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「秋の日の足跡」 エッセイ〜『仔牛の涙』より〜

〜『仔牛の涙』より〜

「秋の日の足跡」

著: 夢 明日香

秋の訪れを待ちわびた
「神無月」

暁の空に顔をだし始めた朝日に

金木犀の花が
時を忘れず咲きだし
甘い香りを届けている

「秋が来たんだなぁと思い」
澄んだ甘い空気を
お腹一杯に吸い込んだ

風と遊ぶ軒先きで揺れる秋桜が
お喋りしながら
ゆらゆらと庭先の花と戯れる

秋の日差しを浴びると
故郷のコスモス畑を
(佐世保市展海峰)
父と母が仲良く歩く姿をを思い出す

車の運転が出来ない両親は
この日を楽しみしていたのだろう

何時も父の後を歩く母が
小走りに父の前へ走り出し
薄紅色の秋桜を指差して微笑んでいた

僕の頭の中に、この想い出を大切な記憶して今でも、心の中にあの日の風の匂いを思いだしている

もう一つの父と母との絆
綺麗なお月様を眺めると
もうひとつの世界で
両親も眺めているんだろうなぁと
ひとり勝手に思っては思いを巡らせる

今年の「中秋の月」は
綺麗な丸い丸いお月様
街並みの輪郭を鮮明に照らしていた

十五夜前後の月の形と虫の鳴き声に
酔いしれるのも大好きだ

今日は「十五夜」

古の時から静かに時を刻み
時を進めてゆく月灯り
双眼鏡から覗いた時
がっかりした想い出がある
でも神秘な宇宙を感じた

今年の夏は異常なくらいに
暑い日が続いて家に着くと直ぐクーラー
をつけて落ち着くのが日課だった

「秋よ早く来い」と
心の中で叫んでいた

深まり行く秋の香りが届き始め、山は紅く染まりだした

足元を走る落ち葉が、日増しに増え冬が近い町を感じさせる

日々姿をかえる景色は
停滞気味の頭の中に息吹高鳴る自然の鼓動を伝えてくれる

小さな事で悩んでる僕に
山が、川が、大空が
鳥、虫の鳴き声が
夕日と夕暮れの空が

時空を超え和やかな世界へと導いてくれる

今日も
部屋から見える景色に

「おはようと」と心で呟き

頭の回路を
一つギアーアップさせて
一日を始めてみよう。

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