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「認知宇宙」という概念の提唱 - あなたが見えていると錯覚している「世界」と「〇〇-Verse」について -

こんにちは、かめぽんです。世界的なSNSサービスを展開するFacebookがMetaという会社名に変更しメタバースの構築のために巨額の資金を投じたニュースが記憶に新しく(2023年3月14日時点では撤退することが決まりましたが)、それに続く形で多くの企業がメタバースの構築に向けてリソースを投入していました。

そもそも、メタバースとは何か?単なる3D空間では?という疑問を抱いく人もいたり関心が寄せられることが多くなっていると思います。

メタバースが、Meta + Verseという言葉からできるていることで「宇宙(Universe)」を連想・想起される方もいると思います。それによって、デジタル世界とアナログ世界の融合だ!僕らは世界(宇宙)を作り出すことができる!画期的だ!いや、よくわからん!などと思う人もいると思います。自分のアバターがデジタル世界の中を自由に飛び回ったり、生活したり友達とやりとりをしたり冒険をする姿は、SF映画マトリックス、レディープレイヤーワン、アバターなどを彷彿・連想する人も少なくないでしょう。

それが、我々の目の前に構築され始めていて明らかに時代の転換期の中にいるわけですが、世界とは何か、この状況下で我々は現在地を正しく認識できていない、あるいは一旦整理することが必要だと考えています。

そこで、メタバースに入る前に我々が現代社会の中でいろんなものを見たり聞いたり、誰かと会話ができているとされる中で、前提としてどういった「ものの捉え方」の中で我々が生きているか、そしてその前提に立つことでメタバースは何か?それらが本当にやろうとしていることとなどなど世界がどういった方向性に進んでいるのかが見えてくると思います。いろんな情報を元に僕なりに解説してみようと思います。

また、「〇〇宇宙(〇〇-Verse)」という言葉が出てきて言いますが、そもそも我々は「認知宇宙」(この記事で提唱したい概念の造語)の中で生きているということを提唱したいと思います。

かなり長い記事になってしまったので、お時間ある時にゆっくり咀嚼しながら読んでいただければ、なるほどな〜と思っていただけると思います。

注意点

この記事では、今までインプットしてきた情報をもとに自分なりに解釈した上で解説して行きますが、すでに名前が付けられている事象であったり、解説自体に誤りがある場合は別途ご連絡いただければ幸いです。読者のみなさんと共に育てる形で真理に向かっていければいいなと思います。

現状の認識と「物理宇宙」

宇宙全体の事象と確率について

まず全ての話をする前に、我々が認知できている世界は何か、について知っておきましょう。
以下のグラフはこの世で起こる全ての事情(横)とそれぞれの出来事がどれくらいの確率で起こりうるか(縦)をプロットしたグラフになります。このグラフは正規分布(ベルカーブ)といい、数学の授業で一度は見たことがあると思います。

ベルカーブ曲線

例えば、学校のテストの点数とその点数をとる生徒でプロットすると以下のようになります。

テストベルカーブ

100点やそれに近しい点数をとる生徒もいれば20点以下や0点を取る生徒もいるかもしれないですし、60点付近の点数をとる生徒は多く出てくると思います。
テストの難易度や生徒の学習習熟度によってばらつきや誤差などは入ってきますが、平均点数は必ず出てくるのでそれに準じた点数をとる生徒の確率が高いのはわかると思います。反対に100点や10点をとる生徒が出てくる確率はそれよりもかなり低くなるのも想像できます。それをグラフにプロットすると以上のような形になりますね。

話を戻すと、テストの点数をこの地球や宇宙全体で起こる事象(と仮定する)の種類、そしてその宇宙全体で起こる事象の確率をグラフかすると以下のようになります。(PC上では再現できませんでしたが実際はもっと極端なグラフになります)

