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ファシリテーターをはじめたのいつだっけ?それは25年前のアート展だった!の巻

12月6日担当の
石塚計画デザイン事務所の千葉晋也です。

いきなりなんのこっちゃと思われるでしょう。
この記事は『ファシリテーター Advent Calendar 2020』に参加していて、その12月6日の記事なのです。ぜひ、他の記事も読んでみてくださいね。

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さて、実はワタクシ本日50歳の誕生日!こんな未熟なのにもう50代に!焦りますね。そしてファシリテーターは1995年からやっている気がするので25周年になります。
ということで、他の方に役に立つ話はお任せするとして、私は遠い目をしながらファシリテーターをはじめた時のことを勝手に振り返ろうと思います。

まちづくりとファシリテーション

その前に自己紹介します。

私の仕事は「まちづくり」のお手伝いです。
市民がまちに関わって様々な社会課題の解決に取り組む時。
あるいは行政計画を市民参画でつくる時。
それらがうまくいくための場づくりとして、ワークショップやイベント、メディアのデザインなどを行い、市民と行政、企業など様々な立場の人が集まり創造的な議論を育むためのファシリテーターを担っています。

その辺の話はこの記事もご参照ください。

このアドベントカレンダーに寄稿するきっかけになったのは。gaoryuさんとの出会いです。gaoryuさんと会ってはじめて、世の中には多種多様なファシリテーターがいるということを知ったのです。それまでは、まちづくりの世界のファシリテーターのことしか知りませんでした。

私の知る限り、まちづくりや市民活動の世界には、90年代にアメリカから市民参加の手法としてワークショップやファシリテーターの手法が輸入されてきたと聞いています。
そして、ワークショップの手引きとして、世田谷まちづくりセンター(現世田谷トラストまちづくり)の『参加の道具箱』シリーズを読んで、ワークショップに挑んだものでした。

その後、弊社の元代表の石塚雅明が、小樽運河の保存運動の中で取り組んできた市民協働の理念や合意形成のスキルなどを『参加の「場」をデザインする―まちづくりの合意形成・壁への挑戦』で、弊社流のワークショップデザイン、ファシリテーションスキルをまとめ、私の代に引き継がれています。

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はじめはアートから

それでは、私がまちづくりに出会うちょっと前まで遡ります。
私はもともと大学で美術を専攻していました。
お金も作品もたいしてない学生は「グループ展」という、作品を出したい人が集まって折半して会場費を出して展覧会を実施するのが作品を発表する手段のひとつでした。
私が活動の拠点としていた札幌の「FreeSpacePRAHA」という場所は、病院だった建物をリノベーションして、アーティストや建築家、劇団などがシェアするスペースで、今ではそんなにびっくりしないかもしれないけど80年代後半の札幌ではとんでもない面白いスペースだったと思います。

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私は、受験生の時期からPRAHAに参加していたので、もう30年以上前の話ですね(笑)
1993年のある日、PRAHAでグループ展をやろうと、数人の仲間と考えていました。
でも、グループ展って、作風もコンセプトもクオリティも全然違うものがひとつの会場に並んでいるものなので、街なかのギャラリーならまだしもわざわざ電車に乗って見に来ていただくのってなんか申し訳ないよね。という話になりました。(PRAHAは都心からはちょっと離れたところにある)

また、PRAHAの壁は、釘を打ち付けた後にろくに補修もしないで白いペンキを塗ると言うハード仕様。壁を見ているだけでも現代美術のような迫力があり、学生の作品など、壁に負けてしまうという話もありました。

そんな話し合いの中から、壁の魅力を来てくれた人たちにも共有したい。そして、参加してもらうことでいっしょに何かを作り出せるものにしたい!ということになり、個々人の作品を掲げないグループ展。『PRAHAUS 空間の変容展』というアート・ワークショップが誕生しました。

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この展覧会は、来場した時目にする風景は、一見会場になにもない!!と面食らいます。
そこに我々スタッフが、会場中央にある台に乗っているグッズを渡します。そのグッズには、「数字が書いてあるカード」と、「紐」と「くぎ」が入っています。参加者は会場の壁面にプロットされている数字を探し、そこに釘を打ち、紐をつなげる。次に来た参加者も同じことをくりかえすことで、空間が紐でネットワークされることが可視化されるというわけです。カッコよくいうと参加者が増えるごとに空間が彫刻されていく感じです。

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参加者が増えるほど、紐の描き出す空間は魅力的に展開していきました。ただ来場者に壁を見てねと言ったら怒られるかもしれませんが、壁の穴一つ一つにナンバリングがされていて、それを探していくうちに、壁や建物、庭との関係、前の人にことなども感じることができて、自分も関わった会場中に張り巡らされた紐自体を嬉しそうに眺めてくれるのです。

この企画を通して、私は参加の場、ワークショップの可能性に目覚めました。この時はアーティストの立場から参加者と作品づくりをしていたわけですが、今思うと、ファシリテーターとしての出発点はここだったのかな?と思いました。
作品を見せることより、参加者が気づきや発見を促し、その発見は他の人とつながってひとつのものになっていく。

これを機に、私は人といっしょにつくること(共創)、人と人とが関わりお互いの強みを生かしながら創造をしていくことに強い関心を持つようになり、その関心はまちへと広がり、PRAHAの運営母体だった、柳田石塚建築計画事務所(現弊社)に就職し、まちづくりワークショップという手法を通して様々な取り組みをして今日に至ります。

昔話にお付き合いくださいましてありがとうございます!!

25年もワークショップとファシリテーターをやってきましたが、スタートはこんなことだったんだという話をみなさんと共有しつつ、あと何年続けるのかわかりませんが、様々なファシリテーターのみなさんから、いっぱい吸収して、共創しながらどこかのまちでファシリテーターを続けていけたらと思います!

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


【お知らせ】石デ・オンライン #2 〜ガオリュウさんとオンラインツール体験会〜開催します!

市民参加のまちづくりを精力的に進めている石塚計画デザイン事務所(石デ)が、関心のあるみなさんとつながり、学び合うオンラインセミナー『石デ・オンライン』を開催しています。

第2回として、ファシリテーター仲間であり、さまざまなオンラインツールを使いこなす「gaoryu」さんこと高柳謙さんをゲストに迎え、オンラインツール体験会を開催します。

オンライン会議のツールとしてZoomなどがすっかり定着していますが、単に音声と映像でつながるだけでなく、相手との距離感を自分で調節する、オンラインボードをリアルタイムで動かしながら画像や映像を共有する、3Dのデジタル空間を移動するなど、さまざまなことができるツールが登場しています。
新しいツールを知ることで、オンラインならではワクワク感があるワークショップやイベント、会議のスタイルがデザインできるのではないでしょうか?

体験会として、ガオリュウさんのナビゲートにより、それぞれのツールにログインしていただきながら実際に使っていただけるよう企画中です。なるべくPCからご参加いただき、ブラウザはGoogle chromeの使用を推奨いたします。ツール体験の様子は常時Zoomで画面共有しますので、視聴のみの参加も可能です。
体験ツールは、oVice、here、MeetButter、SpatialChat、Miroなどを予定しております。

●開催日時

2020年12月16日(水)19:00〜21:00

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