いさお

24歳 社会人3年目 不定期に更新し続けます。多少、更新間隔が短くなったり、長くなった…

いさお

24歳 社会人3年目 不定期に更新し続けます。多少、更新間隔が短くなったり、長くなったりしますが、お許しください。Twitterでは作品ごとに解説を書いています。

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クリスマス

 小学校中学年の頃、クラスメートがこんなことを言っていた。  「サンタって、この世にいないんだぜ!サンタって親なんだぜ!」  自分の家では、毎年プレゼントが届いていた。毎年、その年に欲しいものが12月25日の朝には、枕元に置いてあった。当時の僕は、欲にまみれた外世界のことはあまり知らず、僕の世界というのは小学校と家の二つで成り立っていたほど、純粋だった。そんな純粋だった僕は、もちろんその時もサンタは実際にいると思っていたし、そのクラスメートは嘘をついているのだと思っていた。

    • そんなことないよ

      生きていると嫌なことは数多起こる。そして嫌だ、とそれを拒否すると角が立つから渋々受け入れることも数えられないくらいある。そんなときは決して嫌な気持ちを顔に出さないよう、表情筋を引き締めようと懸命に努める。 職場に嫌なことは嫌だと言える人がいる。周りの目を気にせず、はっきりと嫌ですと断言する。彼自体を尊敬することはこれから先はきっとないけど、しかし彼の発言、「自分ファースト」の考えは、僕はどう足掻いても習得はできない。それを平然とできれば、だいぶ生きやすくなるのだろうなと彼を

      • 本棚

        とある小説をほんの数ページ読んだだけで処分しようとしている。 スマホのメモ機能にこっそりと作成してある「いつか読みたい本リスト」の中に並んでいた本だった。 その小説は僕の今置かれている状況から遠く離れた場所で起こるストーリーだった。ハッピーエンドを好む僕は、明らかに読後は幸せな気持ちになるであろうこの本を選んだ。 でも頭、数ページ読んで、もういいや、と思ってしまった。もちろん結末がどうなっているかなんて全く知らない。 気持ちが晴れやかだったことが今年に入って数回しかない。

        • ファイティンポーズ

          仕事でミスをした。 それは防げるミスで、自分でもなんでこんなミスをしたのか甚だ不思議なくらいだった。無意識にミスをしたものだから、どうしてミスをしたのか? と上司に聞かれても、僕にも分かりませんと正直思った。が、そんなことを口にしては上司のなにかに火に油を注ぐだけである。だからありきたりな「僕の不注意です」という理由を口にした。 無意識にミスをしているのだから、集中していない=不注意で上記の言葉はあながち間違っていない。それでもなんでこんなミスをしたのか、原因が僕には欲しか

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        クリスマス

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        • 【短編小説】
          16本

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          墓場まで運ぶ案件

          不意に言われた些細なことを意外と覚えてしまう。その言葉がポジティブな言葉だといいのだが、大抵ネガティブな言葉しか覚えていない。 中学2年の時、少しやんちゃで意地悪な、苦手な男の子がいた。彼はバスケ部、僕はバドミントン部で体育館を2面で分けて活動をしていた。たまたま距離が近くなった時、その子が「もっと足動かせよ! それじゃあ試合負けるぞ!」と僕をからかってきた。急にそんなことを言われて驚き上手く返せず「いやぁ~、今試合してないから……」と笑っていると、「……マジでお前のそうい

          墓場まで運ぶ案件

          誕生日おめでとう

          スマホのカレンダーアプリから通知が来た。 「○○(高校の同級生) 誕生日」 高校を卒業してから早6年。その間に1回も○○とは会っていない。 高校1年の時同じクラスになって、席が近いこともあり親しくしていた。○○はたくさんの人と仲良くすることができる人だったから、クラスだけでなく同じ学年でも仲の良い人が多くいた。高2になって別のクラスになった。時々立ち話をするが、基本は廊下ですれ違う時に軽く挨拶を交わす関係になった。その後○○は持ち前の人望の厚さで部活の部長になり、勉学をお

          誕生日おめでとう

          3月が終わってしまいます。

          花粉のせいなのか風邪をひいたのか分からないけど、鼻水が止まらず鼻をかむ動作に体力をことごとく奪われている、3月終わりの午後。 気温も寒く雨が続いたため、桜の開花も少し遅れたが、無事に開花宣言された。 年度末、そして新年度を迎えようとしている。 ちょっと待て。3月が終わる? ついこの間、紅白を観た気がする。 ほんの数週間前に明けましておめでとうと言った気がする。 もうあれから90日経ったってことか。 恐ろしいことに社会人を丸2年過ごしている。 会社に馴染めず、同期の中で一番

          3月が終わってしまいます。

          character

          少し前まで、万人に面白いと言われたかった。 会社の人や仕事で出会う人に面白いと言われたくて、調子に乗ってみたりボケてみたり、何かに例えて指摘するたとえツッコミをしていた。9割5分はやっぱりウケない。でも時々、渾身の一撃が出たときは笑ってくれる人もいる。 思い返せば、狙って笑いを取ろうとしてうまくいったことがあまりない。 授業中先生に指されて、突然のことに驚き、それでも返事をしなくちゃ……と思い「はい」といった声が掠れてほぼ吐息しか出ない返事をしたときクラスメートが笑ってく

