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ある日のこと(かぶ)

読んでない本がたくさんある。幸せだ。

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ビジネスパーソンにとって大事なこと(前も書いたな)。それは要点をかいつまんで話すこと。なので、頭にあることをかいつまんで書いてみた。

かいつまむ。

そもそも、かいつまむって、なんだよ。

かい つま・む [0] 【 搔 ▼い摘▽む】
( 動マ五[四] )
(多く「かいつまんで」の形で)話の内容の要点やあらましをとらえる。 「経過を-・んで話す」
「搔い摘む」に似た言葉» 類語の一覧を見る
掻い取る 要す かいつまむ 撮む 概言
(weblio辞書より)

省略が捨てることなら、かいつまむは拾うこと。
わたしは捨てるよりも拾うほうがすきだなぁ。

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拾うといえば。

小学5年生くらいのある日、両親と餃子の王将で夕飯を食べることになった。車を降りて店に歩く途中、足元に転がるオロナミンCの瓶を拾った。そして、ゴミ箱に入れた。

母は「この子、ゴミを拾った…!」と父に嬉しそうに言った。今でもそれを覚えている。しかしわたしは、母が思うような思想でオロナミンCを拾ったわけではなかった。

わたしは、道端にゴミを捨てる人が極端に嫌いなのだ。ゴミ箱以外にゴミを捨てるひとを見ると、その行動ではなく人格を否定したくなるほどだ。わたしがゴミを拾うのは、ポイ捨てを否定したいからで、街をきれいにしたいからではない。何も偉くない。
大人になってからも、目の前で煙草を捨てて歩いていった人がいて、その煙草を拾って落とし主の車のボンネットに置いたことがある。見知らぬおっさんのくちにした物に触るのは避けたかったけど「あなたのことを見てるぞ」と言いたかった。きっと偉い人なら、精神が大人なら、自分でゴミ箱に捨てるのだろう。

腹立たしい思いでゴミを拾ったところに、母がえらく感嘆したのがなんとも噛み合わなくて、わたしは微妙な笑顔を返した。暗くなりかけた駐車場で、父の表情は、見えなかった。

***

本棚はこれまでに生きてきた幸福の証で、それが玄関のドアを開けて目の前にあるなんて、我が家は最高だ、と思う。

読んでない本がいま、手元に5冊はある。小説、エッセイ、インテリア雑誌、ビジネス書、などなど。読んだことのある本も含めて、複数の本を同時並行で読むのがすきだ。バッグには2冊入れておく。なんとなくのタイミングで手に取って開く。すると、息を呑むほど今の自分にぴったり来る言葉が見つかるものだ。

先日、新幹線に乗る機会があって、1年ぶりに吉本ばななの『キッチン』を読んだ。わたしの書きたい文章はこれなのだ、と思って窓に頭をもたれた。どこまでも、世界を自分の目で見て、自分のくちで語ること。世界と自分の境界線を描くこと。オチなんて、なくていいと思う。

わたしがいま書きたいのは、この世界だなぁ。



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