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PdMの転職きろく

超大作になってしまいましたが、記録として残しておきます。
会社名や業界はボカしておきます。
私は、プロダクトマネージャ(PdM)として働いています。


2024年1月、転職しました

2024年1月から新しい会社で働きはじめました。
前の会社では、丸4年PdMとして働いていました。

入社したときは、まだまだスタートアップの雰囲気があり、オーナーシップがあれば、自由に動ける環境で一体感もあったなぁという感じです。
コロナでフルリモートが始まる前は、オフィスでAll Handsをやったり、飲み会イベントも多くワイワイしていたので、本当にモメンタムがそこにはあったと思います。

4年もいると、業務もシステムも暗黙知も分かるベテランクラスのポジションに到達しています。また、会社全体は300名規模のサイズになってきており、入社した当時は150-200名ぐらいだったので、順調に組織拡大してきたと思います。既存事業の価値を磨きながら、新しい事業が増えて、組織の執行体制や開発体制も変化していきました。もちろんガバナンスや評価制度といった部分も変わりました。

自分もレベルアップしていく中で、この会社でやりたいことはなにか。希望するキャリアパスは描けるのだろうか。世の中と比べて自分のバリュー、市場価値は適正なのかと色々考えるようになり、外に目を向けるようになりました。もちろん、会社に対するネガティブな部分もありますが、それはどの環境でも一長一短ありますから、ここでは伏せておきます。

私の転職活動は、2回ムーブメントがありました。その記録を残しておきます。


転職活動シーズン1(2022年夏)

1回目の転職ムーブメントは、2022年夏ごろです。
評価に対する期待値のズレや、重要なシニアレイヤーの人が辞めてしまったことなどが重なって、組織体制や開発方針の変更に違和感を覚えてしまい、転職活動を始めてみました。
今でも組織に対するがっかり感があったことを覚えています。なぜあの人を放出してしまったのか、慰留できなかったのか。真意が明らかになることはありませんが、すべての人の希望を叶えることはできません。
自分もそろそろなのかなぁ、と思う潮時感です。

転職活動は、カジュアル面談からはじめました。
ほとんどがyoutrustでメッセージをもらっていた案件が近くにあったので、とりあえず、話を聞くところから始めました。youtrust以外でも気になっていた企業には、公式サイトからカジュアルを申し込みました。ポッドキャストや技術ブログで情報発信をしていた企業が接点となりました。
(ちなみに、youtrustは転職意欲のスタンスを明示できるので、プロフィールをきちんと書いて、高めにしておくと結構な量のカジュアルどうですかメッセージが届きます)

偏見だと思いつつも真実だと思っているのですが、世の中一般の会社員において、転職しようと思うきっかけは、大多数がネガティブ要因ですよね。みんなネガティブ理由を言わないだけで分かってます。新しいチャレンジというポジティブ要因は本当に一握りです。

結果、シーズン1は、カジュアル7社→選考5社→オファー0件でした。現場メンバーとの面談は意気投合して問題なかったのですが、最終のVP/役員クラスになると、最終面談でお見送りになることが多かったです。
お見送りNGの理由は開示されることはありませんが、選考の肌感としては、応募ポジションに対するレベル不足2社、ポジションがない3社 という感じでした。

敗因のサマリは「①転職理由の言語化が足りなかったこと。②ポジションサーチ/ポジションマッチが不十分のまま選考を進めてしまったこと」です。約2ヶ月ぐらい転職活動してみたものの、本業のプロジェクトが忙しくなったため、シーズン1は終了しました。

また、当時の自分を振り返ると、気持ちはネガティブになっており、深い谷底にいたと思います。仕事のモチベーションも低い方だったと思います。
会社の同僚に対して、ヘイトを撒き散らすネガティブスピーカーになっていましたし、自分でもメンタルが相当ヤバかったなと思います。
(本で読んだことがあったため、自分の症状を客観視できていたのは幸いでした)

①転職理由の言語化不足

面談のやりとりの中で、なぜ転職するのか?今の職場では実現できないのか?など転職理由、背景を問う質問はよくあります。なぜなのか、どうしたいのか、どうありたいのか、と深掘りされたときに自己矛盾が生じていたと思います。裏付けが弱い、筋が通っていないという状態だったと思います。
今の環境から抜け出したいという背景が読まれていたのかもしれません。

