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運動会 頑張れ若手教師!学年を変えよ!「提案文書」を公開

 この「ヒント帳」では、ここまで6回に渡って「運動会」シリーズで書き進めてきました。
 いくつか「新しい指導のコツ」もあったと思いますが、自分としては、「まっとう」なことをお伝えしてきたつもりです。

 しかし、まっとうなことが通らないことが、学校現場では起こるのだということも、残念ながら事実です。

学年主任の言葉に唖然とした

 若い頃、運動会指導でこんなことがありました。
 2年生の団体競技で、「だるま運び」をすることになりました。
 回旋リレーの形式です。
 張りぼてのだるまを台の上に乗せ、4人で運び、コーンを回って戻ってきます。
 そのコーンを回る時に遠心力がだるまに働き、だるまが落ちたり、落ちそうになったりします。それを何とか落とさないように4人で協力して「コーンを回る」ところが、この競技の一番の面白さだ…と考えていました。

 私の学級を始め、いくつもの学級がコーンを回る度にだるまを落とし、慌てて乗せ直しています。
 ところが、学年主任の学級だけは全く落としません。そして、1位。
 実は、子供たちが「コーンを回っていない」のです。コーンを回らずにただ通り越し、すかさず体の向きを反対に変えて戻ってくるという、「往復運動」をしていたのです。
 そして、レース後の主任の言葉。
「別にコーンを回らなくてはいけないというルールでは、なかったよね。コーンの向こう側には行っているから問題ないよね。それに、これは子供の考えた作戦だからいいよね。」
でした。
 そう来たか、と思いました。開いた口が塞がらないとはこのことでした。

文書をもって提案する

 若い教師が、「運動会の目的は…」とか、「体育学習としてのねらいを…」とか言っても、なかなか聞いてもらえないことがあるかもしれません。
 ましてや、「学年全体の子供が高まる運動会にしたい」などとは、立場上、言いにくいかもしれません。

 私は、先程のような経験を踏まえ、以後、学年内で担当した運動会種目について、方法やルール、練習計画などをきちんと文書で提案をするように努めました。
 学年でしっかりと協議をする体制をつくろうと考えたのです。

 以下に、かつて私が作成した6年生の「学級対抗全員リレー」の競技方法・ルールに関する提案文書を示します。
 当日欠席する子があった場合や走る順番を間違える子が出た場合などの不足の事態への対応について、方法はもちろん、教育観まで統一できるように提案しています。子供たちが練習段階から本番を想定して取り組めるようにという配慮もしたつもりです。練習を行う日に欠席者が出る場合も当然あるからです。
 バトンの色の決め方まで提案しているのは、練習段階から決まったバトンを使うことで、本番でどの学級も扱い慣れたバトンを使い、実力が発揮できるように援助したつもりです。

 若手教師の皆さん、どの子も伸びる運動会、どの学級も伸びる運動会が実現できることを祈ります。どうかお励みください。

資料:「提案文書」

6年集団競技「学級対抗全員リレー」の競技方法及びルール 提案文書

※以下の方法及びルールによって6年集団競技「学級対抗全員リレー」を行うことを提案する。

1 各クラス、1チームを27人で編成する。

2 4チームが1レースで競技を行う。

3 病気、怪我などで当日参加できない子がいた場合、その子の代わりに走る子は、クラスの平均タイムの子とし、公正さを保証する。参加できない子と同レベルの速さの子やそのクラスで最も速い子には、しない。遅い子が欠席した場合に、代わりに同じくらい遅い子が走ることへの負担や同レベルの速さの子がいない場合への配慮である。また何よりも子供の人権上の問題である。速い子が走ってよければ、それは、「遅い子は走らないほうが有利。休んでくれ!」という論理につながる。

4 第1走者はセパレート、第2走者もバトンを待つ位置はセパレートとし、第2走者がバトンを受け取り、バトンゾーンの終わりからフリーコースとする。なお、コースの決定は、当日のレース直前(または前日)に、くじびきで決める。

5 バトンゾーンは、学校内で定める範囲である、後方に10m、前方に10mとし、第2走者以降が、バトンをもらうために立つ位置は自由であるが、バトンゾーン内として、一般の陸上競技場にあるグリーンゾーンに当たるものは使用しないものとする。

6 6年生のリレー指導の押さえとして、①バトンを落とさない、②リードをしてもらう、③コーナートップを用いる、④できるだけ後ろを見ないでバトンをもらうの四つが行えるように指導する。さらに、リードはダッシュリードに近付くようにすることが望ましい。

7 この4つの押さえを「ねらい」=「目当て」とした「学年リレー大会」を開催する方式で、合同体育での練習を実施する。練習計画は別紙を参照。

8 その他のルールとして、追い抜く場合は外側からとし、内側から追い抜いた場合は失格とする。オーバーゾーンも失格とする。コースアウトも同様に失格。そうしたルールを守ることも指導事項としたい。

9 万が一、走る順番を間違えたとしても、正しい順番の子が間違えた子の順番で走れば、「走る順番を急遽変更した」と捉え、失格としない。ただし、「全員が走らない」事態がおきた場合、例えば、ある子が間違えて二度走ってしまったら、そのチーム=クラスは失格とする。

10 入退場についても、後日に提案する別紙を参照。

11 バトンの色は、できる限り集団色としたいが無理があるので、1組か3組が白、もう片方のクラスが赤以外、白以外で使いたい色、2組、4組のどちらかが白、もう片方は赤以外、白以外で使いたい色とする。

12 アンカーはビブスを着用。その色もバトンと同じにする。また、全員、帽子を着用する。熱中症予防である。
 アンカー以外の子、例えば「1走」「5走」「10走」「15走」「20走」「25走」等がレース進行を分かりやすくするためにビブスを着用するかどうかは、練習を通して判断・決定する。

13 上記以外のルール・方法・得点は、運動会についての全体計画に準ずる。                             
                                                                                                                   以上