極端なベルカーブ

先ほどの正規分布のグラフとは似ても似つかないですが、歴とした正規分布のグラフです。ただ、テストの点数のグラフと何が違うかというと、よく起こる事象は「ほぼ」必ず起こる事象で、滅多に起こらない事象は天文学的な確率でしか起きないまたは起こっても我々が認知できないような事象だったりします。
つまり、全生徒のテストの平均点が60点だとするとほぼみんなが60点で、100点や0点をとる人は何百年何千年あるいはそれ以上の年月に一回一人いるかいないかの確率だと思ってもらえればと思います。
この地球上でボールを投げたらすぐに地面に落ちますが、この確率は100%そうなる、と皆さん思いますが
正しくは、確率が100%に限りなく近いので我々は100%そうなると錯覚しているだけと考えられます。0.000…….1の確率で軌道を変えてどこかに飛んでいくかもしれないですよね。
そんなあり得ないことが起きるもんか、と思うかもしれませんが、実際に巨大地震や異常気象、戦争、ウィルスなど起こる確率は日常生活で起こる出来事に比べたら極めて小さいかもしれないが、実際に起きてしまうというのがこの世の中になります。

人間スペックで認知できる範囲はかなり狭い

まず、人間スペックの認知を取り巻く構造について知る必要があります。大きく分けると二つありこれらについてお伝えできればと思います。
「そもそも認知できるか」については、そもそも見えない・聞こえない・何も感じないなど我々の体が知覚することが出来ないものとできるものがあるよ、という部分です(※1)。二つ目に、認知はできている(見えてはいる)が脳が処理できず(あえて処理していないことによって)に情報が欠損しているケース(※2)についてです。

認知の4象限

次に、人間の認知(5感)に関するお話ですが、我々人間には視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚の5つを使うことで外界の世界を認識しています。中には第6感が効く人もいると思いますが、大体5、6個程度の感覚器官で見たり・聞いたり・感じることで生活しています。

ですが、我々には見ること、触ること、感じることが出来ないものが多くあります。例えば、放射線は僕たちには目に見えないですが、被曝することでそれらの存在を感じることができ、科学が進んだおかげで数値化しそれらを実体するものとして認識できています。科学で放射線を認知できない時代では、祟りや呪いなどと言われていた時代もあるようです。そう考えると、幽霊や霊的なものは数値&可視化できていないだけで、科学技術が進めばそれらも実体するものとして認識できる日が来るかもしれません。

つまり、人間が知覚できない存在があるとするならば、この広い宇宙には人間が認識しているものよりも認識できないが存在しているものの方が断然多いと考えることもできます。現に、UFOなどは普段僕らが意識しても見えない時は見えませんが、次元を下げてくれることでやっと見ることが出来たりします。より高度な文明でそういったことができるなら、技術がどんどん進んでいけば見えないものがもっと見えてくることも容易に想像できると思います。

次に、人間は目に入る情報全てを認識することが出来ない特徴があり、見ている情報に対して注意を向けられている情報はほんの一部とも言われています。

例えば、子供を持つ親であれば、それまでは全く気にならなかった赤ちゃん向けの商品の広告やベビーカーを押してる他の家族の姿が、嫌でも目に飛び込んでくると思います。また、脱毛をしたい人であれば今まで無視していたあるいは表示されても気づかなかった脱毛の広告が急に目に飛び込んでくるようになると思います。

逆に言えば、脳が関心を示さない情報に関しては見てはいても脳内で無意識的に処理せず情報を捨てているといえます。これを、心理的盲点(スコトーマ)といいます。

このことから、1、2、3の4象限のうち少なくとも我々が意識的に認知できている世界は1/4象限しかないということになります。前章で論じた宇宙全体で起こっている事象の数や人間の感覚器官の狭さから見るに、我々が見ている世界というのは火を見るより明らかということです。

物理宇宙について

物理宇宙とは、私たちが生活している「物質的」な現実世界のことを指します。この宇宙には、私たちが目に見える星や惑星、そして私たちの身の回りで起こる自然現象が含まれます。人間の目に見えて直接触れたりできる物質的な宇宙のことです。

先ほどの宇宙の広さと人間の認知の話から、あくま物理宇宙は我々が見た狭い世界の光を脳が映像として映し出しているに過ぎないことは想像しやすいと思います。

では、あなたが見ている映像は他の人が見ている映像とどれくらい「同じ」でしょうか?あるいは、あなたが見ているものは他の人も「同じように」見えていますでしょうか?それらを確認することができませんが、あなたが、ボールが転がっているのを見たり、太陽の陽気を感じたり、料理をすれば匂いがするといったことは他の人も同じく知覚していることが多いと思います。

