ひきずる女。

天皇陛下が即位を宣言されました。

上皇陛下が退位されたのは今年4月30日。あの時も日本は物々しい空気に包まれたものでした。

ひとつの時代が終わる時、私たちの心は多かれ少なかれ揺れずにいられない。「○月○日に終わるよ?終わるからね?」とあらかじめ告げられているにも関わらず、その瞬間までジタバタしてまうねん、なんでやろ。

退くといえば今、もうひとりの方が世間をざわつかせている。その方とは、西田局長。

あ。西田局長って、
探偵ナイトスクープの西田局長ね。

あ。探偵ナイトスクープって、
複雑に入り組んだ現代社会に鋭いメスを入れる番組ね。

あ。オープニングが
ベッドの〜周りに〜何もかも脱ぎ散らして〜
もうあんたは!まーた脱ぎ散らしてからに!靴下片っぽない言うたかて知らんそんなん!脱いだもんは洗濯かご入れとき言うてるやないの!

って、おかんにバチクソ怒られる歌ね。

そんな歌ちゃうわ。


「ハートスランプ二人ぼっち」はそんな歌ちゃうねん。

というか


あの歌って


「ハートスランプ二人ぼっち」ってタイトルやったんか。



へー。


……ん?


何の話やっけ?
あ、そうそう!
西田局長がやめるって話しよ!

西田局長の降板に対してSNS上では、
「えええ〜!?」「マジですか〜!?」
「西田局長、辞めないで〜〜〜!!!」「次の局長、誰〜〜〜!?」

など、さまざまなどよめきの声が溢れている。


天皇が退位される時、

「えええ〜!?」「マジですか〜!?」「天皇、辞めないで〜〜〜」「次の天皇、誰〜〜〜!?」

と国民が騒いだ気配は感じなかったけども。

なかったけどもとにかく探偵ナイトスクープはこの秋、

一つの歴史に終止符を打つことになる。

でもね。

黎明期の探偵ナイトスクープにハマった私にとって
初代局長、上岡龍太郎師降板のショックはこんなもんじゃなかった。

いや、西田局長がどうとかじゃなくて

はっきり言って2代目が誰とか関係なくて、ただ

「上岡局長じゃない」ことが「受け入れられない」。

今で言う、完全なロス状態でした。

あんなに楽しみだった金曜の夜がちっとも楽しくない。
テレビをつけて上岡局長がいないのを確認しては
「はぁ……」とため息をつき
しょんぼりと寝る。

ベッドの

周りに

何もかも脱ぎ散らして。

…………うおい!

お前がほんまのハートスランプやないか!!

ね〜、言うてますけども。

そして、
そのまま私は探偵ナイトスクープ劇場の客席から、ひっそり退場してしまったのです。

今の今まで再入場せず。

なが!!

ひきずりすぎやろ。


「遠山の金さん」の時もそうでした。

初代の中村梅之助さん演じる金さんに心底惚れてしもてた私。当時、小学校低学年やったけどかまへんやんな、そんなもん。

♪気前が良くて 二枚目で ちょいとヤクザな遠山桜〜〜

おかーさん、おかーさん、二枚目ってどう言う意味?

おかーさん、おかーさん、ヤクザってどう言う意味?

とか目をハートにして聞きまくってたよ。

梅之助の金さんは、丸顔で、ファニーなフェイスがラブリーだった。

お白州のあのシーンになるとブラウン管に駆け寄って

梅之助のもろ肌脱いだ時のむっちりした肩周りから、

桜吹雪に囲まれた乳首までのセクシーゾーンを

毎回食い入るように見つめておりました。

きゃー!梅之助ー!

なのにその日はやってきた。

主役交代。

私の記憶では、梅之助の次は橋幸夫さんだったのですが、今ググってみると2代目は市川段四郎さんだったらしい。まったく記憶なくて段四郎さんには申し訳ないことです。多分、梅之助ロスが深すぎて、完全に心を閉ざしていたのでしょう。

三代目の橋幸夫さんからはっきりと記憶がある。まったくこの新しい金さんが受け入れられない自分の心の記憶。

だって、梅之助と全部ちがうんだもん。

声がちがう 顔が違う 刺青がちがう 乳首がちがう

ア・ア・ア イミテイションゴールドやないかーい、言うて。

そんなこんなでそのまま遠山の金さん劇場からも退場した私。

杉良太郎の時、ちょっとだけ再入場したけど。

すきま風はええ歌やな。

そやけどやっぱり梅之助以外は根底部分で受け入れられへんの。

ひきずりすぎやろ。


で。最近で言うと、ジョーカーですよ。

今、世界中を席巻している映画「ジョーカー」。

バットマンシリーズなーんも見てない真っ新状態で、いきなり今回のジョーカーにぶち当たり、見事、ホアキン・フェニックス演じるアーサー(のちのジョーカー)に魅入られてしまったのです。

すると映画部のパイセン兄さんたちに、そないにジョーカー良かったんやったら時系列は逆行するけどと、『ダークナイト』を勧められまして。

さっそくレンタル動画で観ました。

『ダークナイト』。とにかくヒース・レジャー演じるジョーカーの凄まじさはお墨付きの一本、なのに。

あれ?ホアキンと全然ちがう。

(↑当たり前や。ヒース・レジャーや言うねん)

しかも、このジョーカー、めっちゃ悪いやん!

(↑当たり前や。ダークナイトは完全な悪に仕上がってからのジョーカーや言うねん)

ホアキンジョーカーはなぁ〜、悪ぅなりとぉてなったんちゃうのやでぇ〜、めっちゃつらい思いをしたのやでぇ〜〜〜〜

(↑うるせえ)

やばい。ホアキンジョーカー以外が受け入れられない。

私は静かに再生停止ボタンを押しました。『ダークナイト』上映時間わずか30分足らず。

そのことを後日、映画部のパイセン兄さんたちに話すと、二人は口を揃えて言いました。

ひきずりすぎやろ。


やはり。

わかっちゃいるが如何ともしがたいこの性分。

多分、多分なんだけど、

「ダークナイト」をコンプするより先に

もっかいホアキン・ジョーカー観に行く思うねん。

ひきずる女、全開やでしかし。


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