いるよね、こんな人

いるよね。すぐにスマホとか鍵とかなくすひと。大事な書類こそどこかへ行くし、忘れ物も多い。うっかりやおっちょこちょいですぐ見つかってよかったねーで済めばいいけれど、たいてい、パニックを起こしながら半泣きで床をはいつくばって物を探すことになる。朝、仕事にいかなきゃなのに家から出られない、とかって。そういう人、いるよね。

わたしだ。

今朝のわたしだ。察してくれ。

鍵をなくすのは今月2回目。ダイオウグソクムシのキーホルダーをつけた鍵。車に乗ろうとして鍵の不在に気づいた8:12。職場まで13分。始業は8:30。
まずい。まずいまずい。すぐさま玄関のドアノブを回すもドアが開かない。そうだった、うちの玄関の鍵はオートロックにしていて、閉めたらすぐに自動的にロックされるのだった。慌ててApplewatchでオートロックを解除して家に入り、思いつく限りの場所を探す。
クローゼットにかけてる昨日着てた服のポケットにはない。昨日着たズボンを今日も着てるけどポケットにはもちろん無い。キッチンにもない。洗面所にもない。洗濯機の横に落ちたのかもしれない、とはいつくばって探す。ほこりしかない。洗濯物を入れてる袋を逆さにしてぶちまけて探す。靴下がたくさん出てきた。鍵はない。全然ない。

始業時間が迫ってきた。夫にLINEするとすぐに通話がかかってきて出る。夫は子どもを小学校まで送って帰宅中で、もうすぐ帰り着くのだそう。「2階のデスクは？」「ソファは？」と冷静に言われて探すも見つからない。すんごい焦り始める。わたしの職場は遅刻にかなり優しい。というか非常にゆるい。タイムカードも出勤管理システムもないから何時に来たかの記録が一切ない。でも、それでも焦る。

夫が帰宅。鍵を借りてすぐに家を出た。遅刻した。

わたしよ、なぜ鍵をなくすのだ。と職場のデスクでしょんぼりしている。わかってる。決まった場所に置けばいい。わかってます。それができてたら無くしてないし、無くしもの忘れ物も減るはずなのです。できません。家に入るときって一番忙しくないですか。子どもの水筒やらバッグやらたくさん持って自分の仕事用のバックパックも持って、車を降りて車の鍵を閉めて、（うちは庭の向こうが竹やぶなので）蚊が入るからと急いで玄関ドアを開け閉めして。両手の荷物をあるべき場所に置きながら自分のバックパックをおろし、ジャケットを脱いで夕飯の準備を始めて…。鍵に関する記憶が一切ない。我が家の玄関ドアの鍵はスマホのGPSと連動して、帰宅したタイミングで自動で開く仕組み。だから鍵をポケットから出して手で持つことがない。自分で鍵を開ける家なら、手に持ってるんだからどこか玄関のそばに置くでしょう。ポケットに入れっぱだったからなくしたのだ。
近代的な道具を使っているせいで…！と思ったけど夫は鍵をなくさない人なのでわたしの性質の問題だった。ぴえ。
本当に見つからなかったらどうしよう。ああ、だから前回鍵をなくしたときにAirtagをつけようと思ったのに。喉元過ぎればなんとやら。車のスマートキーは作り直すのに1万円かかるらしい。なんて無駄な1万円だろう。家の中にあることは確実なのだ。なぜなら車の鍵を閉めてる＝その時点でバックパックか服のポケットに鍵を持ってる、ってことだから。絶対に見つけたい。

「家の中　鍵　探し方」で検索すると、そこには丁寧に、どの順番でどの場所を探すとよいか書いてあった。Googleは優しい。「落ち着いて」とも書いている。その優しさが刺さる。忘れ物、なくしものが多い自分が恥ずかしい。昔からそうだった。だからこんな自分に慣れてるけど、さすがに今月2回目なのが悲しい。わしのあほ！あほ…！

職場にいてできることといえば、ショルダーストラップを通販で探すことくらい。鍵と、ついでによくなくすスマホはもう常に体にくっつけとくしかない。かわいいショルダーストラップを発見した。1万円。必要な出費だけどわたしが物をなくさない人なら必要ない出費。切ない。

今、なんとなしにズボンを見たら、両膝に盛大にホコリがついてた。パッチか。はいつくばって鍵を探したときに洗濯機横にたくさんほこりがいたからな、それだね。勝手についてこんでくれ。
そういえば、前回ラーメン屋に鍵を落としたときと同じズボンやんか、と思い至る。もしかしてこのポケットが悪いのでは…。そしてやはり、昨日このズボンで夕飯後に10分ほどソファに寝転んだときに落としたのでは…しらんけど。

せっかくの金曜日なのに、夜は鍵探しに時間を使うことになりそう。先週、友人の手を借りてまで家がきれいになったのに、きれいな家でも物ってなくなるんだよ？ってことを証明してしまった。後の祭り。後悔先に立たず。鍵っ子よろしく、わたしも鍵やスマホを首から下げよう。大事な物をなくさないきちんとした大人になりたいが、今世では無理っぽい。来世に期待。