          墓参り

          お彼岸で祖父の墓参りへ行ってきた。 片道1時間かけて墓参りに行く。運転は自分。 免許を取ってから5年が経った。運転をすることはそこまで苦じゃない。仕事柄、ほぼ毎日車に乗っているし、時間に追われることなく気ままにドライブができる良い機会が墓参りなのだ。 小さいころから母の運転で墓参りをしていた。自分の家はあまり遠出をしない家系であるから、車に乗って1時間かけてどこかへ行くことは墓参りか夏休みの家族旅行くらいであった。 車が好きで、車に乗っていれば大人しくいられるような子どもで

          ウレシイデス・・・

          会社の先輩が「ボーナス支給、もうすぐだけど嬉しい?」と尋ねてきた。僕は「いやー……」と答えあぐねていると「嬉しくないの!?」と驚かれた。 ボーナスを貰ったからといって何かを買う予定は今のところない。急遽手にした多額のお金は、浪費してしまうのが怖くてすぐに貯金する。ボーナスをもらえることはありがたいことだが、自分は他の人に比べてありがたみを感じる意識が希薄のように感じる。 「嬉しいことは嬉しいんですけど、特に使う予定もないし」 「いやいや、いさお。そこは素直に嬉しいです!っ

          ウレシイデス・・・

          つまらない顔

          ある朝、制服に着替えているときに隣で着替えていた先輩が僕にこう言った。 「○○さん(僕の同期)が辞めるけど、お別れ会やらないの?」 「いや、仲良い子とやるんじゃないですか? 僕はそこまで、だったんで」 「そうなの?」 「僕は声かけられませんよ。そういう場苦手なんで」 「あはは。確かにいつも飲み会とかつまらなさそうな顔してるもんね」 僕は社交の場でいつもつまらなさそうな顔をしていたらしい。 お酒が飲めない身からしたら、そういう場は決して楽しいものではない。それでも自分の中で

          つまらない顔

          大人の階段、昇る?

          最近、上司に対する気持ちが変わった。 時々、理不尽ではないが言い過ぎではないか? と思ったり、自分ができることは誰でもできると思ってる節があったり、ゴリゴリの体育会系的思考をナヨナヨ文化部的思考を持った僕にぶつけてきていた。上司の言葉尻だったり発言だったり行動に、毎回心を削られていた。 上司にムカつかなくなった。 少々度を超えた要求を真に受けず、「あぁ、また始まった……」と思い気にしなくなった。言葉尻にも反応はするものの、「まぁまぁ……いつものことだ」と受け流すようになった

          大人の階段、昇る?

          Week End

          5連勤が厳しい。 月~金曜日まで働くことが体力的にきつくなってきた。 まだ20代前半のくせに生意気だと自分でも思うが、明らかに昨年よりも衰えを感じる場面が多い。 午前中の仕事が終わり腹を空かせてコンビニ飯を食べた後、急に疲労感が襲い眠くなる。そしてそのまま眠ってしまうこともたまにある。 昨年はどんなに疲れていても絶対に眠くならなかったのに、今年は気づいたら睡眠欲に負けていた。 金曜日に感じる疲労の度合いが水曜日辺りにすでに感じてしまい、仕事をする1週間がまだ2日もあることに

          身の丈

          なんかうまくいかないなぁと思うことがあった。 自分のやる気と、結果の歯車がうまく噛みあってくれない。やる気をしっかりと失くし、今に至る。 少し天狗になっていた。 今年度、仕事上で「いつか達成できればいいなぁ」と夢に思っていたことをあっさりと達成してしまった。昨年の今ごろの身の丈を顧みても、今年度はやっぱり出来過ぎである。夢をなんとなくで達成できたものだから、あれ?意外といけちゃう?なんて調子乗っていた。 しかし1年中、ずっと良いことが起こっていたわけではなかった。 上司と

          コンビニバイトと言う勿かれ

          近所のコンビニに立ち寄った時のこと。 レジで文旦をもったおばあちゃんと、17、18歳くらいの男子店員がいた。そのコンビニはどこかの八百屋が店前を間借りして野菜や果物を販売している店だった。そこで売っている文旦がおばあちゃんはとてもお気に入りだったようで、嬉しそうに男子店員に話しかけている。 「この文旦ね、すっごく甘くて私、大好きなのよ!」 「そうなんですねぇ」 「お家に帰ったらおやつに食べようと思っててね」 「そうですかぁ」 「またこの文旦、買いに来るわね」 「はい、ありが

          コンビニバイトと言う勿かれ

          滑舌がわるい

          寒いからだろうか、滑舌がとても悪くなった。 気付いたら早口になっていた! なんていう癖がある。始めはゆっくりはっきり話そうと意識をする。ゆっくり、はっきりと頭の中で念仏のように唱えながら話す。 話が盛り上がると危険である。楽しく話してそろそろ話の終わりが見えてきたころ、口の中がカピカピであることに気付き、唇の周りがやけに重く感じる。肩に力が入っていたことを感じさせる強張り方。会話を終え、しまったと思う。自分の悪いところが出てたなと後悔する。 逆に、ゆっくり、はっきりと念仏を

          滑舌がわるい