つまり、日常に起きていることを観測・共有することで我々は物理宇宙が「存在」していると考えられます。物理的な世界が存在しているかどうかは、「観測者の総意」によって決まると解釈することができます。

例えば、世界が存在するか否か(対象の景色が見えいているかどうか)をYES/NOで表現すると一人分の物理世界の存在確率は50%であると仮定します。次に観測者が二人いる場合(Aさん、Bさんとする)、それぞれ世界が存在する確率を50%ずつとすると 1-(1-0.5)(1-0.5)=0.75 なので75%ととなりました。以下の画像のようなイメージです。

次に観測者を3人にしそれぞれ50%の確率で計算していくと1-(1-0.5)(1-0.5)(1-0.5)=0.875なので87.5%になりました。

観測者の数をn、観測者の観測率をxとしこれを一般化していくと、
1-(1-x)^nとなってきます。それをグラフ化すると以下のようになっていきます。

この結果から、観測者が増えることによって物理世界が存在している確率が上がる、その流れを経て物理世界の存在が認められているということです。

この理屈で言えば、永遠に存在確率が100%にならず限りなく100%に近い99%を推移することになります。これが何を意味するかというと、

  • 物理世界の存在の絶対性が担保されていないこと

  • 世界は観測者に依存する(観測して初めてその存在が認められる性質)

では無いかということです。

つまり、観測するまでは物理宇宙の存在を肯定することはできない上に、観測しても必然的な存在を認めることができないと考えることができます。

ブラックスワンについて

ブラックスワンとは、予測不可能性の高く、一度起こってしまうと強大なインパクトを持った事象のことを指します。この概念は、タレブ・ニコラス・ノサンティムが提唱したもので、彼は「ブラックスワン理論」を著書「The Black Swan: The Impact of the Highly Improbable」で解説しています。

スワン(白鳥)はその名の通り白い鳥でありますが、オーストラリアで黒いスワンが発見され鳥類学の研究者の間で衝撃が走ったことにより、たった1匹の黒いスワンが業界の常識を一変させてしまうことからブラックスワンという名が付けられています。

ブラックスワンは、一般的な統計の考え方や確率論では扱いきれないほど予測しにくい事象です。例えば、テロ攻撃や自然災害といったものがブラックスワンの代表例です。これらの事象は、起こるかどうか分からないものであり、予想外の影響をもたらすことがあります。

宇宙全体の事象と確率で説明しましましたが、ブラックスワンは下のグラフでいう確率が少ない方に位置しています。起こる確率が0に限りなく近しいため我々はそれを「無いもの」と思いがちですが、ブラックスワンは完全に予想外で起こり甚大なインパクトを残していきます。

ブラックスワンは予測できないところに潜んでいる

アンチフラジャイルについて

ブラックスワンに対する対策として、タレブは「アンチフラジャイル」という概念を提唱しています。アンチフラジャイルとは、逆境に強く、変化に対応することができるシステムや組織のことを指します。英語で書くと Anti-fragileと表し、直訳すると 反脆い反脆さとなります。

脆さの反対は何かと聞かれると、崩れづらいとかストレスを与えても「頑丈である」と思う人が多いと思います。しかし、反脆さとはストレスを与えれば「強く」なることです。

例えば
筋肉は一本一本は細い繊維でそれ自体では切れてしまいますが、それらがたくさん集まることで大きな力を出すことができます。筋肉を強くするためには、筋トレや激しい運動(ストレス)をする必要があります。そして適切な栄養を与えることでその修復力でより強い筋肉へと成長します。

また、キャリア的な話で言うと今までは一つの会社で定年まで勤め上げるという考え方がありますが、それは性質的には脆くその会社が何かしらの原因で倒産してしまったり業績が悪くなり給料が払えないようなことが起きるとその人は1発で途方に暮れてしまいます。そこで、自分で副業をするなりアフィリエイトで稼ぐなりリスクを分散してクリティカルなことが起きても大丈夫なようにしておくことが重要です。

ここまででみなさんは、ブラックスワンが悪いことでそれに備えるためにアンチフラジャイルな性質にすることが重要だと思ってしまいがちですが、ブラックスワンは起こる確率が低く、起こってしまえば甚大なインパクトを残すのが特徴であって、それは良い事象も含まれます。