また、組織に対してヘイトが溜まっていたときだったので、自分の状態も良くなかったと思います。陰と陽で表すなら陰(ネガティブ)な人とは、一緒に働きたくないですよね?
正しいことを言ってても、怪しいやつだと見えていたかもしれません。本音を見抜いていた面接官は素晴らしいと思います。

自分は何がやりたいのか、なぜ御社なのか、この場所なのか、徹底的に言語化すべきでした。

②ポジションサーチ、ポジションマッチの見極め不足

「カジュアル面談から、まずはお話してみませんか?」
とメッセージが届いて、会話をしてみると、仕事的には良さそうだし、とりあえず選考進めてみましょうか?という流れに乗ってしまうことがあります。これが良くなかったですね。

通常、カジュアル面談は30-60分の枠で、企業説明と転職状況の共有、簡単な説明で終わることが多く。まずは自社の魅力を知ってもらうことが重点に置かれています。

しかし、カジュアル面談の中で、募集ポジションの内容や、募集背景、求める水準について、踏み込んで会話する機会は少ないです。
特に事業拡大などプラス要因でポジションを開けている場合は良いのですが、マイナス要因(人が離職してサービスが回らないなど)の場合は、面接官も話しにくいため、候補者側の判断が難しくなります。

結果、募集しているポジションと候補者の期待値がズレたり、理解が薄いまま進めてしまうと、ふわっと本選考に進んでしまい、1次、2次過ぎたあたりの面接で、フィットするポジションがなかったり、候補者が期待するキャリアパス&提供価値とマッチせず、お見送りになる状況が発生します。そういう会話も含めたものが選考なのかもしれません。
また、オープンポジションへの応募もミスマッチを生みやすい枠です。

もし、振り返るならば、本選考に進む前に、面接官&候補者双方がポジションに求める期待値や役割を深掘りして、ポジションサーチやポジションマッチに時間をかけるべきだったと思います。カジュアルは何回やっても良いものです。
企業側もカジュアルの時点で、フィットするポジションが無さそうであれば、現時点では用意できない可能性があると、はっきりと条件付きでもいいので回答すべきです。もしくは絶対来てほしいので、ポジションを用意するという前向きなコミュニケーションが重要です。

良くないと思ったカジュアル面談

面談を通じて、良くないと思った面談スタイルを書いておきます。

  • 30分しか時間が取れない短いカジュアル面談

    • 定型的な業務、簡単なレベルであれば30分でも問題はないが、重要なポジションほど、ポジションマッチの時間を取ったがほういい

    • もしくは、採用情報、コンテンツが公開されており、事前に候補者が自分で情報収集できる状態が整っている。=働くミスマッチがない認識が取れている

  • 説明資料がないカジュアル面談

    • 候補者は、事前に調べてこない場合もあるので、最低限、材料提示は企業側からやったほうがいい。まず興味持ってもらうスタートラインに立てない

    • 話のネタとして、採用ページでも、会社概要のスライドでも一通り見せたほうがいい。これはアイスブレーク的な意味合いもあるから。

  • いきなり聞きたいことある?形式の面談

    • なんか質問ある?という切込みで入るスタイルは上から目線だからやめたほうがいい。カジュアルは取引先、お客様と同じように扱おう。

    • 候補者は、採用サイトを見ないで来ることもあるので、把握レベルを確認した上で、会話をスタートする。だからアイスブレークや直近の活動状況ヒアリングは大切。

    • 聞きたいことがまとまっているレベルは、候補者がある程度のカジュアル面談回数をこなしているか、本気で興味があり、情報収集したいという段階。IR資料まで見ていたら企業の大枠は分かっている可能性が高い。

  • 面接官が採用ポジションの背景や課題を説明できない面談

    • なぜ採用活動をしているのか、どうしてポジションを開けているのかを説明できない人は面談に立つべきではない。

    • また採用に熱量がない人や事業の面白さ、深みを説明できない人は面接官として適していない。

改めて、マッチングアプリと同じように、次の展開を狙いたいなら、相手の興味をいかに引き出すかが重要で、流れ作業的にやっても打率は上がらない。2回目のデートにどうやってつなげるか、科学することが必要。


転職活動シーズン2(2023年夏)

シーズン1終了から半年以上が経過し、組織の変化を見守りつつ、担当していたプロジェクトが一段落しました。結果、なにも大局的な変化がなかったので、転職活動を再開しました。2回目の転職ムーブメントスタートです。2023年夏の話です。

