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ワークショップ3 「BEYOND SMART LIFE-新しい生活へのトランジション」参加者レポート

この記事はi.school2021年度第3回レギュラーワークショップとして実施された「BEYOND SMART LIFE-新しい生活へのトランジション」の参加者レポートです。

2021年度第3回レギュラーワークショップ

テーマ:BEYOND SMART LIFE-新しい生活へのトランジション

ファシリテーター:
株式会社日立製作所 
研究開発グループ 東京社会イノベーション協創センター
柴田吉隆氏、池ヶ谷和宏氏、曽我 佑氏、神崎将一氏

日程:6/2(水)、6/9(水)、6/16(水)、6/26(土)
水:19:00 –22:00 土:10:00 –17:00

プログラム詳細につきましてはこちらをご覧ください。

【Day1 (6/2)】

今回のワークショップは、株式会社日立製作所 研究開発グループ 東京社会イノベーション協創センターから、柴田さん、池ヶ谷さん、曽我さん、神崎さんの4名がファシリテーターです。

Day1の活動内容として、課題図書である『BEYOND SMART LIFE 好奇心が駆動する社会』から、印象的だった内容の共有とキーワードの抽出を行いました。そして、それをもとに未来に"あるかもしれない"サービスについて具体的に考えることで、「BEYOND SMART LIFE」な社会を私たちなりに理解するというのが主な内容でした。

課題図書である書籍『BEYOND SMART LIFE 好奇心が駆動する社会』には、技術を駆使した "スマートな社会"はそれだけで「良い社会」と言えるのだろうか、という問を中心に、現在の社会の延長線上に待ち受けている困難な状況と、そこから抜け出すためのヒントが示されていました。

まず、グループワークでは、書籍から印象的だった内容を共有し、「BEYOND SMART LIFE」を描くための「不便益」「非効率」「好奇心」「顔が見える」という4つのキーワードを抽出しました。

次に、キーワードを使いながら「BEYOND SMART LIFE」なサービスを、モビリティというテーマの中でアイディア創出を行いました。

40分で発想したアイディアは以下の2つでした:

①物流の通過点ごとに落書きが増えてゆく段ボール箱
②直前に利用した人の履歴(ルート)が見られるレンタカー


①のアイディアは、ものそのものの価値ではなく、携わってきた人やプロセスにも価値があるという観点からアイディアに繋がりました。

②のアイディアは、カラオケに行った際にランキングではなく履歴を見てしまう感覚からアイデアに繋がりました。トレンドの曲だから、流行りの旅行スポットだからという理由で好奇心を抱くのではなく、直前に利用した人との親近感から好奇心を抱くというところに着目しました。

そして、2つのアイディアで共通しているのは「物理的な交流・顔が見える関係性」に「BEYOND SMART LIFE」な可能性を感じている点でした。

最後に、Day2までの宿題として、「BEYOND SMART LIFE」な社会へのトランジションをめざしているサービスの事例収集が出されました。

「めざすべきゴール像の議論も重要ではあるが、どのように社会を移行させうるかの議論を促すことも、デザインの重要な役割である」ということで、これまでの、アイディア創出を中心としたワークショップとは少し色の異なる、「トランジション」に重きのおいたワークショップだと思いました。

林 花音
2021年度 i.school通年生

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【Day2 (6/9)】


2日目では、

トランジション事例の紹介とその分類

を行いました。

①トランジション事例の紹介

まず、事前課題でそれぞれが集めたトランジション事例を全体で共有し、コメントを付けました。事前課題は、「BEYOND SMART LIFE」な社会にチャレンジしている事例を探し、分析するというものでした。分析では既存・変化後の状態や人々の行動、その変化を妨げる要因とそれを乗り越える戦略などを要素としました。

②トランジション事例の分類

次に、①でつけたコメントをもとにチームごとに事例の分類を行いました。ここでは主にトランジションの方法、すなわちどのように変化後の社会へ移行させていくのかという点に注目して分類しました。この過程によって一見関係性がないような事例の共通点を見出し、それぞれのトランジションの核心に迫ることができました。