ですのでキャリアの話では悪い想定をしましたが、アンチフラジャイルにすることで副業で本業以上に稼いでしまうことだったり自分が目標とする以上の結果を出すことなど、サイドプロジェクトなどを持っていないFragileな構造ではあり得ないことがこの不確実性の高い世の中では現実味を帯びてくることがあります。

リスクを取らないことが最大のリスク、と言うのはブラックスワンとアンチフラジャイルの理論で説明がつくかと考えられます。また、予想外のことは物理宇宙の外に存在し得るものなので、これらの概念を覚えておいて損はないでしょう。

概念宇宙、メタバースそしてマルチバースについて

概念宇宙とは

1章では物理宇宙について考察しましたが今度は、概念宇宙についてです。

概念宇宙に入る前に、「概念」についてインプットする必要があります。
そもそも「概念」とは我々が認知した事象に対して抽象化・普遍化し、思考しやすいように意味づけられ形式化したものです。当たり前なのですが基本的には概念はイメージはありますが我々が直接触ることはできず形がありません。

例えば、「テーブル」と言えば足が4つあって上に板が貼ってあるものを想像すると思います。しかし厳密にはテーブルと言う考え方が存在しなければ、物理的なテーブルをなんて言って良いか分かりませんよね?抽象化し名付けられたものがるからこそ我々は足が4本(3本以下かもしれない)あり天板が貼ってあるものを「テーブル」と認識することができます。その抽象・形式・意味づけられたものが概念です。

ですので、概念は概念上の大きさや持つ意味の多さで様々ですがプログラムで記述することができます。以下は「車」と言う概念を超簡単にプログラム化してみたものです。

class Car {
	// 以下は概念の基本情報
	weight: number; //重量
	height: number; //車体の高さ
	carModel: string; //車種
	...

	// 以下は概念の振る舞い
	run() { ... }
	stop() { ... }
}

ものによりますが、このようにシンプルに記述することができます。
このことから、概念は「名前」「構造」を持つことで森羅万象に我々が認識できる物理が存在していると言っても過言ではありません。

以下のようにすることで、物理的な車を生み出すプログラムを記述することができます。

const myCar = new Car();
// myCarはインスタンス(実体)、Carはクラス(概念設計図)

myCar.wight // 重さを参照できる
myCar.run() // 走る
myCar.stop() // 止まる

ここで行っていることは インスタンス化 と呼ばれ、概念はいわば設計図のようなものでそれを元にすればインスタンス(物理)、つまり物理的な車を生成することができます。(プログラムで表したものなのでもちろん物理では無いですが、設計図を元に車を生成するということを記述することができます)
生成されたインスタンスは実際のプログラム上で自身がもつパラメータを使って計算したり、振る舞いによってアクションを起こすことができます。

概念設計図から実体が生まれていることその実態が実際に概念設計図通りに振る舞い表現をできることから、 `概念は物理を包括する` と言えます。存在はしているが名前が付いていないモノ・コトはありますが、物理が概念を包括することはありません。

また、クラス(設計図)からはいくらでもインスタンス(実体)を生成することができます。つまり、概念から物理を生み出すことに数の制約はありません。

const car1 = new Car();
const car2 = new Car();
...
const car100 = new Car();
...

前置きがかなり長くなりましたが、概念宇宙とは前章で話した物理宇宙を包括する哲学的・宗教的・抽象的な世界であり、ある主題に関するすべての可能な概念の集合です。

概念宇宙は、物理的な宇宙が持つ物質やエネルギーの存在や法則に基づく現象とは異なり、人間の思考や認識の中で構築された概念や観念、イメージ、信念などからなる宇宙です。文化や宗教、哲学、芸術などの分野で広く用いられており、個人的な信念や思考の世界においても重要な役割を果たしています。

みなさんもしかしたらお気づきの人もいるかもしれませんが、物理宇宙からこの概念宇宙の話をまとめていくと、概念宇宙は我々が存在していると認識しているあるいはその中で生きているとされる物理宇宙を内包することができ、クラスからいくらでもインスタンスを作り出すことができることから、概念宇宙から複数の物理宇宙ができると容易に考えられますよね。

