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年始のご挨拶と、「より良い組織づくりの支援」について考えてみたこと

新年おめでとうございます。皆さまにとって、健やかで豊かな一年となりますように。本年もよろしくお願いします。

2023年の最初の投稿では、コーフライヤーの事業の中心である「より良い組織づくりの支援」に関して、私たちのあり方について書いてみようと思います。

それにあたり、僕が敬愛しているMITスローン経営大学院名誉教授のエドガー・シャインさんの力を借りたいと思います。『謙虚なコンサルティング—クライアントにとって「本当の支援」とは何か—』(英治出版)という本からいくつかの言葉を引用しながら考えてみます。

「本当の支援」とは何か?

日本語版の副題ともなっている「『本当の支援』とは何か」という問いかけは、組織のコンサルティングに関わらず、何らかの形で他者の力になろうとしている人は、必ず一度は自問したことがあるでしょう。

この問いかけが意味していることは、「本当ではない支援」、つまり「役に立たなかった支援」があるということに他なりません。かく言う僕自身も、私生活や仕事において、やらかしてしまった事例をいくつか挙げることができます。自分が受けた支援のなかでも、思い当たるものを挙げることもできます。皆さんも、心当たりがあるのではないでしょうか。

シャインさんは、「本当の支援」について、次のような示唆的なことを書いています。

リーダーや経営者に突きつけられる問題は以前に比べ、診断にいっそう手間がかかり、「解決する」のがはるかに難しくなった。そんななか、本書で紹介するような事例を通して私が気がついたのは、クライアントと初めて話をしたときに私が伝えた質問や見解や疑問が大きなヒントになって、クライアントが状況を理解したり深く考えたりできるようになる場合があることだ。結果として、ただちにとる次の行動、それも支援者とクライアントのどちらもが即効性があると思う行動を、クライアントが思いつくこともしばしばだった。
『謙虚なコンサルティング—クライアントにとって「本当の支援」とは何か—』(英治出版)p15

ここで述べられているのは、組織の問題が以前に比べて複雑になっており、私たちは問題への対応の仕方を変えなければならないということです。それは同時に、支援する側の対応の仕方を変えなければならないことも意味します。それはつまり、どういうことなのでしょうか。

大切なのは、本当の「支援関係を築く」こと

シャインさんは、本当の意味で役に立つ支援関係を築くことこそが、誰かの力になるための起点であり、最も重要なことであると説きます。

コンサルタントは新たな役割として、なんらかの方法によって、クライアントと初めて会う瞬間からパーソナライゼーション・プロセス(筆者注: 関係を個人的で打ち解けたものにすること)を開始し、自分が信頼に足る人間であり、心をひらいて話しても安全であることを伝えなければならないのである。
『謙虚なコンサルティング—クライアントにとって「本当の支援」とは何か—』(英治出版)p45

そして、彼が「レベル2」と名付けた信頼関係が、効果的な支援の提供にとって欠かせないのだと言います。

レベル2の本質は、クライアントが「支援される人」、つまりほどほどの距離を保つ必要のある他人ではなくなり、もっと個人的な話のできる、唯一無二の相手になることである。
『謙虚なコンサルティング—クライアントにとって「本当の支援」とは何か—』(英治出版)p75

彼がこの本を書くにあたって、アメリカの職場における文化を念頭においているだろうということには、注意が必要です。ただし、日本の職場においても、基本的な礼儀とルールのもとで「率直に話ができる」関係は、効果的な支援を行う際の重要な土台になるはずです。このことに、多くの方は異論がないでしょう。

コンサルタントが示すべき「3つのC」

シャインさんが述べたように、信頼関係の構築はクライアントと最初に出会った時から始まります。最初の顔合わせや打ち合わせなどの場から、コンサルタントは意識して自身のあり方を示さなければなりません。では、私たちは、何をどのように示す必要があるのでしょうか。

この本では、それぞれの頭文字をとって名付けられた「3つのC」を示すことが必要だと述べられています。

・力になりたいという積極的な気持ち(Commitment)
・クライアントに対する思いやり(Caring)
・好奇心(Curiosity)
『謙虚なコンサルティング—クライアントにとって「本当の支援」とは何か—』(英治出版)p47

1つ目は文字通り、クライアントの役に立ちたいという気持ちのことを意味しています。支援する立場の人にとっての原動力という言い方をしても良いかもしれません。

2つ目に挙げられたのは、クライアントへの思いやりです。僕の場合、クライアントへの思いやりが、力になりたいという気持ちを後押しするように感じます。そして、クライアントに対する思いやりは、相手の世界を理解することから生まれてくるような感覚があります。

3つ目に挙げられているのが、好奇心です。ここで言う好奇心とは、自己本位の好奇心ということではなく、クライアントの状況や問題に対する探究心のことだと理解しています。

僕の場合、好奇心を持ってクライアントの世界を理解しようとすることで、クライアントに対する思いやりを持てるようになり、それが支援する立場としての自分の原動力になる、ということが言えそうです。


ここまで、『謙虚なコンサルティング』からシャインさんの力を借りて、より良い組織づくりの仕事における支援者のあり方を考えてきました。ここで紹介した内容を、あらためて肝に銘じておきたいと思います。

もう一つ、クライアントを支援することについてのシャインさんの言葉を引用して、このnoteを終わりにしたいと思います。

クライアントを支援するというのは、クライアントだけではできないことを、クライアントとともに、クライアントのためにすること
『謙虚なコンサルティング—クライアントにとって「本当の支援」とは何か—』(英治出版)p57

最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。

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