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<伊勢滞在記>石田諒(Ishida Ryo)〔換気扇とクローゼット〕

石田諒(いしだりょう)です。
長野県佐久市を拠点に、映像や写真、文章、詩作品を手がけています。
2020年12月9日から12月23日にかけて丸2週間、クリエイターズ・ワーケーションに参加し、伊勢に滞在しました。

国内旅行としても決して短くない日数、ましてやクリエイター/アーティストとしてのインプットアクションとして過ごした日々。
感じたこと、考えたこと、訪れた場所、そして出会った方々。
非日常がもたらした個人的な感動体験を滞在記として、読み物として、まとめあげるのはなかなか容易なことではありません。

ああでもない、こうでもない、とやっているうちに時は過ぎ。
帰宅から年をまたいで半月がたち。
そろそろ文章を提出しなければなあ、という心持ちになりつつも。
書いては消して、消しては書いて。

はあ。
もしかしたらいまって、とっても幸せな時間なのかもぉ。
なんて、とろけてみたりして。

余計な前置きはこのくらいにしまして本編をお送りいたします。

▼参加経緯と伊勢までの道のり

今回の伊勢市クリエイターズ・ワーケーションには、クリエイティブユニット・換気扇とクローゼットのパートナーでもある、アーティスト・中井伶美とともに参加させていただきました。

美術手帖のウェブ記事を見た中井が「これ応募してみようよ!」と誘ってくれたことがすべてのキッカケです。
私たちふたりは2020年、ヨーロッパへの長期旅行を計画していたのですが、コロナ禍でそのすべてが白紙となってしまいました。

旅という非日常経験への想いをモヤモヤと溜め込んでいたところでの伊勢。

参加者・関係者にとってはすでに共通の感覚であると思いますが、応募者の総数と採択されたメンバーの面々にはダブルで驚きました。
あらためて、採択いただいたことに感謝!

さてさて、伊勢といえば神宮!

ということで。
滞在前には事前学習として神宮に関する何冊かの書籍を読み込みました。
いわゆる旅行ガイドから写真集。神社に関する研究書。神宮禰宜などをつとめた矢野憲一さんの著書などを幅広くチョイス。

この事前学習で、神宮が古くから行ってきた「式年遷宮」というシステムを初めて知り、すでに驚愕。
話は前後しますが、ワーケーションから帰ってからも復習として関連書籍を読み直しています。

三重県伊勢市までの交通手段は、現地でのフットワークを考慮してマイカー(スズキ・新型ハスラー)を使いました。

現在生活している長野県佐久市(さくし)から三重県伊勢市までは、距離にして約390km、高速道路をウネウネ走って6時間以上の道のり。

途中、名古屋の環状線でジャンクションを選び間違えて伊勢から遠かったのと。
出発時に自宅の玄関の鍵を閉めた自信が無くなり、ご近所さんに連絡して戸締りを確認してもらったこと以外は順調な滑り出しでした。

滞在期間中は備忘録として個人のnoteで毎日発信を行いました。
長野県の佐久市民に愛着の深い「39=佐久」という数字に引っ掛けたタイトルを用いて、信州佐久と伊勢、それぞれの皆さんの目に少しでも触れるよう工夫しました。

いま伊勢にいるよ!楽しいよ!という熱量の記録。
以下より、あわせてお読みいただければうれしいです。

各記事の末尾より翌日の記事にリンクできます。
全記事のまとめマガジンはこちらから。


▼訪れたスポットと感想

「で、伊勢のどこ行って何してきたのよ?」
という多方面からの声にお応えして。
2週間の滞在期間中に訪れたところをすべて書き並べてみます!

カテゴリ別で、なるべく訪れた順に。
一部は伊勢市外のスポットも含みます。
簡単に感想など添えまして、今後滞在するクリエイターの皆様のひとつの参考になればという想いもあります。

【宿泊施設】
 12月9日〜16日 麻野館
 12月16日〜23日 日の出旅館

二見浦沿いに建つ麻野館さんは明治26年創建の老舗旅館。
窓からは海が間近に迫る好立地。
伊勢滞在序盤に旅気分を高めるのにぴったりのお宿でした。
女将や仲居の方々との心の距離も近く、老舗旅館ながらゲストハウスのようなほっこりとした時間を過ごすことができました。