マルチバースについて

マルチバースの説明に入る前に前章で説明した、クラスからインスタンスを生成するお話の続きでとても大事なトピックがあります。

先ほどクラスからインスタンスを生成するプログラムを書きましたが、概念宇宙が物理宇宙を包括することから以下のようなプログラムで概念宇宙と物理宇宙を表現することができます。

const 物理宇宙 = new 概念宇宙();

そして、勘よい方はお気づきだと思うのですが、概念から物理を幾つでも生成できることから概念宇宙から物理宇宙をたくさん生成することもできます。

const 物理宇宙その1 = new 概念宇宙();
const 物理宇宙その2 = new 概念宇宙();
const 物理宇宙その3 = new 概念宇宙();
...
const 物理宇宙そのn = new 概念宇宙();

つまりここで何が言えるかというと、 `物理宇宙が複数存在することができる`ということです。

ここから、本題のマルチバース(Multi-Verse)についてです。

ユニ(1つ)バースに対し、マルチ(複数)バースとは、多元宇宙理論の一つで、現時点で我々が観測できない複数の平行宇宙が存在すると仮定されている概念です。

一般的なマルチバース理論では、宇宙は無限に広がっており、その中には私たちが知っている宇宙とは異なる様々な世界が存在すると考えられています。これらの世界は、別々の時間軸を持ったり、異なる物理法則に従ったり、存在する物質やエネルギーの種類が異なったりすることがあります。マルチバース理論によれば、私たちが知っている宇宙はただの1つの世界に過ぎず、その他の平行宇宙が存在している可能性があるとされています。これらの平行宇宙は、時間や空間が違ったり、そこに存在する物質やエネルギーの種類が異なることがあります。

マルチバース理論は、量子力学の解釈に基づいて発展しました。量子力学によれば、物理現象は観測者によって変化することがあります。例えば、電子が波として存在するか、粒子として存在するかは、測定方法によって異なる結果が得られることがあるそうです。マルチバース理論は、このような量子力学の解釈から、現実が複数の可能性から成り立っていると仮定し、無数の異なる可能性の1つにすぎないと考えます。

この考え方は、シミュレーション仮説とも繋がり我々が認知している物理宇宙よりも高次の宇宙から生成された世界の一つでしかなく、我々はそのごく短い時間の中に存在しているだけであるということです。まるで、私たちがメタバースを開発するように我々よりも高次の存在が我々の世界を作るのと非常に似ていますね。

泡宇宙理論

宇宙が複数あるというインプットができたところで、いくつかマルチバースにおける有名な宇宙理論について紹介しておきます。

泡宇宙理論とは、宇宙が膨張する過程で新しい宇宙が生まれるという仮説です。この仮説によれば、我々が宇宙と認識しているものは膨張している宇宙領域の一部にすぎず、その領域の外側には別の宇宙領域が存在しているとされます。これらの宇宙領域は「宇宙泡」と呼ばれる球状の領域であり、それぞれが異なる物理法則を持っていると考えられています。

泡宇宙理論は、宇宙の謎の一つである「ダークマター」という存在の説明にも役立つとされています。ダークマターは、我々が観測できる物質以外に存在すると考えられている物質であり、その存在が宇宙の膨張を説明するのに必要とされています。泡宇宙理論では、ダークマターが別の宇宙領域の物質である可能性があるとされています。

これは `シミュレーション仮説`と呼ばれる、現実世界は数あるコンピュータシュミレーションの中の一つに過ぎないという考え方ともリンクします。

実際には高度な技術を持つ存在によって作られた仮想現実であり、私たちはその中で存在しているとされます。この仮説は、現代のコンピューターシミュレーション技術の進歩とともに注目を集めています。

パラレル宇宙理論

パラレル宇宙理論とは、量子力学に基づいて提唱された仮説です。この仮説によれば、宇宙は複数のパラレルな宇宙が存在しているとされます。つまり、我々が生きている世界と同じような世界が複数存在しており、それぞれで異なる歴史が進んでいると考えられています。

量子力学によれば、微小な粒子の位置や運動量などが決定される前には確定していないことがあります。このため、微小な粒子が複数の位置や運動量を持っている可能性があります。パラレル宇宙理論では、このような微小な違いが世界全体に影響を与え、複数のパラレルな宇宙が存在すると考えられています。

