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読んでもオモロイ演芸台本❼ シンクタンク『人生にスパイスを』

先日(2020.6.24)開催された『関西ライターズリビングルームオンライン』にて、演芸作家のあれこれをお話しさせていただきました。

「作家にとって良い演者とは」という話になった時、私は「台本の行間まで読んでくれる演者さん」とお答えしたのでした。若干ウロ覚えですけども。

つまり

作家があれこれ説明しなくても、台本を読んだだけでその意図やノリをスルスル〜ッと理解してくれるのが良い演者さん。

ゆえに

良い演者さんは往々にして打ち合わせも短いのです。

サクッといっちゃうの。あんまりこねくり回さない。


「例えば、どなたですか?」

進行の吉村智樹さん、めっちゃ切り込んでくるやん!!

実名ですか。

うわ〜、ぎょうさんいてはるんやけど、どなたの名前を出したらええのやら。

脳内を検索したらポンと出てきたのが

シンクタンクさん。

去年、NHK上方演芸会でご一緒させていただいた時のことを思い出したのです。

その時の収録レポはこちら。

https://note.com/ishi817/n/nb8dca5cf7c0e

レポにはネタの詳しいことは書いてないので、今回、その時の台本をフルバージョンで公開したいと思います!!

ババーン!!

途中から有料公開になるけどごめんね!!

話しの流れは

普段から緊張感のないタンクさんに、シンクさんが緊張感を保つプレゼンをしていくっていう趣向。さて、どんなプレゼンがあり、タンクさんがどう応えるか。ぜひご一読くださいませ!!!


●NHK  上方演芸会

●タイトル『人生にスパイスを』

●演:シンクタンク

●制作日:2019.4.12

●収録日:2019.4.26


シンク「我々も長いこと漫才やってますが」

タンク「そやなぁ。今日は我々コンビの歴史の長さをお伝えしたいね」

シンク「お伝えしましょ。シンクタンク、結成しまして今年の五月でなんと、」

タンク「……何年ですか?」

シンク「覚えてへんのんかいな」

タンク(客席に)「何年ですか?」

シンク「お客さんに聞くな!自分のコンビ歴 ぐらいちゃんと覚えとかんかいな。我々コンビ組んで二十六年ですよ」

タンク「二十六年……まだまだ駆け出しですわ」

シンク「どの口が言うとんねん。二十六年いうたらもうベテランやで」

タンク「何を言うとんねん。芸人は売れるまではみな駆け出し!」

シンク「悲しいこと言いな。年齢かてもうじき五十歳ですわ」

タンク「えぇ〜、見えへ〜ん」(クネクネとしながら)

シンク「誰やそれ!アホの女みたいなリアクションしてからに」

タンク「あ、お前……今、全国のアホの女を敵に回したぞ」

シンク「どう言う状況や、全国のアホの女を敵に回すて。ほんで出てきてからずっと何をグダグダ言うてんねん。お前はもうちょっとピリッとせなあかんよ」

タンク「どういうことやねんな、それ」

シンク「さっきの楽屋入りもそやないか」

タンク「楽屋入りがどないしてんな」

シンク「どないしてんて!自覚ないんか?あのな、今日は上方演芸会の収録やで? 新ネタおろさなあかんねんで?楽屋みなピリピリしとんねん。そやのにお前、あれはどんな登場の仕方やねん、楽屋にペロペロキャンディーペロンペロンなめながら入って来たやないかい!」

タンク「あ〜、それか〜」

シンク「それか〜、やないねん。大事な収録の前にペロペロキャンディーペロンペロンしながら入って来たら『こいつ、なめてんのんか』って思うで!」

タンク「そらペロペロキャンディーだけに…」

シンク「いらんこと言わんでええねん!ペロペロキャンディーなんちゅうもんはメリーゴーランドクルンクルンの横でペロンペロンするもんやねん、クルンクルンのペロンペロンやねん、神聖な楽屋にペロンペロンを持ち込むな!」

タンク「そないに怒らんでええやろ」

シンク「だいたいお前は普段から緊張感がなさすぎる」

タンク「そうかなあ」

シンク「そやねん。人生にはスパイス、つまりドキドキする瞬間が必要やねん」

タンク「んー、そやけど普段、ドキドキする ことなんかあんまりないで」

シンク「なかったら作ったらええねん」

タンク「どういう風に」

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