金本位制は宗教であり、協同組合である ゴールド86
アメリカ南北戦争の終結から第一次世界大戦勃発までの50年という短い期間、金本位制は国際的な神秘性を獲得していた。
金本位制は宗教
神秘性、すなわち、金本位性は宗教と言えた。
この宗教の信者が礼拝する祭壇は、銀行の地下室に積み上げられた -退蔵- 輝く金塊の山だった。
福音書は1810年にイギリスの地金委員会によって起草されていた。司祭長は金融当局者 -各国中央銀行理事、大蔵大臣、財務長官- だ。
この宗教(金本位制)で信者が得たものは、安心感、共同体、誇り、不滅の感覚であった。
金本位制は協同組合
宗教である金本位制を採用した国家のグループは、一種の協同組合へと発展した。それは排他的な集団で、その組合員は世界から押し付けられる危険や不安定な要素を排除するため国境を超えて互いに助け合った。
アメリカ合衆国の上院議員で閣僚のジョン・シャーマンは金と交換できない通貨は国家の不名誉であると宣言した。
オーストリアのある国会議員は、尊敬を失うことについて同僚の議員たちに注意を促した。
ロシアのある経済学者は世界的な貨幣経済の構成員にならずに、世界的な文明の構成員になることは考えられないと断言した。
そして、偉大な経済学者であり歴史家でもあるヨーゼフ・シュンペーターは、金本位制の魅力は国家の威信を追求することにあると述べた。
イギリスが協同組合の創立委員
イギリスがその組合(金本位制)の創立委員であり、発明者だった。
先ず、アメリカ合衆国が組合に加盟した。1834年に、金銀二つの貴金属の価格関係を調整し、事実上の金本位制を確立した(法律上の金本位制が成立したのはそれから66年後)
ドイツは1871年に組合に加盟した。普仏戦争の勝利で得た巨額の賠償金の一部を金準備に充てた。
その後、フランスも組合に加盟し、1876年までにイタリア、ベルギー、スイス、スカンディナヴィア諸国、オランダがこの組合に参加した。
主要国でこの組合に加入していない(銀本位制を採用)のはインド、中国だけだった。
ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン
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