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<伊勢滞在記> 西海 望(Saikai Nozomi)

初めまして、私は主に絣(かすり)という技法を用いて織物の作品を制作している西海 望と申します。

私は昨年9月から海外の大学院に在籍しているのですが、今年1月初旬に学校の休み期間に入り帰国して以来、現在に至るまで新型コロナウイルスの影響で学校に戻れず日本にいます。学校生活や既に決まっていた活動や渡航予定が断ち消え、近い将来の見通しがつかない日々の中で、半ばすがるような思いで応募、参加させて頂いたのがこの「伊勢市 クリエイターズ・ワーケーション」でした。結果約2週間、非常に充実した日々を送ることができ、こちらではこの滞在中にお世話になった滞在先を紹介したいと思います。

今回、私は麻の専門店「麻福」さんの一部を制作場所としてお借りし伊勢で出会った素材で制作をしていました。

こちらが今回制作したものです。なるべく麻の自然の美しさを生かしたく、他の繊維は混ぜずに、伊勢に相応しく心身が清められていくイメージで柄が消えるように染めました。ちなみにこのピンクとネイビーは伊勢の町で購入した伊勢茶で染めたものです。

写真1

麻という素材は、神道の神事では罪穢れを払うものとして利用され、精神的な拠り所として受け入れられてきた歴史があり、今回使用した精麻は伊勢麻では無いものの(伊勢麻は栽培のルール上、三重県内の神社にのみ納めることができるそうです)、伊勢神宮の鳥居前町に来たからこそ自然に出会えた素材であるなと感じます。ちなみに神社に納められるという今年の伊勢麻の精麻も見せてくださいましたが、黄金に輝いていました。

写真2

こちら麻福さんの店舗入り口にあるカフェでは、麻の実ピザも頂けます。マルゲリータ、スパイス・カレー、伊勢味噌&原木しいたけ味の3種類の味があり、私は全味コンプリートしましたが個人的に感動したのは伊勢味噌&原木しいたけ味でした!

写真3

麻の実粉が入ったモチモチの生地に、大ぶりな具と伊勢味噌の甘じょっぱさが絶妙にマッチしていました。

滞在させて頂きありがとうございました。

その他、こちらの記事には書き切れませんが、伊勢神宮への参拝や市内散策、お店の方や他の参加者の方々との交流で、伊勢市には特別な思いが生まれました。まずは私の周りに伊勢での体験やこの街の良さを伝えるとともに(さっそく地元金沢の友人に伝えると、彼は一年に5回は伊勢市を訪れているという強者でした。笑)、近い将来また何かの形で伊勢市での活動に携われたらなと思います。

この度は本当にありがとうございました。


西海 望(Saikai Nozomi) 工芸美術家
https://www.nozomisaikai.com/

【滞在期間】2020年11月2日〜11月14日


※この記事は、「伊勢市クリエイターズ・ワーケーション」にご参加いただいたクリエイターご自身による伊勢滞在記です。
伊勢での滞在を終え、滞在記をお寄せいただき次第、順次https://note.com/ise_cw2020に記事として掲載していきます。(事務局)