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教室入り口のミニアイデアで学校に来たくなる「魔法」を子供にかける

 教室の入り口の廊下側に、ホワイトボードを一つ掛けます。そして、子供用の机を一台置きます。(避難経路は十分に確保してください!)

 これで、どの子にも「居場所」をつくる準備ができました。
 具体的に何をするのかを説明する前に、ここでいう「居場所」づくりについて確認しておきます。

「積極的な子ども理解」でどの子にも「居場所」をつくる

 以前にもお伝えしたように、この「ヒント帳」で私が言う「居場所」とは、教育制度における子供を支えるための物理的な「場所」のことでは、ありません。

 私のいう「教室での居場所づくり」とは、

・その子供が、自分の個性に気付くことができる場をつくること
・その子供が、自分の個性を発揮できる場をつくること
・その子供が、自分の個性を伸ばす場をつくること

であり、さらにそれによって、

・その子供が、周りの子に認められる場をつくること

です。

 つまり、教室の中に、その子の「生きる」場所をつくるということです。

 もちろん、小学生ですので、ここでいう「個性」とは、可塑的なものです。本人もまだ十分に自覚できていない場合が多いでしょう。
 だから、その子が、好きなこと、興味があること、得意なこと、自信がもてること、そして、みんなとはちょっと違ったところという段階の「個性」を指します。

 この「個性」に、気付かせ、発揮させ、伸ばし、周りの子の見方を変えるのですから、その子の「居場所」をつくるためには、「積極的な子ども理解」が、必要です。
 つまり、「子供を捉える➡育む手立てを打つ➡子供を捉える…」のサイクルです。

 これを、日々、授業を中心に、特別活動の指導や生徒指導の場で行うのですが、その一つの場が、<教室の入り口>です。

教室の入り口で子供を出迎えるもの

 教室前にホワイトボードと机を準備して何をするのかというと、そこに「関所」を設けます。
 そして、その「関所」をクリアしたら、教室に入って来ることができるというシステムにします。
 私は、学級開き二日目から、この「関所」による「居場所」つくりを行っていました。

 「関所」にある物は、ホワイトボードに書かれた「問い掛けや呼び掛け」と、机の上の様々なカテゴリーの「物」です。
 机の上に「物」がなく、「問い掛けや呼び掛け」だけの場合もあります。

 では、どんな「問い掛けや呼び掛け」「物」だったのか、具体的にお伝えします。

①なぞなぞや、ダジャレ(オヤジギャグ)
・なぞなぞに答えたり、ダジャレ(オヤジギャグ)を読んだりしてから教室に入ってきます。なぞなぞの「答え」は、教室前面の黒板に書いておき、「自分で答え合わせ」をします。
 これは、次の「言葉遊び」の一種ですが、「お楽しみ」要素が強く、そこがねらいのため項を別としました。くだらないとお思いでしょうか。「ダジャレ(オヤジギャグ)が楽しみで、学校に足が向いた」という不登校傾向の子供もいました。
 
②教科などの学習に関連した物(前日やその日の学習内容とつなげて)
・言葉遊び(早口言葉、回文、アナグラムなど)
・漢字クイズ
・算数の問題(すぐに答えが出せる計算や、少し頭を使うようなパズル的、クイズ的な問題を)
・地図(地域地図、日本地図、世界地図などで、地名や国名を言ったり探したり…)
・図鑑(指示した頁の内容を読んだり、問われていることについて調べたり…)
・本(指示された文を読んだり、暗記したり…)
・上記以外の教材や教具(線の長さを定規で測ったり、台秤の目盛りを読んだり…)
 
③行事や特別活動、生活の仕方に関連したもの
・その日の「目当て」「頑張りたいこと」を述べてから入室!(運動会や遠足の時に。また、普段の日でも、「今日の掃除で頑張りたいことは?」などと。雨天の日には、「今日の教室での過ごし方で注意したいことは?」と問う)
 
④季節の自然や生活に関するもの
・生き物(植物、昆虫などなど。タンポポ、イガに入ったクリ、紅葉した葉などから子供は季節を感じ、季節探しが始まる。カブトムシの幼虫の入った飼育ケースを置いておくだけで、低・中学年の子供たちは大喜びする。家で飼っている生き物を持ってきたり、休み時間に採ってきたりするようになる。ハスの花が枯れた後の「花托」を置いた時には、「何だろう」「ハチの巣か」とちょっとした騒ぎになった。)
・「今日(明日・昨日)は何の日か?」という問いも効果的。日本には、様々な「記念日・国民の祝日」がある。都道府県限定の「記念日」もある。二十四節気についても学べる。
 
⑤話題のニュースや出来事
・身近なことや世界の出来事まで、新聞記事やネット画像などを貼っておく。政治、社会、文化、スポーツなど幅広く。
 
⑥玩具
・けん玉やこま、お手玉などを置いておく。一回挑戦したら入室する。
 

子供の顔を思い浮かべて「関所」づくりを

 上記以外にも「関所問題」「関所グッズ」は、様々に考えられるでしょうが、ポイントは、ねらいである、全ての子の「居場所」づくりであることです。
 だから、多様なジャンルに渡っていることが大切です。
 特に授業とのつながりが重要です。
 そして何よりも、子供が前のめりになるもの、つまり、知的好奇心を喚起させるものであることが必要です。
 
 私は、前日の退勤前に準備をしていたのですが、常に、あの子供を笑顔にするにはどんな「関所」がいいかと、、具体的な子供の顔を思い浮かべながら用意をしていました。それは、私にとっては、かなり楽しい時間でした。そして、そのために毎日をネタ探ししていることも、楽しみの一つでした。
 
 こんなことをしていたら、ますます仕事が増えるとお思いでしょうか。