今回は持ち寄った事例が多く、①②共に予定より長く時間をかけることができたので充実した議論ができました。

Day3はこれらのトランジションの類型をもとに、アイディア創出を行います。Day2で見つけたトランジションの共通点がどうアイディアとして具体化されていくのか、期待で胸を膨らませました。

久野瑞季
東京大学 前期教養学部 2年
2021年度 ischool通年生

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【Day3 (6/16)】


3日目では、

①チームごとに分類したトランジション事例の全体に向けた発表
②各チームでのBEYOND SMART LIFEなアイデアの再検討

を行いました。


①チームごとに分類したトランジション事例の全体に向けた発表

チームごとに分類したトランジション事例の全体に向けた発表では、Day2で行った各チームの検討内容を共有し合いました。
チームによって着目したポイントの共通点と相違点があり、さまざまな議論が起こりました。また、「そもそもここで考えているトランジションとは何か」「BEYOND SMART LIFEとは何か」といった前提に立ち返るような疑問が各自の中で湧きあがり、i.schoolならではの暗中模索しながら手探りで進んでいく感覚を参加者が共有できました。
ここでの議論や非常にいい意味でのモヤモヤ感を踏まえて、②各チームでのBEYOND SMART LIFEなアイデアの再検討に進みました。

②各チームでのBEYOND SMART LIFEなアイディアの再検討

各チームでのBEYOND SMART LIFEなアイディアの再検討では、チームに分かれてDay1で考えたアイデアや収集した事例の深掘りを行いました。これまでのワークショップの議論を踏まえて、「BEYOND SMART LIFEとは何か」、「トランジションを行うために乗り越えるべき障壁とは」、「その障壁を乗り越えることで人々の行動はどう変化し、どのような価値が生まれるのか」といったことを議論し、アイディアの具体化を各チームが行いました。

最終回では、全員が手探りで議論を進める中で、最終的にはどのようなアイディアが生まれてくるのか、ワクワクした気持ちが高まりました。


松本吉城
東京大学大学院経済学研究科修士1年
2021年度 i.school通年生

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【Day4 (6/26)】


4日目では、

①サービスアイディアの整理とトランジションの検討
②各チームでのBEYOND SMART LIFEなアイデアの検討・発表

を行いました。

①アイディア整理とトランジション

これまでのワークショップで考えていたサービスアイディアを整理し、そのアイディアがどのような現代の社会かBEYOND SMART LIFEな社会へのトランジションを促すものなのかを考えました。そして、そのトランジションを起こす際には現在の社会からどのような社会を目指すものか、そしてどのような障壁があるのかを考えました。


②アイデアの検討と発表

トランジションを踏まえつつ、それにあたっての障壁と乗り越え方を話し合いながら、これまでに考えたサービスアイディアが十分なものであったかを再検討しました。Day1から議論してきた「BEYOND SMART LIFEな社会」とは何かを議論の中心に据えながら、それまでに考えたアイディアがトランジションをうまくとらえられているのかを考え、修正を加えたのち具体化を行い各チームで発表を行いました。

各チーム、トランジションについての着目ポイントが異なり、それぞれのチームが考えるBEYOND SMART LIFEな社会を見ることができました。最初に考えていたアイディアが、どのような「BEYOND SMART LIFEな社会」を実現したいかを話し合うことで、最終的に少し形を変えつつトランジションにあたっての障壁をうまく超えられるようなアイディアが出てきたように思いました。

今回のWS3では、社会をスマートにするアイデアではなく、それを超えるアイディアを考えることが求められていました。アイディアからトランジションを位置づけなおし、現在・未来の社会やトランジションにあたっての障壁を逆算するというワークは、今後のワークショップにも生かせるものだと思いました。


最後に、柴田さん、池ヶ谷さん、曽我さん、神崎さんをはじめとした株式会社日立製作所 研究開発グループ 東京社会イノベーション協創センターの皆様、学びの多いワークショップをありがとうございました。

東京大学文学部人文学科美学芸術学専修課程3年
2021年度i.school通年生
松谷春花

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