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おせち料理の話

料理屋の息子として生まれ、小学校に上がる前から洗い物を手伝い始めた僕。いつもは食器の洗い物ばかりでしたが年に一回だけ、食材に触れる時がありました。それが、おせちです。
一年に一度の特別なおせち作りを楽しみにしていた記憶があります。

僕の思い出はどちらかというと『食べる』よりも『作る』事の方が印象深いものでした。少数派かもしれません。

皆さんのお正月の思い出におせち料理は入っていますか?親戚が集まりお重を囲んだ記憶、ご家族と作った黒豆や栗きんとんの記憶がある方もいらっしゃるでしょうか。

今年も残すところ50日余り。今日はおせちについてお話ししたいと思います。

おせちとは
〜一つ一つの料理は、火を通したり干したり、あるいは酢に漬けたり、味を濃くしたりするなど、日持ちする物が多い。これは歳神を迎えて共に食事を行う正月の火を聖なるものとして捉え、神と共食する雑煮をつくるほかは火を使う煮炊きをできるだけ避けるべきという風習に基づく。家事から女性を解放するためという要素があるとみる説もある。wikipediaより


冷蔵庫の普及、保存技術の向上により、和食以外のフレンチや中華など様々なジャンルのおせちも登場し、おせちの進化・多様化が進んでいます。

おせちには、さまざまな料理を盛り込みますが、一品一品に意味が込められています。


黒豆:真っ黒になるまで健康に働けるように。マメになれるように。
栗きんとん:商売繁盛・金運
伊達巻・昆布巻き:巻き物として捉えて知識が豊富になるように
数の子・いくら:子孫繁栄
田づくり:五穀豊穣祈願(昔カタクチイワシは畑の肥料にされていたため)
叩きごぼう: 代々続く事の祈願(土の中に長く細く根を張るため)
紅白かまぼこ:かまぼこは日の出を象徴する色と形
鯛:めでタイ(鯛)との語呂合わせで祝い事を表す。
海老:長寿祈願(海老のように背中が丸くなるまで長生きができるように)
くわい:必ず上にまっすぐと芽を伸ばす姿から縁起が良いとされる。

特に『数の子』『黒豆』『田作り(関西では叩きごぼう)』は三つ肴と言われ、お正月のお祝いに欠かせないものとなっております。

先述の通り最近のおせちは多様化が進み、和洋折衷色々な楽しみ方が増えています。おそらく、昔より全体的に美味しくなっているのかなと思います。正月におせちをしばらく食べていなかった方も是非今年はお召し上がりください。お料理好きな方はぜひ一品でも作ってみるのも素晴らしいと思います。忙しい師走の中、簡単ではないと思いますが、手作りのおせちは日本の季節を感じられる貴重な瞬間になるでしょう。

僕たちが丹誠を込めて作る伊勢すえよしのおせちは全て手作りです。大量生産のものと違い、一品一品思いを込めてお作りしております。せっかくなのでいくつか紹介させてください!

あまごのこ
イクラよりも食感のしっかりしているあまごのこは、プチっとした食感を活かすために、塩漬けにせずに特製のつけだれに漬け込んでいます。

熊野地鶏
熊野地鶏は旨味がとっても強いのですが、硬くなりやすい性質があるため、特製の出汁の中に入れて温度を微調整しながら、ゆっくり火を入れています。炊いた後に、皮目を炙って香ばしさを出して、より地鶏の風味を味わえるように仕立てています。

黒豆
黒豆は僕の父 田中末義が栽培したふっくらした大粒のものを使用しております。
黒豆の仕込みには最低でも3日、手間暇掛けて作ります。一日浸水して戻し、さらに丸一日かけてふっくらと湯がき上げ水を何回も変え、二回に分けて砂糖を入れて味を含ませていきます。急激な温度変化をさせないようにしながら、水から黒豆が出ないようにしながら、ぐつぐつと沸騰させないよう常に注意しながら、丁寧にゆっくりふっくらと炊いていきます。

伊勢海老真薯
伊勢海老を丸々一匹使った上に、エビ真薯(しんじょ)を合わせて蒸し固めてます。硬くなりすぎないように工夫を重ね、伊勢海老の風味を最大限生かせるようにいたしました。

伊達巻
伊達巻は、先代田中末義直伝の技です。すり身を使わずに卵と出汁と調味料だけで仕上げています。じっくりとじっくりと混ぜながら、鍋で温度を上げていき、固まりきる直前で伊達巻の鍋に入れ換えて高温のオーブンで焼き固めます。その後すぐにまきすで巻いて整形して、冷ましてから切り出しをします。ふっくらしっとり、すり身を使わないからこその独特の仕上がりです。

あまご甘露煮
ツボぬき(下処理)をしたアマゴに串を打って、焼き上げます。鍋に広げるようにきれいにアマゴを並べて、調味料、ほうじ茶葉を入れて、重しをしてからたっぷりの水をいれます。3〜5時間ほどかけて、ゆっくりじっくり火を入れていきます。最後の方は常に出汁をアマゴに掛けながら艶っぽく照り良く仕上げます。煮方の腕が試される料理です。頭、骨までお召し上がりいただけます!

トロさわら西京焼
三重県の答志島からのブランド鰆、トロさわらを使っております。その名の通りトロのように脂の乗ったこの時期だけの御馳走です。魚の状態に合わせて12〜20時間西京味噌に漬け込み、焼き上げます。素材の旨みを最大限に引き立てられるようにと味付けもシンプルにしております。

祝い鯛
お祝いのお正月に必要な尾頭付きの鯛は伊勢まだいを使用しております。頭は開かずに中の骨を取り除き、下味をつけて焼き上げます。鯛の骨から出汁を取った炊き込みご飯用の出汁と、お米(伊賀コシヒカリ無洗米)を付属しております。それぞれ炊飯器に入れた上に鯛を丸ごとセットして炊いてください。お正月に炊きたてのすえよしの鯛めしをお楽しみいただけるようにご用意しております。

つい熱が入って宣伝のようになってしまいましたが、和食の料理人人生としての集大成として、毎年気合十分でお作りしております。残り若干数ですがご注文も受け付けております!

ご注文はこちらから。必要事項を記入の上メールにて承っております。

今年はコロナの影響もあって帰省や、親族集まってのお正月は難しいかもしれません。しかし捉え方を変えれば、お正月の迎え方がアップデートされ、気軽にリモートで遠方の方とお祝いを出来るようになったと考えることも出来ると思います。ご自身で作ったおせち料理を送ったり、同じお店で注文したおせちを送って、「繋がるおせち」でお祝いしてみてはいかがでしょうか?

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