One note Samba / Samba de Uma Nota Só ジャズスタンダード深堀り : リズムラボ

 ワンノートサンバという曲名で親しまれているジャズスタンダード曲は、ブラジル出身の音楽家 Tom Jobin(トム・ジョビン)が作曲た楽曲です。
 ポルトガル語歌詞の曲名は Samba de Uma Nota Só(サンバ ジ ウマ ノッタ ソォ)で作詞家のニュートン・メンドンサが歌詞を担当しました。
 英語の歌詞は作曲家のジョビンが書いたもので題名も英語で書かれて One Note Samba (ワン ノート サンバ)となりました。

 この楽曲の最初のレコードは、1960年にジョアン・ジルベルトがアルバム「O Amor, o Sorriso e a Flor」に収録したものと言われています。


 同年、ブラジル・リオディジャネイロ州出身の歌手 Silvia Telles(シルビア・テレス)がよりモダンな印象を受ける録音を残しています。


 この曲が一躍有名になったのは、1962年にグラミー賞を受賞したボサノバのLP『Jazz Samba』でした。1963年にはビルボード200で1位を獲得しています。


 1962年にビッグバンドアレンジされた楽曲もリリースされました。
録音したのは Quincy Jones(クインシー・ジョーンズ)率いるビッグバンド。


 トランペット奏者 Dizzy Gillespie の録音

 

歌詞で見るSamba de Uma Nota Só

Eis aqui este sambinha feito numa nota só
これは一つの音で作られた小さなサンバ。
Outras notas vão entrar, mas a base é uma só
他の音も入るけれど、本質的には1音。
Esta outra é consequência do que acabo de dizer
例外も結果的には先に言ったのと同じ。
Como eu sou a consequência inevitável de você
私にとってあなたが必然的的であるように。

Quanta gente existe por aí que fala tanto e não diz nada
どれだけの人が多く発言するのに何も語らない事か。
Ou quase nada
いたとしても、言わないに等しい。
Já me utilizei de toda a escala e no final não sobrou nada
全ての(音楽的理論に基づいた)スケールを使っても、最後には何も残らない。
Não deu em nada
何も齎しはしなかった。

E voltei pra minha nota como eu volto pra você
そして、私はあなたに戻ってきたように、私の音に戻ってきました。
Vou cantar em uma nota como eu gosto de você
私は一音であなたに愛を囁くかの如く歌ってみせる。
E quem quer todas as notas: Ré, mi, fá, Sol, lá, si, dó
そして、レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド すべてのノートを欲しがる人は
Fique sempre sem nenhuma, fica numa nota só
何事にも恵まれないだろう。それはただ一音と共にあるのだから。


歌詞で見る One Note Samba

This is just a little samba
これは一つのサンバのお話。
Built upon a single note
一音で構築された。
Other notes are bound to follow
他の音がそれをフォローするけど
But the root is still that note
でも基となるのはあの一音。
Now this new one is the consequence of the one we've just been through
今の新しいものは、結果的には私たちが経験してきたことの
As I'm bound to be the unavoidable consequence of you
私はあなたを結果的に避けられない結果であることに縛られているように

There's so many people who can talk and talk and talk
多くの人が会話しているが
And just say nothing or nearly nothing
何も語っていないか、語っていないに等しい。
I have used up all the scale I know
私は(音楽的根拠に基づいた)スケールを使ってきた。
And at the end I've come to nothing or nearly nothing
そして、そこには何もないか、無いに等しいと悟ったんだ。
So I came back to my first note
だから私は最初の一音に戻った。
As I must come back to you
私があなたの元に戻るかのように。
I will pour into that one note all the love I feel for you
私はその一音にあなたへの愛をすべて注ぎます。
Anyone who wants the whole show Re mi fa sol la si do
レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド 全ての音を欲しがる人は
He will find himself with no show better play the note you know
彼自身でそこに 一音で奏でる以上の show が無いことに気づくでしょう。


おわりに

 ブラジルのボサノバがアメリカ合衆国に流入したきっかけとして、ブラジルのジョアン、合衆国のスタン二人の功績が多いという事がわかりますね。
 歌詞の世界観は、「引き算の美学」を描いているかの様でとても美しく感じます。
 今もどこかで音楽家がトムとゲッツの様に音源のやり取りを行ってまだ見ぬ音楽を紡いでいる事でしょう。

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