後半にお世話になった日の出旅館さんは伊勢市駅前に位置し、徒歩で外宮参拝や各種飲食店に出向くことができるのがうれしいお宿。
こちらも創業約100年という歴史ある一軒ですが、設備は各所に現代のニーズに沿ったリフォームが施されており快適そのもの。
どうしても疲れが出てくる旅の終盤も、自宅のような落ち着きで過ごすことができました。

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麻野館のお部屋「日の出」の窓辺


【神宮および関連施設】
 皇大神宮(内宮) 
 豊受大神宮(外宮)
 別宮14社/摂社43社/末社24社/所管社42社
 せんぐう館
 神宮徴古館

事前学習した神宮。
実際に参拝してみると本当に身の引き締まる感覚がありました。
結果的に外宮と内宮にはそれぞれ3回ずつの参拝となり、朝昼夕とそれぞれ表情の違う森の光を目に焼き付けました。
許可をいただき、動画作品の撮影にも挑んだ今回の滞在。
現在鋭意、編集作業中です。

せんぐう館では式年遷宮についてどっぷりと学び。
もうほんとにすごくやっぱり驚愕の連続で声をあげたり黙ったり。

また、滞在終盤になってから神宮125社をすべて巡ることを決意。
その思い出深い参拝体験のお話はまた、個人のSNS等で別の機会に発信していきたいと思っています。

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外宮撮影前のひとこま (写真:中井伶美)


【神社・寺院】
 猿田彦神社/佐瑠女神社/御神田
 二見興玉神社/龍宮社
 江地蔵尊
 松下社
 佐那神社/和玉神社
(多気郡多気町)
 今社/清川稲荷大明神
 船江上社/吉王稲荷神社
 八代神社
(鳥羽市神島)
 白長大明神(鳥羽市神島)
 桂光院(鳥羽市神島)
 金剛證寺
 呑海院/金剛證寺奥之院
 高城神社
 世木神社/三吉稲荷神社

伊勢をうろつくなかでたくさんの神社や寺院にも参りました。
同座で祀られている場所や、傍にそっとある小さな社などはメモしきれなかったため上記リストに載ったのはほんの一部なのかもしれません。

ものすごく安易な物言いながら、日本の土地が神社仏閣だらけであることをあらためて認識しました。
神宮125社との佇まいの違い、建立の歴史や地域との関連、鳥居・境内の構造などを観察することが楽しくて楽しくて。
毎日ハッピーでした!

金剛證寺奥之院の塔婆群には、寒さのせいではない何かゾクゾク感があり、大好きな場所になりました。

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朝熊山・金剛證寺奥之院の塔婆群


【自然・公園・名所・旧跡】
 二見浦/二見浦公園
 神前海岸
 今一色海岸
 時計台/洗濯場
(鳥羽市神島)
 カルスト地形/ニワの浜(鳥羽市神島)
 鏡石(鳥羽市神島)
 伊勢志摩スカイライン

海のない長野県暮らし(出身は東京都です)の反動からか、2週間の伊勢滞在の序盤は時間さえあれば海岸を歩いていました。
砂浜でシーグラスや貝殻を拾い集めたり、波を眺めたり。
日が暮れて宿に帰るとメガネが塩田のようになっていて驚きました。

二見から鳥羽に向かう途中に現れる神前海岸では、同じくシーグラスを拾っていた地元男性と話したり、荒波のなかパラサーフィンを楽しむ若い2人を見守ったり、ひとり砂浜で淡々と走り込みを行う少年に心のなかでエールを贈ったり。
長期滞在のメリットを活かして、心ゆくまで海辺の環境を堪能しました。

神前海岸で撮影した以下の写真は、伊勢市観光協会主催伊勢フォトグランプリ2にも応募しました。

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【文化・観光・レジャー施設・通り】
 伊勢古市参宮街道資料館
 伊勢神宮外宮参道
 神路通り
 夫婦岩(二見興玉神社)
 伊勢シーパラダイス
 伊勢夫婦岩めおと横丁
 夫婦岩ミュージアム
 進富座
 高柳商店街/エスポアたかやなぎ
 鳥羽マリンターミナル
 神島/神島灯台/監的哨跡
(鳥羽市神島)
 朝熊山頂展望台/天空のポスト
 鳥羽水族館
 おはらい町/おかげ横丁
 伊勢和紙館/大豐和紙工業 工場見学

滞在2日目に伊勢古市参宮街道資料館を訪れたことは、その後に神宮を参拝するにあたって非常に良い現地事前学習となりました。
タイミング良く世古富保館長に直接、館内展示の解説をいただけたことも大きいです。

