-count

Peatixで参加募集しました⇒ https://bokutetsu13.peatix.com/

当日)
13:00スタート。申込者18名⇒参加者16名(初参加5名)。ルール説明&「初代アンパンマン」の要点などを土屋さんが読み上げたあと、「ヒーローって?」というテーマで問い出し。

問い出し一覧)
①ヒーローは、誰のために戦っているのか?
②戦わないヒーローは存在するのか?
③人並外れたものがないとヒーローといえないのか?
④ヒーローとは人々にとってどんな存在なのか?
⑤ヒーローのヒーロー性とはなにか?
⑥ヒーローの条件とはなにか?
⑦ヒーローはどこにいるのか?
⑧ヒーローを必要としない世の中のほうがよい世の中か?
⑨自分の命を犠牲にして人を助けることは本当によいことか?
⑩一緒に悩んでくれる人がヒーローであるのか?

問い出し後、「似ている問いは合体させよう」ということで②+④+⑤+⑥を合体。今日話したい問いについて、それぞれ数分間考える。

多数決をとり、本日の問いは【②戦わないヒーローは存在するのか?+④ヒーローとは人々にとってどんな存在なのか?+⑤ヒーローのヒーロー性とはなにか?+⑥ヒーローの条件とはなにか?】に決定。(ここまでで約55分。小休憩を挟んで再開)

議論の流れ)
15:00までの約1時間、いろんな意見を交わしました。今回もざっくりメモになりますが…最初に【ヒーローには類型があり、おもに3パターン(①感動を与える人、②平和を脅かすものをやっつける人、③身近なヒーロー)に分かれると思うと挙げてくれた方がいて、そこから細分化して【それぞれの価値やランクはどう決まる?ブサイクなヒーローは価値が低い?】【正しさとヒーローは切り離せる?】などの議論を経つつ【ヒーローって言葉はあまりに多義的。今日は広い範囲を議論する?それとも世間一般の多くの人が認めるヒーローについて考える?】と提案があったものの【世間一般とか社会的といっても、しぼり方がむずかしい。ヒーロー性は知名度によるものなのか?】ということで多義的なまま(というか「独立的なものの集合体」といった状態のまま)議論は続き、また別の視点【ヒーローの条件は行為or人格どっち?】も加わり【世の価値観によって変わる?】【ヒーローって言葉がなかったら何をもってヒーローと言う?】【ヒーローは職業ではないか?日常からかけ離れた変身モード】【100%献身的でないとダメ?】【物理的or精神的に救ってもらいたい、助けてもらいたい、という点が共通する】【全人格でヒーローでいるのは難しく、どこか一部を物語として切り取るからヒーローになる】【一瞬だけのヒーローと永続的なヒーローがいる】【すべてのヒーローは「作られている」?】などなどの論点が出てきました。最後の〆に土屋さんからプチ哲学講義があり、哲学者ロバート・ノージックの「経験マシン」や哲学者ピーター・シンガーの「効果的な利他主義」の話が出ました。

終了後)
7~8名が「廊下」に残り、ふりかえりや雑談など(今回は本編から引き続きヒーローについて考える時間が主だったかも。【自分にとってのヒーローって誰?】って話題など)約2時間半。おつかれさまでした。

感想&余談)

あとで気づいたけど #ぼくてつカフェ のテーマ設定を名詞(かつ外来語)にしたのは今回が初めてだった。そのせいか、ここ数回の議論とはまた違う展開になった気がした。
「自衛隊(災害派遣)」とか「医療従事者」というのは、肩書きそのものにヒーロー性がありそう。その一方で「物語性」とそれを読み解く力も重要で、「人を助けた」「ホームランを何度も打った」などといった特定の「行為」のどこにヒーロー性があるのかを読む力がないと、「私はこの人に(精神的or物理的に)救われた!」と感じることができない(ヒーローと呼べない)のかなあと思った。
たとえば「ホームランを何度も打った」という「行為」にはメディアによって「学生時代から目標設定シートを書いてメジャーリーグを志向していた」[※4]「試合中にグラウンドのゴミ拾いをしている」[※5]などの「物語性」が加えられるけど、それをどう解釈するかは読み手(読解力や思考のクセなど)に左右される。「すごい!」と感動が増す人もいれば「へー」って思うだけの人もいるだろう。
私はスポーツの読解力がほぼゼロのせいで、後者(「へー」って思うだけ)なのだけど、いつか「すごい!」と感動できる日は来るのだろうか(余談だが小中学生のころはスポーツ好きでJリーグや高校サッカーに熱中した時期もあった。応援してたチームが決勝で負けちゃって大泣きしたこともあったな~。今はもっぱらアイドルやパンダの読解力を研鑽中…だけど、これもいつかは衰えてしまうのだろうか)。
※4=参考:大谷翔平 歴史をつくる大旋風 | NHK クローズアップ現代+
※5=参考:メジャーの大舞台で「ゴミ」を拾った大谷翔平 今の活躍を支えるのは「メンタル」の強さ | 日本野球の今そこにある危機 - 東洋経済オンライン

★次回 #ぼくてつカフェ 開催情報はこちら
https://bokutetsucafe.peatix.com/

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