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シリーズBの資金調達を実施したカメラブの戦略意図と今後のGooPassについて

カメラブ代表の高坂です。カメラのサブスク「GooPass」を展開する当社カメラブ株式会社は、プレスリリースにてご報告させて頂いた通り、シリーズBラウンドの資金調達を実施させて頂きました。今回はその背景や戦略意図について少し触れたいと思います。

シリーズB資金調達実施の背景

まず当社は、ベンチャーキャピタル等の投資家様より出資を頂いているため、EXITを目指す必要があるいわゆるスタートアップ企業であり、成長戦略の一環として株式による資金調達を折り込み、大きく事業をスケールさせていく計画を描いています。

シリーズAは2019年夏に実施したので、シリーズBを2020年後半には実施したかったというのが本音です。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大は事業環境を激変させてしまい、わかりやすくマイナス影響を受けました。

なぜならカメラを利用する多くのシーンは、旅行やイベントなど人々が移動し集まる場とともにあるので、それらを制限することは撮影行動を制限することと等しいからです。特に緊急事態宣言がでると、わかりやすくサービスを休止するユーザーが増えるなどKPIは悪化する一方でした。

そのような状況下でしたが、実はいくつかの明るい兆しもありました。
当社が寄り添ってきたクリエイターやカメラが趣味の方々はそれでも離れずに応援頂けたこと、オンラインでのコミュニケーションが増える中で配信時の画質(カメラ性能)に対するニーズが高まったこと、緊急事態宣言が明けるとユーザーが戻るばかりか鬱憤を晴らすかのように加速すること、などでした。

コロナ関係の助成金を最大限活用しつつ、シリーズAエクステンションラウンドを実施し、アクセルとブレーキを小刻みに調整しながらKPIを伸ばした結果、気づけばコロナ禍においても400%成長を遂げることができました。
もしも人々が本当の意味で移動し集合するようになったら、とんでもない加速ができるんじゃないかと当事者としてもワクワクしています。
今回の資金調達は、将来確実にくる未来に対して、最大限の成長仕込みを準備するべく実施しました。

資金調達先と戦略意図

今回、成長戦略の兼ね合いから、以下の方々に資金を提供頂きました。
※商号・敬称略

Equity
ビックカメラ(ビックイノベーションキャピタル)
グッドパッチ(Goodpatch Design Fund)
⽇本ベンチャーキャピタル(NVCC8号)
スカイライトコンサルティング
地域創⽣ソリューション(ALL-JAPAN観光⽴国ファンド)
三井住友海上キャピタル(MSIVC2021V)
みずほキャピタル(みずほ成⻑⽀援第4号)
テモナ
⼤分ベンチャーキャピタル(⼤分VCサクセスファンド6号)
QRインベストメント/BPキャピタル(のとSDGsファンド)
⼭⼝キャピタル(UNICORN2号ファンド)
中銀リース(ちゅうぎんインフィニティファンド1号)
⽇本リビング保証

Debt  ※当座貸越枠含む
北國銀⾏、静岡銀⾏、横浜銀⾏

大きく分けると、VC・事業会社・地域金融機関となっており、その戦略的な背景としては、おおよそ以下の整理をしています。

VC(ベンチャーキャピタル)
この先のステージの課題の対処方法を豊富な投資経験による知見として有していることや、ファンド組成実績が多くディープポケットであり今後の成長を資金面でも頼らせて頂きやすい点です。

事業会社
自社の事業課題解決につながる強みを有していて、会社を成長させていくための事業パートナーとして直接業績面でも頼らせて頂きやすい点です。具体的には、実店舗でのサービス展開、プロダクトUX改善、サブスクモデルの磨き込み、新規事業の共創などを想定しています。

地域金融機関
カメラによる撮影体験の場をつくることを考えた際に、地域に根ざしていて地場の強い企業や自治体と連携をとりやすい立場にあることと、将来的に融資やファイナンススキーム構築面でのシナジーなども想定できる点です。

どれかに偏ってもいけなく、意図して上記の方々と組ませて頂きました。

市場環境とカメラの可能性

当社の主力事業はカメラのサブスク事業ですが、カメラのレンタルという領域は目新しさはなにもなく、カメラ販売(出荷)市場を見れば、デジカメがスマホに代替されて、悲観的な縮小トレンドの推移グラフがすぐに見つかります。では市場性がないのかというと、もちろん弊社は見出しています。

注目すべきはよくも悪くもスマホの進化です。これだけ多くの人がカメラ機能を手にし、あらゆる瞬間を撮り、共有する世の中は想像を超えてきましたが、総フォトグラファー時代と考えれば悪い世界ではありません。現在のところは光学的な観点で一眼カメラに性能の優位性があり、上達の先に到達するポジションとしての立ち位置は残っていると思います。