二見興玉神社・夫婦岩での大注連綱張神事を撮影した写真は、Twitterを中心にFacebookやInstagramで大きな反響をいただきました。
こちらの写真のファーストプリントは、お世話になった二見の旅館・麻野館さんに寄贈いたしました。
もちろん伊勢フォトグランプリ2にも応募済みです。

生き物たちとの距離が近い伊勢シーパラダイス。
取締役の中北喜亮さんに丁寧にご案内いただいた、伊勢和紙館/大豐和紙工業の工場見学など。
滞在中のさまざまな体験がどのように先の創作活動に活きてくるか、とても楽しみです。


【食堂・レストラン・居酒屋・カフェ・茶屋】  
 お好み焼き ぼちぼち
 伊勢うどん 起矢食堂

 coffee & cake 2KOTI
 ひょうたん亭(みたすの湯)
 和食処 なぎさや
 家庭料理 扇屋
 餃子の美鈴
 レッフェル
(松坂温泉 熊野の郷)
 焼き鳥唐揚げ にかわ
 居酒屋・ワインバー AHL
 めん処 伊勢屋
(伊勢夫婦岩めおと横丁)
 ファミリーレストラン すみれ
(鳥羽ショッピングプラザ ハロー)
 やま海
(鳥羽市神島)
 割烹 大喜
 お食事処 朝熊茶屋
(朝熊山頂展望台)
 うなぎ さし汐
/テイクアウト
 伊勢うどん 中むら
 和食さと 伊勢店/テイクアウト
 赤福 外宮前特設店/本店

 CAFE Cape Cod
 レストランベイサイド
(鳥羽水族館)
 麺屋 やまと
 マガーズドーナツ
(多気郡明和町)
 天理スタミナラーメン 鳥羽店
(鳥羽市)
 AMAMILIVING
 喫茶・軽食 どんぐり
 松阪牛肉処 力也
 ラッキーバーガー
ぎゅーとら ラブリー藤里店前(移動販売車)

食べた、食べたァ! いやはや、とにかく食べましたね。
2週間の滞在中、朝食は宿でいただき、昼と夜は外食という生活を送っていました。(宿泊中の麻野館さんで1度、夕食をいただきました)
書き並べてみると、いや、本当にあちこち食べ歩いたもんです。
どこのお店も美味しく、料金は比較的リーズナブルに感じました。

伊勢市クリエイターズ・ワーケーションに参加していなければ訪れることはなかったであろうお店として1軒。
喫茶・軽食 どんぐりさんを挙げておきます。

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こちらは、滞在中に内宮で偶然お会いした、ワーケーション参加クリエイターで音楽家のRyo Fujimotoさん。
そのご友人で、伊勢に生まれ育ち、飲食店や音楽スタジオなどを手がける有限会社エヌアールの岡山裕成さん。
という“ご縁リレー”の流れで紹介いただいたお店でした。

写真は看板メニューの「伊勢スパ」。
立ち寄ったのはちょうど神宮125社巡りの最中。
外歩きで冷えた身体に熱々の鉄板麺を入れ込む、という「サイコー!」の言葉以外に無い食体験ッ!
家庭的なでありながら、とっておきの美味、というのか。
ごちそうさまでしたッッ!

近くにあったら通っちゃいますよ!
なんなら通いたいから近くに住んじゃう可能性も!


【商店・小売店 <購入物品>
 民話の駅 蘇民<みかん雑誌『NAGI』月兎社・書籍『改訂版 お伊勢さん125 社めぐり』伊勢文化舎>
 西修商店
<水晶原石>
 打刃物専門店 菊一文字則宗 二見本店
<包丁・木工用小刀>
 プライスカット 伊勢二見店
<ソフトドリンク>
 ウエルシア 伊勢二見店<栄養ドリンク・浅田飴・マスク・使い捨てカイロ>
 スーパーセンター トライアル 伊勢店<ソフトドリンク>
 土産物店 磯笛/伊勢夫婦岩めおと横丁内<土産物食品類>
 タルテット/鳥羽ショッピングプラザ ハロー内<ベイクドチーズケーキ>
 リカー&ギフトショップ 丸佐/鳥羽ショッピングプラザ ハロー内<日本酒・吟醸おかげさま>
 カメラのキタムラ 伊勢・バイパス店<写真プリント・フォトフレーム>
 ぎゅーとら ラブリー神田久志本店<蓮台寺柿 干し柿・生鏡餅・パン缶>
 岩戸屋物産店<伊勢締め飾り・土産品>
 酒徳昆布<昆布•炊き込みご飯の素•お茶>
 伊勢和紙館<写真印刷用和紙>

旅の最中は買い物も楽しいですね。
日用品からお土産まで、お店たくさん、なんでも揃う伊勢。
平坦な地形もあわせて、暮らしやすい土地であると観察しました。

伊勢の締め飾り、信州で活躍中!