これらの仮説は、宇宙の謎や未解決の問題に対する解答を提供する可能性があるため、今後も研究が進められていくことが期待されています。

物語宇宙(StoryVerse)の中で生きる我々と新概念「認知宇宙(Recognition Verse)」について

新概念「認知宇宙(Recognition Verse)」について

ここまで記事を読んでくれたみなさんであれば、宇宙は複数ある、という仮説がなんとなくイメージできたかな?と思います。

ここまで紹介した「宇宙」は物理か概念かは拘らず「空間」を有するものだったと思います。物理宇宙であればその物理的な空間の大きさがありますし、概念宇宙にもその命題範囲や概念設計上の範囲(いわゆる情報空間)があります。それらを可能な限り客観的に取り上げてきたのかなと思います。
しかし我々がもっと認識すべき重要な宇宙があります、それがこの章で取り扱う人間の認知的な宇宙、 Cognition Universeです。(造語です)

認知宇宙(Cognition Universe)とは人間が視覚や聴覚などの感覚器官で受け取った情報で構築された世界そのもののことで、いわば脳みそによってシミュレートされた世界ともいえます。脳に直接VRヘッドセットをつけてそれに連動して触覚や嗅覚などで物理世界を感じ取っている世界観になります。加えて最も自分に近い宇宙で最も `臨場感がある`内面的な宇宙であるので、10人いたら10種類の宇宙があることになります。VRヘッドセットで例えましたが、みなさんが今見ているもの感じているものは生まれた時から装着している超高性能なVRヘッドセットによってみている世界だと思ってもらえればわかりやすいかもです。

現状の認識と「物理宇宙」で論じた物理宇宙の話の中で、観測する人が多くなることで物理宇宙の存在確率が上がっていくということを説明しました。少し言い換えれば物理宇宙の存在は、我々個々が認識することによってできる世界、認知宇宙によってできると言えます。加えて複数の認知宇宙の総意によって作られた世界とも言えます。

例えば、同じ場所に二人の人間がいるとして同じ景色や物を見ているとします。そして二人とも同じものを見てその存在を認識した場合に、一般的な認識であればその物体が同じ「モノ」であると言い張ります。しかし、それらが全く同じものであるかどうかを現段階では証明することが出来ません。

なぜなら、あなたが観測している世界というのは現段階で他の人が観測することはできないし逆もまた然りであるからです。また、物理宇宙が観測者の総意または観測そのものによって決まることと概念が物理を包括することから、 物理的にモノが存在しているから二人がモノを認識できているのではなく、二人のそれぞれ観測した宇宙がありその中でモノを認識しているからこそ、物理宇宙にモノが存在しているというのが正しい解釈になります。

我々が見ているものは全て脳が作り出した世界であるというのが認知宇宙の前提ですが、そうなると脳みそは良くできてるなと思いつつも、目の錯覚など感覚器官のバグというのは必ず起こり得る話です。加えて認知宇宙はそれぞれユニークであり観測者の数だけあるため、自分の認知が正しいという思い込みは非常に危険なことだと分かります。また、人間スペックの感覚器官で観測できるものは圧倒的に少ないということから、実際に存在はしているけど観測できないものを存在しないものとして扱うことは、進化を止めることと近しいので 見えないものを信じるというのが根性論でもなく理論的に重要なことは明白かと思います。

物語宇宙(Story Verse)について

物語宇宙とはジョナサン・ゴットシャル氏執筆の、ストーリーが世界を滅ぼすで書かれてある概念で、あらゆるメディア(ニュース、新聞、SNS、絵本、礼拝で聞く説教、あらゆる学問や宗教の教え)で私たちが消費する物語が作り出した、心と感情と想像の中の空間、と提唱されています。先ほどの認知宇宙に包括された概念とも言えます。

例えば、Apple社はプロダクトや自社のあるべき道標としてビジョンを明確に掲げていました。明確なビジョンを打ち出すこととそれを表現するストーリー(物語)テリングをすることで顧客を熱狂させることを重要視していましたし、実際熱狂的なファンを作ることができていました。アップルの物語の虜になったファンはプロダクトだけでなく思想に至るまで惚れ込む人も多かったでしょう。

