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9月入学について思うこと(2)

 5月末から、勤務先のオンライン講義が始まった。講義に関しては、別に慌てることはあまりなかった。しかし、なんだか回りがバタバタしているから、引きずられるようにバタバタしてしまっていた。それで、更新が全くできなかった。


 言い訳はこの辺にして・・。

 この間に9月入学論もどこかへ吹き飛んだように感じているのは、私だけではないだろう。また、なんだかコロナで世界が変わる!なんて言っていた人たちが急に元気がなくなってしまって、なんだかフツーに、元に戻りそうな気配がしているのも、私だけではないだろう・・・。

 なんかもっとラジカルに物事が変わっていくのかなぁと、不安に少し期待が入り混じった何とも言えない感情を抱きながら、世の中の様子見ていたのが、すでに少し懐かしくなってしまっている。

いや、世の中の流れって言うのは、本当に強くて、ちょっとやそっとでは、変わらないんですね・・・。

 気を取り直して、9月入学について。続きを書こうと思います。

 私は基本的には現時点では「必要なし」そして「よく考えてくれ」(もっと深い議論を!)派です。

その理由1として「世界は多様性を求めている」からと前回述べました。

今回は2つ目の理由。

「別に留学スムーズにならない」 について書こうと思います。
※ちなみに私は、英国の大学院(修士課程)に正規留学した経験があります。

大学(院)留学には大きく分けて2種類「正規留学」と「交換留学」があります。(そのほか、研究員とか様々な制度もありますが。)

 正規留学は字の通り、留学先の学生と同様に大学へ入学して勉強し、単位が取れれば学位を取得し卒業(修了)します。ちなみに留学生は学費が現地学生より割高です。また、英国の場合、学生ビザを取得する必要があります。これは専攻分野限らず、条件は一律なので、ハードルが高めです(特に英語力)。芸術分野の学生は、総じて英語力の平均値が低いので、ほとんどの人が、ここで心が折れます。準備には、それなりに時間がかかります。

 一方で交換留学というのは、日本で通っている大学に籍を残しながら、留学先の国に「短期」で留学します。大学同士が提携を結んでいて、こちらの学生送るから、そっちの学生も送ってね。お互い面倒見合おうね。的な感じです。大学からすれば、学生の多様性を確保すると共に、大学の国際性をアピールできるので、メリットがあるのでしょう。

 だから交換留学には、入学試験もないし、先ほど述べた「ビザの取得も」正規留学に比べたら簡単です。ちなみにお客さんなので、単位も普通に通えば大抵貰えるでしょう。

 滞在先なんかも、ある程度準備されていて、わりと留学が上手くいくように、ある程度オーガナイズされているのが交換留学です。

※正規の留学性は、当然自分の滞在先や、銀行口座開設等、生活のことを面倒見てくれる人は誰もいません。留学先の大学は多少情報はくれますが、基本、現地の学生と同じように全部自分で調べて決めます。

 極端に言えば、英語力がなくたって、留学できちゃいます。また身振り手振りで生活していれば、まぁ何とかなります。(そういう人にとっては、語学力とは違う、ある意味で本質的なコミュニケーション力が付くとも言えるかもしれません)

 それでいて経歴には、○○大学へ留学とか書けるから、世間からは留学経験者として扱ってもらえます(しかも日本に在籍する大学から見れば「格上」の大学へ留学することもあるようです)。留学先で取得した単位を日本で在籍する大学の単位に変換してくれる場合もあるそうなので、日本の大学へ入学して、他の学生と同じように4年間で留学もでき、一緒に卒業もできる。費用対効果を考えると悪い話ではありません。

 ただ、実情としては、行ってきただけでも、留学になります。これは当然、大学のレベルで違うし、交換留学でも難易度の高いところはあると思うし、有意義に過ごす人も多いとおもいます。
 しかし、そうでなくても、留学出来てしまうシステムだということです。事実、私は留学中、某有名私立美大からきた方が全く喋れず、通用せず、なんなら自分で宿を手配できず野宿してそう・・というのを、目の当たりにしました)

 そうはいってみたものの、実は私費の正規留学生も現地の大学から見れば、高い学費を落としてくれる、良いお客さん的な要素があります。でも、学位認定がかかっているので、最後はわりと容赦はありません(現地の学生と同じように扱われます)。数百万かけて留学したけど、授業についていけず途中で帰国したという人の話も聞いたことがあります。海外の大学は、日本の大学に比べると、入学はし易いけど、卒業(修了)が難しいといわれますが、間違っていないと思います(私も充実した留学生活でしたが、修了するのは本当に大変でした)。

 さて、この予備知識を持って、本題の「9月入学にしても留学スムーズにならん」に入るわけですが、もし、日本が国家として「交換留学」をたくさんさせたいのであれば、アカデミックカレンダーを欧米と同一にする9月入学案は「あり」だとおもいます(交換留学では準備もそれほどないですし)。ただ、上記で述べたように交換留学はお客さん的な扱いが多く、リアルに海外で勉強して、最新の知識を得る制度とはあまりいえません。

一方で、世界トップクラスの頭脳が集結する欧米の大学で、同様の条件で勉強してグローバルで戦える人材を育成するには、正規留学の方が適しており、そのための準備は、数か月で出来るようなものではないということです。

 ちなみに、凡才な私は、海外に住みながら5年くらいかけて大学院の準備(費用や語学力の向上)をしました。私の場合は遠回りしすぎですが、それでもフツーの能力の人が、大学院留学をしようとおもったら、1年は最低でもかかると思います。なので、9月入学になったところで、日本の大学を終えて、ピュッと欧米の大学へ留学するのは、現実的にかなり難しい。ですので、9月入学にしたところで、留学しやすくなんてならないと思うのです。(ビザの準備だけ見たって数か月はかかります)。 むしろ3月に大学卒業して、9月から位のほうが、1年ギャップがあかなくて、スムーズではないかとも思うのです。

留学の話は今後いろいろとしていきたいと思います。

その2 終わり。


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