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3年社会「学区探検」 方位磁針を持たせることで「迷子」にならず2倍学べる

 3年生の社会科の「学区探検」で実際に学区を「探検」した時には、学区の地形や土地利用、交通の様子、公共施設について観察・調査を行い、白地図などに記録をすることが主な活動になります。そのことを通して、地域の様子を捉え、理解を深めるのですが、白地図にまとめたり、地図を読んだり、方位を活用したりする技能も育みます。

 そこで、私は、「学区探検」の時に方位磁針を持たせました
 方位磁針を持たせることで、ただの「学区探検」と比較して、地図を読む力や方位を使う力も育てる活動にすることができました。

 「2倍学べるオトクな学区探検」にするために、ぜひ方位磁針を持たせるべし!です。

方位磁針を持たせるよさ

 方位磁針を持たせる具体的なよさは、次の点です。

 学区探検では、ほとんどの学級が、「たんけん地図=白地図」を準備し、事前に「たんけんコース」を決めて、観察・調査に出かけると思いますが、探検中によく起こる「子供の学びを後退させる問題」に、

✅自分のいる位置が分からなくなり、「たんけん地図=白地図」に記録ができない。
✅事前に決めた「たんけんコース」を意識せずに、教師の後に付いていく消極的な調査活動になる(多くの学級が、学級単位での「引率形式」で行っているのではないでしょうか。この実践提案は、それを前提としています)。

の二つがあると思います。
 つまり、「迷子」状態です。
 いずれも、探検に持参した「たんけん地図=白地図」が「読めない」ことが原因です。自分のいる位置を地図上に「表す・読み取る」ことが、まだできないのです。逆に言うと、まだできないからこそ、その力を育むために、地図を持たせているわけなのですが。

 方位磁針を持たせることで、この「迷子」状態から抜け出せます
 つまり、自分の位置や進んでいる道、方位が確かめられます。

 以下、その使い方を紹介します。

方位磁針の使い方

1 方位磁針を準備する

 理科室に学級人数分あれば、それを使う。ない場合は、しばらくしたら購入するであろう「磁石セット(方位磁針入り!)」を、業者にすぐに注文してしまう。

2 教室で方位磁針の使い方を教える

①「方位」を使って「もの」の場所や方向を表すことができることを理解させ、四方位、八方位を教える。合わせて地図の方位記号についても複数の地図を用いながら教える。
②方位磁針の針の色の付いた方は、北の方位を指すことや、方位磁針をどこに置いても、それは変わらないことを、世界地図や地球儀を用いて教える。混乱を避けるため、磁石の働きについてはふれない。
③方位磁針は平らな所で使うことを教える。磁石が近くにあると正しく使えないことにどうしても触れざるを得なくなるかもしれない。
④使い方1を教える。…針の色の付いた方角に文字盤を合わせ、北を向く。東西南北にあるもの、窓からみえるものを調べる。
⑤使い方2を教える。…自分の見えているもの(例えば、窓から見える赤い屋根の建物)が、どの方位にあるか調べる。➡方位磁針を手のひらに乗せて、見えているもの(赤い屋根の建物)に中指を向ける。方位磁針の針と文字盤を合わせる。中指の指している方位を読む。
 

3 「学区探検」で、上の使い方④、⑤を実践する

 「探検」途中で、「今、どこにいるのか」を聞く。教師が教えてもよい。方位磁針で方位を調べ、四方位などにあるものを目印にして確認する。
「南にあるあの橋を渡って来て、東にはお寺、北に工場が見えるから、今は大体ここにいる!」
などと、分かる。実際に自分がいる場所と、地図の中の場所が重なるのである。
 「たんけん地図=白地図」に目印になる「もの」を予め描いておくことがポイント。

 また、「探検」途中で、例えば、「このまま真っ直ぐか、右に曲がるのか」を尋ねる。方位磁針で、「真っ直ぐ」の方位と「右に曲がった」ときの方位を調べる。「たんけん地図=白地図」に記してある「たんけんコース」と照合し、「コースでは、南に向かっているから、右に曲がればいい」と、確認できる。「右」という目で見えた方角が、「南」という方位に変換され、地図の中で「コースに沿って進む」ことができるのである。

「大きな白地図」にまとめる活動もスムースに

 上記の方位磁針を使う場を、一回の「探検」で、2~4回入れました。
「探検」は4回程行ったので、10回以上は、現地で実際に方位磁針を使う経験をさせたと思います。
 方位磁針を使った後の「探検」結果を「大きな白地図」にまとめる活動は、使わなかった年よりも、スムースに進んだと思います。「どこを歩いていたのか」が、地図上でも理解できていた様子が伺えました。
 また、ペーパーテストのためでない、方位の覚え方もできていたように見えました。

 ぜひ、お試しください。