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『嫌われる勇気』読みました。

どんな本?

アドラーという心理学者の教えによる人生哲学の本です。

ジャンル的には自己啓発本ですが、並の自己啓発本のレベルを超えていました。もしかすると、今後の人生を変えてしまうかもしれない、それくらい強烈な内容でした。

2013年に発行され、10年以上経っていますが、今でも書店の目立つ位置に置かれ、売れ続けています。

ということで、そんなに売れている本について、私なんかが感想を書く意味はもうないのですが、書きたいので書きます。

どんな人にオススメか

多くの人が本書を手に取る理由はよく分かりました。

人生に悩む者を鼓舞する、厳しくも力強いメッセージが本書の至る所にちりばめられています。

幸せになるにはどうすればよいか知りたい人、人間関係に悩んでいる人、人生の意味を知りたいと思う人には、薦めたいと思いました。

本の形式

本の形式としては、哲学者と青年の対話形式です。

二人の会話を追うことでアドラー心理学のエッセンスを知ることができます。

300ページ近くあって文字がびっしり詰まっているので、一見読み通すのが大変そうですが、哲学者と青年の会話を横で聞いている感覚で読んでいけるので、意外と早く通読できます。

本の内容を少し紹介

本の中で哲学者は、

「世界はどこまでもシンプルであり、人は今日からでも幸せになれる」

と説いてます。

しかし、それに納得できない青年が訪ねてきて、哲学者を論破しようとします。

その青年は人付き合いが苦手で、いろいろと屈折した性格の人物です。

彼のひねくれ具合が非常によかったです。

青年は読者の分身です。

というのは、この青年の持っている悩みは、どうしたら幸せになれるか、どうすれば他人の目を気にせずに生きることができるか、人生の意味は何だろうか、といった私たちも持っているような普遍的なものであり、親近感を持てます。

そして、本の中で、哲学者は結構難しいことを言うのですが、そういった箇所では青年が私たちの代わりに疑問を哲学者にぶつけてくれます。

青年は結構終盤まで哲学者の教えに納得せず、しつこく反論してくれます。

その応酬を読むことでアドラー心理学に対する疑問が氷解していきます。

なお、この青年がずっと哲学者に反発し続けるのか、それともクライマックスで改心するのかは見どころです。

書名の意味

書名にもなっている「嫌われる勇気」という言葉は、本の中盤で登場します。哲学者曰く、ほんとうの自由とは、他者から嫌われることである。

平たく言えば、他者の目を気にせず、自分の主観に従って生きなさいということですが、それだけでは正確に言い表せない壮大なメッセージがあります。やはり本1冊分の文章を費やして説明する必要があると思いました。

最後に

製品としての本の作りは、哲学者、ライター、校閲、フォントディレクター、といったプロたちの協業によって、非常にクオリティの高いものになっています。

私はこの本を読んで、最初は青年と一緒になって哲学者に反論したい気分でしたが、段々アドラー心理学の魅力に取り憑かれ、終盤の「ダンスするように生きる」の辺りですっかり信奉してしまうようになりました。「ダンスするように生きる」って、かなり素敵なフレーズじゃないですか。

ただし、敢えて意地悪で穿った見方をすれば、この本は、平凡な人生を生きるしかない労働者階級の人々を洗脳して飼い慣らすための書、と捉えられなくもないです。

アドラーの思想が心に響くようになるかどうか、たくさんの人に試してもらいたいと思いました。

(おしまい)

追記: この本を読んだら、X(Twitter)とかやる意味ないな!って思いました!

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