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改善は何のためにやるのか考えてた

どーも、いさなです。

僕はここ2年半ほど、業務改善コンサルタントという仕事をしていました。クライアントの業務のお手伝いをしつつ、生産性を上げてスループットを増やしたり、属人化した仕事を平準化したり、不必要に人手でこなしている作業を自動化したりする仕事でした。雑に自分の仕事を人に説明するときは「情シスとSEとプログラマの中間みたいな感じ」と言ってました(どれもやったことのない仕事なので正確ではないんですが雰囲気は伝わると思う)。なぜ過去形かというと、来月から職場が変わり業務内容が変わるためです。

そんなタイミングなので今月はずっと「改善は何のためにやるのか」を考えていました。そのことについて考えをまとめて置きたいと思います。

労働時間を減らすため?

僕は端的に言って、長時間労働を憎んでいます。勿論、残ってでもやらなければならないシチュエーションというのはどんな仕事でも職場でも業種でもあり得ますし、労働者が主体的に残りたくてやっているケースも認められるべきでしょう。しかし多くの場合は、「原因は良くわからないけどなんとなく長時間労働が常態化している」という状況ではないかなというのが肌感覚としてあります。

長時間労働を無くすためには仕事を効率化するのが有効でしょう。無駄な会議を減らし、ルーチンワークを自動化し、不必要な工程を無くすことで生産性が上がれば長時間労働は無くせそうです。

でもちょっと待ってください。

例え短期的なスループットが増えたからといって、労働時間は減らなくないですか?

単位時間あたりの仕事の効率が上がったとして、「今日やることは終わったのでもう帰ります」では上司は納得してくれません。仕事の効率が上がったのであれば、稼働時間は据え置いた方が、売上や利益が増えるので上司は喜びます。顧客が納期を詰めて注文を増やしてしまったら結局労働時間は変わらないので労働時間を減らすことはできません。

そう考えると、労働時間を減らすためには改善よりも労働者の主体性とか顧客の優しさとかの方が影響が強そうです。

利益を増やすため?

スループット増えるというのは単純に考えれば、全体の費用に対して人件費が下がるということです。また、属人化した仕事や専門的な作業を平準化して誰にでも出来るように改善し、労働単価の安い派遣従業員を雇うことでも人権費を抑えることができます。改善によって浮いた時間や予算の分だけ、受注を増やせば売上が伸びますし、コストが下がった分だけ利益が増えたという考え方もできます。

でもちょっとまってください。

全社を上げてある程度の規模の予算をかけたプロジェクトならいざ知らず、草の根運動で改善活動をしても、得られる利益はその年の査定がちょっと良くなるという程度だと考えるのが現実的ではないですか?

年間で数百万程度の利益増加なんて、市場経済における競争力としては貧弱です。そもそもそんな努力なんて競合もやっているに決まっています。この競争社会で勝ち残っていくためにはコスト削減よりもビジネスモデルをピボットするなり飛び地するなりしてイノベーションを起こすほうが効果が大きそうです。

仕事のパラダイムを変えるため?

日々の業務は差し迫った納期に対応するのが常だと思います。言い換えれば、常に短期的な仕事に追われ続けている状態です。しかし同時に、頭の片隅には中・長期的な問題意識がありませんか?毎月の残業が多すぎて今年度の年間残業が付きそうだとか、ベテランの先輩の存在によってなんとか回せているけど数年後には定年退職されてしまうからこの先どうしようとか、似たような品質不良ちょっと前にもあったなぁ根本解決するべきだよなぁとか。中・長期的な課題というのは往々にして抽象的であり、解決のためにはまず知恵を絞らなければいけません。

改善によって日々の短期的なタスクに少しでも余裕が出来ることで、こういった中・長期的な課題が視野に入ってきます。抽象的な問題に向き合い、解決案を生み出し、メンバーと揉んでブラッシュアップして実行に移すというプロセスを動かすことが出来れば、遠からず職場の中・長期的な課題を解決する事ができるはずです。

ちょっと待ってください。

短期的なタスクに追われる状況を脱却し、中・長期的な課題を解決するための時間を生み出す。改善をする理由ってこれなんじゃないですか?

一つ一つの改善というのは小さなものです。その小さな改善の積み重ねによって大きなリソースを手に入れ、より抽象度の高い問題へリソースを投下するというプロセスは、会社の事業への貢献もさることながら、大変有意義で主体性のある働き方だと思います。

今の所書きたいことはこのくらいです。



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