中国ドラマ「冰雨火〜BEING A HERO〜」(冰雨火)
朱年:チェン・シャオ(陈晓)、ワン・イーボー(王一博)、ワン・ジンソン(王劲松)
2022年 全32話
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★★★
(写真=すべて百度百科より)
(2023年4月21日追記:日本でも放送!)
刑事ものが好きではないと言いながら、なんだかんだまた観てしまったこの一本。主演の二人が超人気だが、時代劇ばかりという印象のチェン・シャオを一度観てみたかったし、ホアン君(黄景瑜)主演の2019年の大人気ドラマ『破氷行動 ~ドラッグ・ウォーズ~ (破冰行动)』と同じフー・ドンユー(傅东育)という監督なので、これはおもしろいだろうと確信。脇を固めているベテラン俳優たちもほぼ同じで、案の定、期待を裏切られなかった。
覚醒剤撲滅を目指す警察と覚醒剤密造・密売組織との終わりなき戦い
ワン・イーボー演じるチェン・ユー(陈宇)は3年前のある事件で失敗を犯し、ほかの部署に配属されていたが、また希望の云河県警察署麻薬取締部に戻ることができた。その部署は新たに広がりつつある「イエローカプセル」(中国語で「大黄胶囊」と出てくる)という覚醒剤の製造元を突き止め、なんとしても密造・密売を取り締まるという任務を持っていた。
ある殺人事件をきっかけに密売組織に関する人物が数人浮かんでくるが、何とその一人がチェン・ユーの幼馴染の、チェン・シャオ演じるウー・ジェンフォン(吴振峰)であった。彼は3年前に父親を殺され、その真相を探ろうとしていたが、どうも密売に手を染めているらしい。
そんなジェンフォンを説得しようとするチェン・ユーだが、密売組織はイエロー・カプセルの密造・密売を軌道に乗せるために着々と準備を進めている。
警察と密売組織の戦いが始まる。
複雑に絡み合う人間関係
「100人中7人が中毒者、2人が売人、1人が警官」
と言われるほど覚醒剤が浸透しているここ云河。南の国境に接している地域のため(撮影地は雲南省)、麻薬の密売がある意味一つの重要なビジネスになってしまっている。
したがって、一家の中に中毒者も売人も警官もいるなんて家もあり、本作でもそういった彼らの問題、葛藤が残酷なまでに描かれている。
なので、またまた複雑なのが人物相関図。ホアン君のドラマの時も大変だったが、今回も相関図にはお世話になった。これは百度百科に出ているもので、最初のうちはこれを何度も引っ張り出して、見ながらドラマを観ていた。
何が悪なのか?
麻薬は怖い、悪い、と多くの人は思っていると思うが、本作でその怖さ、悪さというのが浮き彫りになるのが麻薬の「売人」である。薬物依存症になったらリハビリをしようと思えばできる。しかし売人は、多くの場合は自分自身が依存症であると同時に、ある意味ビジネスマンでもあるところが厄介である。
最初は下っ端の売人から始め、ここでビジネスの才能があるとおそらくどんどんキャリアアップして、一つの組織を作ったりする。本作でも下っ端から、実際にボスになった人物が鍵になっている。しかも、れっきとした他の事業なんかもやっていたりして、表向きは名の知れたやり手のビジネスマンであったりする。
神父をやっているよりかはまだいいだろうが(そう、あのドラマの人、笑)、金儲けに長けているので、麻薬を売るために次々と巧妙な手段を考えつくのである。
本作は実話ではないようだが、雲南省という自治州などを多く抱え、「黄金の三角地帯」も近い特殊な地域が舞台。出てくる地名はどこも架空のもののようだが、かなり実話にインスピレーションを受けている部分もあるのではないかと思った。本作の密売組織も一つは隣接した国の「境外特区」にアジトを持っており、そことの行き来の場面がよく出てくるのだが、本作のテロップによればシーサンパンナ・タイ族自治州(西双版纳)のあたりのよう。いつもの現代劇ドラマの舞台とは全く違うロケーションなので、なかなか興味深かった。結構蒸し暑そうだが。。。蚊とか虫も多そうで、撮影は大変だったのではないか(と要らぬ心配)。
キャストにも期待を裏切られなかった!
このドラマを速攻で視聴した人はおそらく大半がワン・イーボー目当てだと思うが、私が見たかったのはまずチェン・シャオ。全然違う顔の印象を持っていたが、本作ではちょっと髭を生やしていて、角度によっては斎藤工にしか見えなかったと思うのは私だけ(笑)?ダークな役柄をうまくやっていて、なかなか良かった。
しかし一番のお目当てはこちら↓、ワン・ジンソン!
上記のホアン君のドラマでは、彼は悪の根源の麻薬王役であったため、本作でも公安局長(警察署長にあたるのかな?)であるものの、最初はもしかして密売組織側なんじゃないかとも疑ったりしてしまったが、人情味あふれるいい上司役、父親役であった。実の娘には邪険に扱われて、フッと見せる寂しい顔がこれまたいい。
物語の初めは、人物の関係や全体像が掴めないかも知れないが、次第にわかってくると引き込まれてしまう。特に26話目から最終話までは、本作のクライマックス。警察の人海戦術を巧みに使った逮捕劇のシーンはこの監督の得意な部分なのであろうか、本作でも見応えバッチリである。
人気俳優たちの主演なので、おそらく日本でもいつか放送・配信があるのではないかと思うが、警察ドラマとしても、サスペンスとしても、そしてヒューマンドラマとしてもオススメである。
(2023年4月21日追記:)
2023年5月8日より衛星劇場で放送開始!
リンクも衛星劇場の予告編に変更。
OSTは音源のみのようだったので、こちらの予告編をリンク。YouTubeで検索すると、2つ予告編が出てくるが、こちらが新しいバージョン。