スマホと差別化を図るために高性能化&高価格化している一眼カメラはますます手に届きにくい高級嗜好品となってきており、購入時に失敗したくないというリスク回避の観点と、サブスクによる初期ハードルの低減が受け入れられる傾向はしばらく続くと考えています。

別の視点では、スマホ進化の弊害として感じるのは誰でも簡単にきれいな写真が撮れすぎてしまう点にあると思っています。コンピュテーショナルフォトグラフィーが進むにつれ、大量消費のごとく撮った写真1枚の重みが薄れ、その瞬間の記憶も残らないのではないかという点です。それは撮ったのではなく、撮らされたもので、コンピュータがデータとして残した虚無なのだと思います。

光学的な技術は代替されてしまうタイミングがそう遠くない未来にくるかもしれませんが、撮る過程で心が動くかどうか、記録以上に記憶に残るかどうか、これが嗜好品でもあるカメラの価値だと私たちは信じています。

これまでの事業戦略

主要サービスのGooPassは、カメラのレンタルサービスというわけではなく、サブスクを軸としたモノのプラットフォームです。個人信用スコアを活用した与信スキーム、WMS、専門知識を求められる領域におけるアウトソースを活用した物流OPs、CRMと決済システム等々。その気になれば、いつでも商材の横展開が可能な型にてプロダクトとビジネスモデルを構築しており、システムごとOEM提供するような事業モデルも存在します。

そして、カメラ在庫の大部分は自社で所有することなく、リース会社とのアライアンスによるレンタルスキームを実現しており、アセットライトなビジネスモデルとなっています。Equity資金を在庫に投じる必要がなくなるため、原価をコントロールしやすいほか、すべて成長投資に宛てられる点に優位性があります。

カメラブの成り立ちはあくまでIT企業であり、カメラが好きなカメラ業界の素人が、テクノロジーとオペレーションを強みとして、既存業界に参入していくDXの構図そのものでした。

これまでの事業課題

レンタルサービスという観点においては、利用し続けていることにより、いずれ購入価格を超えてしまうことがあるという経済合理性の観点で負がありながら、自社所有の機材でないことから簡単に売却ができないなど、ユーザー体験における課題がありました。

サブスクリプションサービスという観点においては、SaaS的な評価を得られやすい一方で、嗜好品領域のB2Cサービスにおいては同じKPIは通用しないことから、自社ならではKPI定義を見出す必要性がありました。
理由はシンプルで、そもそも必需品でないことから生活の変化で辞めてしまったり、ユーザーの気持ちは気まぐれで好きでなくなってしまったら、いつでも簡単に離れられてしまう可能性があるところなどです。
裏を返せば、ずっと好きでいてもらう=魅了し続ける必要があるのです。
このために、サービスとしての粘着性(スティッキネス)を高め、LTV視点で改善していく点に課題がありました。

上記は共通しているようで、実は異なるユーザー像だということはわかっており、それぞれに最適化したUXおよび新サービスをつくっていくに至ります。

ここからの成長戦略

キャンセルできる後払いサービス

今回のラウンドをリード頂いたビックカメラ様とは、サブスクの新しいビジネスモデル「テイクアウトレンタル」を実店舗にて展開しています。

どのようなサービスかと言うと、店頭にある在庫を購入するのと同様に新品のままレンタルで自宅に持ち帰り、じっくり試したうえで購入する(レンタル料も購入時に充当)か、返却するかを試せるスキームとなっています。さらに、購入の意思決定をしなくとも、サブスクリプションを継続し続けると、1年後には所有権が譲渡されるモデルとなります。

これによりユーザー視点では、即日その場でレンタルができ、新品が使えて、購入検討ができて、返却もできて、レンタル代も充当して買い取ることもできる、ユーザーフレンドリーなスキームの出来上がりというわけです。
これを「キャンセルできる後払い」サービスと呼んでいるのですが、UXにおいては、BNPLの進化系と言えなくもないと勝手に思っています。

今後、カメラに限らずとも高額商品はこのようなスキームがユーザー保護の観点でもっと普及してくるのではないかと思います。家電量販店の大手が本気を出せば、商品領域を問わずに実現可能なところが、ひとつの成長可能性といえるのではないでしょうか。

一方でこのスキームは返却品のリスクをどれだけ解消できるかが重要事項となります。その点は金融機関とリース会社を巻き込んだファイナンススキームを構築済みで、ビジネスモデルの優位性となります。ここらへんは話せば長くなるので、いつかお声がけ頂ければお伝えしようと思います。

