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「瑞雲 二膳」(「月に咲く花の如く」)

さて今日は、二膳箸のご紹介です。

「瑞雲」というのは、めでたい兆しとして出現するという、五色の雲のことだそうです。

その雲を金箔で表現しています。

御祝いにぴったりのお箸ですね。

詳しくは、当店のホームページから、どうぞ。






さて、今度は、「月に咲く花の如く」という中国時代劇を見ました。

2017年の作品で、主演は、スン・リー。台湾の俳優ピーター・ホーも出ています。

ストーリーは、こんな感じ。(結末に触れています。これから見る方は読まないでくださいね。)

時は清朝末期。スン・リー演じる周瑩は、父親と一緒に大道芸で各地を回ることで生計を立てていました。

ところがある日、博打好きの父親の借金を返すために、周瑩は、沈家という大きな商家に侍女として入らなくてはいけなくなります。

そこで出会ったのが、道楽者の次男坊である沈星移。

彼は、雇い主に対しても全く物怖じせず、好きな事を言う周瑩を面白がり、彼女を自分専用の侍女にしようとします。

こんな役立たずと一緒にいられるか!と沈家を逃げ出した周瑩が、次に出会ったのは、ピーター・ホー演じる呉聘。

呉聘は、この地方で最大の商家で、沈家とはライバル関係にある呉家東院の長男。

周瑩は、星移とは全く逆で、心優しい呉聘に徐々に惹かれるようになり、ついに二人は結婚します。

しかし、その幸せは長くは続きませんでした。呉家が朝廷の権力闘争に巻き込まれる中で、呉聘が謎の死を遂げたのです。

呉聘の父である当主も捕らえられ、あっという間に没落してしまう呉家東院。

誰もが、呉家はもうダメだと思ったその時、周瑩が立ち上がります。

呉家への恩を返すために、持ち前の才覚を活かし、新たな商売を始めようというのです。

そんな彼女の前に、商家を通じて権力を握ろうとする貝勒(朝廷の位ですよ。)の配下たちが暗躍し始めます。

何度も危険に晒される周瑩ですが、そんな彼女をいつも救ってくれるのは、星移で・・・。

原題は、「那年花開月正円」ですので、そのまま訳すと「花咲き月満ちたあの頃」という感じでしょうか。

亡き夫が大切にしていた商売を、強大な権力に逆らってでも復活させようと奮闘する周瑩の物語に、いつの間にか彼女を愛するようになった星移の物語が絡まっていくという構成です。

「宮廷の諍い女」は後宮の権力闘争の話で、「ミーユエ」は戦国時代の話でした。

今回は、清朝末期の商人の話ということで、ちょっと地味かなと思ったのですが、全くそんなことはなかったです。

様々なキャラクターたちが織り成す物語にすぐに引き込まれてしまいます。

一番印象に残るのは、チェン・シャオという俳優さんが演じていた沈星移ですね。

役立たずのお坊っちゃんだったのが、周瑩に認められようと努力を重ね、どんどん立派な人間になっていく、という過程を魅力的に演じておりました。

悪役もインパクトがありました。貝勒の配下の杜明礼。

元宦官で京劇マニアのこいつがまた、自分の得になること以外は一切しない、ずる賢いやつで、何度も周瑩を窮地に追い込みます。

最後、ついに周瑩の反撃で追い詰められ、自害に追い込まれるシーンは、スカッとしました。

ところが、さぁ、あとは、星移とついに結ばれて、めでたしめでたしじゃ、と思いきや、まさかの星移の死!

努力を重ね、ようやく周瑩に認められる人間になったにも関わらず、革命に身を投じてしまうのです。

ハッピーエンドじゃないの?嘘やろ!

と、思ったのですが、よくよく考えてみますと、中途半端に努力なんてできません。

周瑩の心を掴むために、頑張ってきたのに、結局は、彼女の想いを超えてしまう、というのは、リアルかもしれません。

このドラマ、陰謀だけではなく、商売というものについても考えさせてくれます。

一番印象に残ったのは、このシーン。

軍に納める薬を作る際、安価な代用品を用いたほうが儲かる、効用はほとんど同じなのだから誰にも分からない、と進言した周瑩を当主が叱責します。

呉家東院が大きくなったのは、利益を上げるのが上手かったわけではなく、「誠」と「義」を貫いたからだ、というのです。

商売というと、どうしても利潤の追求に走ってしまいます。

しかし、そんなことよりも、決してインチキをしないという信用こそが家を大きくするのだという考えには、感銘を受けました。

「宮廷の諍い女」、「ミーユエ」、に次いで、こちらも名作でした。

今のところ、スン・リーものにハズレはありませんね。

未見の方は、ぜひ、どうぞ。


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