【日帰り温泉施設】
 伊勢・船江温泉 みたすの湯
 松坂温泉 熊野の郷
(松阪市)
 アスピア玉城 玉城弘法温泉(度会群玉城町)

伊勢市クリエイターズ・ワーケーションの企画趣旨に賛同したという『みたすの湯』さん。
滞在クリエイター向けの入浴無料チケットはとても嬉しかったです。

株式会社ミタス伊勢・常務取締役総支配人の脇田桂介さん、みたすの湯・職員の森隆太さんと直接お話する機会もいただけました。
マイクロツーリズムの可能性も有り有りですよ!伊勢鳥羽志摩エリア!

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【コインランドリー】
 AWA 二見店
 AWA 錦町店

創作につながる種みたいなモノや出来事がどこに転がっているかは、まったく誰にもわかりません。
洗濯の待ち時間にも動画を撮り、たまたま居合わせたお客さんと会話し。
さまざまな表現のスケッチをすることができました。


【ガソリンスタンド】
 出光 汐合橋SS

 クイックピット 伊勢SS

マイカーで向かった今回。
出発から帰宅までの総走行距離は1456kmでした。
長野県佐久市〜三重県伊勢市の往復で約800km。

ここで、長年の文明的生活で培った引き算のスキルを駆使すると……。
2週間の滞在中、いかに動き回っていたかがわかる数字となります。

伊勢市内にある「クイックピット 伊勢SS」のガソリンが安すぎて驚きました。
長野の平均価格より30円近く安いんですもん。
この画像を見た長野の友人知人のざわつきっぷりといったら。

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【金融機関等】
 みずほ銀行 伊勢市店
 鳥羽神島郵便局
(鳥羽市神島)

伊勢にみずほ銀行があってうれしかったです!
鳥羽市神島の郵便局はなんだか映画のワンシーンのようでした。


【行政施設】
 伊勢市役所

自身も地方移住した身であり、今後の創作において「ローカル」をキーとしたい想いがあります。
当初は予定していなかったのですが、せっかくならと考えて伊勢市の移住交流施策に関して伊勢市職員の方にお聞きしてみることにしました。
突然の依頼にも関わらず柔軟にご対応いただき、ありがとうございました。

お話の展開のなかで、伊勢の伝統野菜や海産物が紹介されているステキな冊子『伊勢の食材手帖』をゲットできたことに「実際に会って話してみる」ことの大切さを噛み締めました。


▼まとまらないですが最後に


こんなに長々とした文面になるとは自分でも予定外でして。
どんだけスクロールさせんねん!と思った方も少なくないでしょう。

2週間の滞在・体験・移動をこうして羅列でも可視化してみると、本当に濃ゆい時間だったのだなとあらためて感動します。
時間の使い方を考え直す期間だった、ともいえそうです。

長野に帰ってから、会う人会う人に「伊勢どうだった?」と聞かれることが多いです。
なんだか江戸時代のそれじゃないですが、村を代表してお伊勢参りに行ってきたみたいでフフフっとなります。

伊勢、また行きたい。
春にも、夏にも、秋にも、何度でも行きたい。
次回の式年遷宮に向けた神宮の、数多くの神事も見てみたい。

諸々のタイミングで訪れることができなかった、神宮農業館神宮美術館賓日館マコンデ美術館、などにもリベンジ訪問するミッションが残っていますので!

滞在最終日、「さようなら」ではなく「行ってきます」と言って帰路に着いた感覚。
これで終わりじゃない、と直感で思ったんです。

「ただいま」をしに、また伊勢に!


石田 諒(Ishida Ryo) 映像・写真作家/文筆家
https://www.ryoishida.com/

【滞在期間】2020年12月9日〜12月23日

※この記事は、「伊勢市クリエイターズ・ワーケーション」にご参加いただいたクリエイターご自身による伊勢滞在記です。
伊勢での滞在を終え、滞在記をお寄せいただき次第、順次https://note.com/ise_cw2020に記事として掲載していきます。(事務局)