GooPassからGOOPASSへ

ただ表記が大文字になっただけ、というわけではなくリブランディングの準備を進めています。サービスの粘着性を高めていくうえで、フォトグラファーや映像クリエイターのジャーニーマップを網羅するべく横展開していくサービスにおいても、一貫したブランドメッセージを発信していく狙いがあります。

UI/UXを磨くことはもちろんのこと、プロダクトのデータ活用を進めていくことで、サービス間の体験をシームレスに接続し、ユーザーの成功に寄り添えるようなプロダクトへと進化させていきたいと考えています。特に初心者の方が挫折しないための学びサービスや、撮影のその先の編集や撮影行動を支援するサービスなどを検討しています。

旅行市場参入

ある日の旅行風景 :右手に360°カメラ、左手に三脚&ミラーレス一眼

カメラはずっと旅行市場と相性がいいと感じていました。何より、自分自身が一番カメラを持ち出したくなる瞬間が旅行に行くときでした。撮ることはもちろん、残された記録をもとに振りかえる価値を感じられます。
カメラの文化をふたたび、というミッションをより多くの人に伝えていこうと考えたら、カメラを趣味にしてもらうという高いハードルを目指すよりも、目の前に撮りたくなる瞬間がある状況をつくりだし、そこにカメラがあればいいという考えに至りました。

カメラブがプロデュースする撮影旅行は、全国の魅力的な絶景を巡るとともに、その撮影に最適化されたカメラとレンズが借りられるツアーとなる見込みです。夕焼け × 白鳥が飛来する沼 × 超望遠レンズレンタルというツアーがあれば、雲海 × 朝日 × ドローンレンタルというツアーも。サービスとしてお目見えする日は、コロナの落ち着き次第といったところでしょうか。

全国の自治体と連携し、地方創生へ

長野県阿智村の観光資源を活用したGooPassイベント

今、かつてないほど地方に注目が集まっていると感じています。それはコロナ禍でオンラインコミュニケーションが一般的となり物理的な距離は日常生活において影響が小さくなったことにあります。
実際に当社にも長野県、兵庫県、島根県在住のスタッフがいますし、気づけば島に移住するということもありました。ちなみにリアルオフィスは東京本社のみにも関わらずです。それくらいに距離を超えていけるということです。

そうであれば、地域の魅力を伝えることさえできれば、移住までつなげることは今まで以上に現実的なのかもしれません。だからこそ、認知拡大のための撮影機会づくりを注力取り組みとして掲げています。まずは関係人口を増加させ地域を活性化させること。その先に転入人口の増加があると思っています。また、これらの取り組みには、なるべく地元のフォトグラファーに関わってもらうところが持続可能なものとするうえでのポイントと考えています。

カメラを起点に思い出をつくる会社

結局のところ、なんのために事業に取り組んでいるのか?
「いつか、思い出を語るために」
というのが、その答えです。

笑顔になれる今をつくり、思い出(記憶と記録)を充実させていくとともに、将来同じように笑顔で振り返れるよう、いつまでも撮りたくなる地球環境も守り残していくのが私たちの使命であり取り組む理由です。

– Vision –
好きに夢中になれる機会を支え、誰かの喜びと生きがいをつくる。

好きに夢中になれる瞬間は、世の中に本当に多く溢れていると思います。
撮る手段の提供から、撮りたくなる世界づくりへ、カメラブは前進します。

【組織拡⼤につき、各ポジション積極採⽤募集中】

CMO候補 / 事業開発 / 経営企画(新規事業) / カスタマーサクセス / カスタマーサポート/ 機材戦略データアナリスト / 機材管理Ops / GooPass PdM / GooPass PmM / エンジニア(フルスタック) / WEBマーケター / ⼈事採⽤広報 /  財務経理 / 知財法務 / その他オープンポジション

「好きに夢中になれる機会を⽀え、誰かの喜びと生きがいをつくる。」ことをミッションとし、カメラから始まる様々な取り組みを⾏ってきました。今回の資⾦調達をもって、⼤きくステージが変わり、事業も次々と仕込んでいきます。スタートアップでスピード感ある成⻑実感を得たい、⼤きな裁量をもって事業を推進したいという⽅は、様々なポジションを募集いたしますので、少しでもご興味・ご関⼼をもって頂けましたら、ぜひ⼀度⾯談機会を頂けますと幸いです。

カメラブ採⽤ページ

【GooPass関連サービス】

【GooPass】
撮影機材が⽉額定額で⼊替放題レンタルできるカメラのサブスク
HP:https://goopass.jp

【GooPass PRIME】
撮影意欲が⾼まる体験のサブスク
HP: https://goopass.jp/prime/

【GooPass TAKEOUT RENTAL】
新品カメラを店舗からお試しレンタルできるサブスク
HP: https://goopass.jp/takeoutrental/

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