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翡翠と私

翡翠という鉱物があります。僕の大好きな石の一つで、新潟糸魚川周辺を産地とする石です。色はグリーンや白、青、ラベンダー等含まれた元素によって色が変わるそうです。一般的にはグリーン系をイメージする人が多いのではないでしょうか。

初めて翡翠という石を知ったのは考古学に興味を持って、遺跡のある畑に足繁く通っていた小学生の頃でした。地元(岐阜県飛騨地方)の資料館の企画展の資料として初めて見た翡翠は、直径15センチほどの鰹節型で全体が白く、所々にごく小さくグリーンが差してる縄文中期(5000〜4000年前くらい)の大珠(たいしゅ)と呼ばれる玉でした。特別綺麗というものではなかったのですが、何か惹かれたのを覚えています。翡翠の大珠はその希少性から、ムラの特別な人物の装飾品として、実用品ではなく呪術に使用する物として考えられています。国立博物館には磨製石斧の形をした素晴らしい色の大珠があるのを、その後知りました。

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■東京国立博物館HPよりhttps://www.tnm.jp/modules/rblog/index.php/1/2018/08/10/-accessories/

「いつかこんな綺麗な玉を手にしてみたいな。」と強く思っていました。そう強く念じながら、地元の遺跡を散策していた小学6年のある日、隣村の遺跡の畑にその念じていた物そのものが落ちていたのです。信じられないとは思いますが、本当に落ちていました(こういう時の自分の欲望と集中力には我ながら驚きます)。形は大珠によくある鰹節型の物では無いのですが、色が今まで見てきた石の色とは全く違う鮮やかな白とグリーン。しかも、人工物という証拠に中央に太い穴が空いているではないですか。鳥肌が立って、心臓がバクバクしました。光にかざすと少し光を通す質の良さ。一番近い資料としては、下に写真を載せてた三内丸山遺跡の大珠でしょうか。

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硬玉製大珠 ■三内丸山遺跡HPよりhttps://sannaimaruyama.pref.aomori.jp/

こんな物を実際拾ってしまったらちょっとパニックですよね。流石に小学生の自分が持っていて良いはずがないと、罪悪感にさいなまれ結局その村に寄付しました(地元の新聞の小さい記事になりました)。そのため今は手元にはありません。その大珠、以前は村の資料館で展示されてましたが、町村合併で資料館もなくなり、今はどこに置いてあるのか分からないのが少し残念。しかし、この体験は忘れられないものとなり、僕が考古学に一段とハマるきっかけになったのでした。そして翡翠がもっと好きになったのです。




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