これはアップルに限った話ではなくベンチャー企業やビジョナリーな会社にも多く見られます。ストーリーは人々を結束させたり行動を促す強い力があり、世の中にないものつまり「虚構」を信じることで一般的には考えられないものを生み出したり絶滅の危機を免れたりすることもあります。過酷な自然環境下で生きる人間は、飢えや寒さ、病気などに直面しながらも、自分たちが信じる神や精霊、幸運を信じることで、希望を持ち、生き残ることができたと考えられます。

しかし、虚構を信じることは脳にとって非常に危険な状態でもあります。マスメディアが典型的な例で、そもそもニュースは `事実ではなくドラマ`でありドラマには必ず脚本が存在しています。事実と異なる脚本を描き物語(ドラマ)とすることで視聴者の脳に圧倒的にアクセスしやすくなります。理論やエビデンスに基づいた事実よりも、圧倒的に虚構物語の方が高いと言えます。これは、ナラティブ・トランスポーテーションといい、物語によって脳が無防備になることであり、それを上手に利用している一種の手段であります。

俗にいう陰謀論と呼ばれるものや新興宗教の信者に起きている脳の反応も同じようなものが多いと考えられます。

そのストーリーには以下の特徴があると言われています。

  • 人は物語を求める

  • 物語は問題を求める

  • 問題はそれを起こした悪者を求める

最終的には悪者つまり「問題」を取り上げることが基本となります。その問題は「超個人的」「弱いものいじめをする」「主人公の義憤を煽る」の特徴があり、ストーリーテラーは民衆の注目をそこに向けつつ、それに対するアンチテーゼつまり解決策を打ち立てることで、一気に聴衆を正義の味方につけます。正義の味方をしているあるいは自分が正義であるとストーリーテリングに影響された人々は、対象となる ができるので自然と対立構造が生まれます。自分の頭で考えず正義の味方をするのはとても気持ちが良いものですが、非常に危な状態であるのは皆さんお分かりだと思います。

そして、勘の良い人はここまでくると 戦争の話と繋がってくると思います。戦争には対立構造が必要で、対立構造にはストーリーテリングがうってつけです。

戦争に限った話ではないですが、企業がこぞって「課題解決」と謳う背景にはもちろん世の中にある課題を解決し便利にしていくことで利益に繋がることもありますが、社員の結束を図る目的もあると考えることができます。

ここまで物語宇宙とストーリーテリングについて紹介しましたが、物語の恐ろしさについてインプットできたかなと思います。物語宇宙の中で私たちは生きている手前、物語に騙されて傾倒してしまう人も出てくることでしょう。そこで一つ勘違いして欲しくないのが、物語に侵されてしまった人たちを軽蔑してはいけないということです。ストーリーテラーも同様です。

自分の使命だと信じて疑わず世の中に対して良い行いをしている人も、戦争で大犯罪を犯してしまう人も紙一重です。物事の良し悪しは相対的で、「誰にとって」良いか悪いかというものがあります。 人を憎まず、物語を憎み、抵抗することが物語宇宙の中で生きる我々に与えられた意識するべきことなのかもしれません。

最後に

長い長い文章をここまで読んでいただき本当にありがとうございます。この記事をかくにあたって非常に長い期間を要しましたが、かなり多くの気づきや知見が得られたなと執筆していて思います。

混沌としている世界の中で、我々は何を疑い何を信じて生きていくかという人間の根本的な部分すら難しい世の中になってきたなと感じます。物理宇宙の不確定性をとっても認知宇宙をとっても、自分の見てることすら信じられなくなってくるかもしれません。しかし、それは一人ぼっちだったらの話です。我々がそこから学ぶべきは、仲間を作ることの重要性です。

あなたが見ている世界の存在を断定できなくても仲間がいればその存在が確固たるものになっていくことから、一人ではたくさん間違ってしまうことも仲間がいれば見える世界が広くなり正しい道を見つけられます。その根拠は皆さんもうわかっているはずです。 個体としてはバグだらけの人間が、群れを作ることで現代の超複雑な経済を回してしまうことの異常さと神秘性が示すものは何かということが、仲間を作ることの強さを物語っています。一本一本の筋繊維は弱くてもそれらがたくさん集まることで筋肉として動き大きな力を得ることができます。結束とは力です。そして力や直感、思いというのは目には見えませんが確かに存在するものです。他人との違いを受け入れて、今一度目に見えないものを信じてみんなで進むことが、我々に与えられた方向性なのかもしれません。

参考


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