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ROEは会社を強くできない

ROEの分析で自分の会社を強くすることはできるでしょうか?

実は、ROEは経営分析に使うもので、自分の会社を強くするために使うものではありません。

自分の会社を強くするためには管理会計が必要です。


ROEは企業の収益性を分析する指標

ROEは企業の収益性を分析するための指標です。

※ROE(Return On Equity):自己資本利益率

企業の存在意義は利益を上げる、儲けることにあります。そして、その利益の上げ具合、儲け具合のことを収益性といいます。

ROEはこの収益性を分析するために使われます。つまり、ROEが高ければ収益性は高い、会社は利益を上げている、儲けているということになります。


ROEでは自社を強く出来ない

でも、このROEを使って「自分の会社」の収益性を分析しても「自分の会社」を強くすることはできません。

なぜなら、ROEは「会社」の外部の人が「会社」を外から見て「会社」の収益性を分析するための指標だからです。

中小企業さま(私は税理士をしていますが、私の顧問先は全て中小企業さまです)向けに具体的に言うと、ROEは金融機関が会社を評価(その会社に融資しても大丈夫かということを判断)するために使う指標の一つに過ぎないのです。

※会社の外部の人のことを利害関係者(ステークホルダー)と言います。金融機関、株主、国などがステークホルダーです。私の顧問先の中小企業さまのステークホルダーは金融機関となります。


ROEは金融機関のための指標

裏を返せば、ROEは金融機関が会社を評価するためにしか使えない(使えないというのは言い過ぎかもですが・・・)指標なのです。

つまり、ROEは会社の内部の人(具体的には経営者、経営陣)が「自社」の収益性を分析するためにある指標ではないのです。


ステークホルダーは限られた情報でしか分析できない

みなさんは「経営分析」という言葉を聞かれたことがあると思います。実は、この「経営分析」に取り組むのはステークホルダーなのです。

ステークホルダーは限られた情報でしか会社を分析できません。そこで、その限られた情報を使って会社を分析しようとして考えられたのが「経営分析」です。そして、その「経営分析」の手法の一つがROEです。

※経営分析は他社との比較を重視します。そして、限られた情報とは決算申告書、月次試算表などのことです。決算申告書、月次試算表は制度会計(会社法、法人税法に基づく)により作成されていますので他者比較が可能です。経営分析指標はROEの他に、ROA、流動比率、自己資本比率などがあります。


みなさんは自社情報をたくさん持っている

でも、みなさんは「自社」の情報(それが情報であると気付いていなものも含めて)をたくさん持っています。

「自社」を強くする、「自社」が利益を上げる、儲ける体質にするためには「その情報」を使えば良いのです。

敢えて、ステークホルダーと同じ条件(限られた情報)の下で分析する必要は全くありません。

そして、「自社」の情報(それが情報であると気付いていなものも含めて)を使って「自社」を強くするために「自社」を分析するための手段が管理会計なのです。


予算管理の前にやるべきこと

「管理会計」=「予算管理」と言われることも多いようです。でも、「予算管理」の前にやることがあります。それが、自社の徹底的な分析です。「自社」の情報(それが情報であると気付いていなものも含めて)を使って、徹底的に「自社」を分析するのです。情報であると気付いていないものも徹底的に焙りだします。

それが出来てから、必要があれば「予算管理」へ進めば良いと思います。「予算管理」を目標にすると、絵に描いた餅が出来て終わるかもしれません。

Excelでお餅を描いても会社は強くならないですよね!




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