前回の反省を活かして、自分の転職理由をきちんと言語化する対策を行いました。また気軽にカジュアル応募するのではなく、エージェント経由に切り替えました。ウェブで公開されているポジション情報は、テンプレ的なものになりがちなので、もっと最新情報や背景情報を集めるために、エージェントと会話しました。エージェントは企業側の採用担当や現場のポジション責任者と会話することが多く、その企業へ送り込んだ実績もあるため、カジュアルに比べて、成功確率・マッチ確率を高められそうだなと思い、経路を変えました。
またエージェントは、コーチングのスキルを持っている方も多く、キャリア相談や模擬面談機会もあるので、壁打ちとして使ってよかったと思います。

結果、シーズン2では、カジュアル面談12社→選考7社(途中辞退1社、見送り3社)→オファー3社でした。そこから最終的に1社に決めました。
前回受けたところを除いて、広めにカジュアル面談を実施し、拡大余地のある大手SaaSや面白そうなスタートアップに絞り本選考を進めました。
カジュアル面談では、キャラが際立っていたり、熱量がある人が多かったです。

シーズン2で意識したこと

転職先の軸を決める

次の数年間を見据えて、自分のキャリアパスを言語化しました。
よくあるWill, must, wantに近いかもしれないものです。今の年齢を考えて、市場価値をさらに高めるため、より大きな実績を作れるフィールドはどこだろうか、大きく化ける企業はどこだろうか。何がやりたいのだろうか。

転職にあたっては、改めて、①ARRまたは粗利率が高いこと、②産業やプラットフォームのプロダクトを作っていること、③プロダクト投資やPdMの組織化に取り組む意思があること の3点を軸として企業候補を選んでいきました。

言語化を通して意外な発見もありました。改めて、事業とはなにかを考えるようになりました。
私なりの答えではありますが、事業とは「ビジネス、プロダクト、組織」の3つが歯車のようにうまく回らないと大きな成果に繋がらないと考えました。どこか一つの歯車が掛けても、レバレッジが効かず、会社は弱体化する。
前職では、ここにもう一つ追加して、「オペレーション」の要素があると思いました。オペレーションとは、当たり前に存在しているカスタマーサポート機能やエンジニアのシステム運用も事業を構成する要素として不可欠だということです。日常的な業務であっても日々の積み重ねが複利で効いてくる事業もあります。特に日銭を生み出しているコア事業は4つの歯車になっていると思います。

会社は、事業体であり、利益を出さなければ、いい人も雇えないですし、成長することはできません。また新しいチャレンジに投資することもできません。さらなる発展を続けるためには、「ビジネス、プロダクト、組織、オペレーション」の4つに、どのような考えを持ち、どれだけ投資しているか、現状はどうなのか、課題感はもっているか、変えていきたい想いはあるか、など面談時に聞けるところをヒアリングしました。

ポートフォリオ資料を作る

選考に進むにあたっては、履歴書と職務経歴書を提出するのが一般的です。
職務経歴書は、1枚や2枚までにまとめることが推奨されていますが、テキストで書いた実績は、なかなか伝わらず読みにくいものです。そこで、ポートフォリオ資料を作って、提出しました。デザイナーなどではよくある実績資料です。

パワーポイントやGoodleSlideを使って、「自分の自己紹介、1社目のサマリ、2社目のサマリ、プロダクト事例、やってきた専門領域」などを5枚程度にまとめたものを作成し、履歴書、経歴書、ポートフォリオの3点セットで面接官向けに展開してもらいました。

このぐらいであれば、忙しいマネジメントレイヤーの方でも、さらっと読んでもらえるし、面談時のキャッチボール資料としても使いやすかったです。

面談の質疑応答を作る

自分の過去面接記録や、ウェブ上で公開されているよくある質問をもとに、質疑応答の言語化を繰り返し行いました。特になぜ?なぜ?を繰り返して、その根拠となる背景や思いを裏付けしていきました。

また、途中の選考では面談のフェーズや面接官の事前情報に合わせて、回答を合わせるようにしました。事前に質疑応答を作成し、繰り返し、唱えることによって、違和感なく説明できたし、アドリブな質問でも幅広に回答できるようになりました。

また、企業のフェーズ、事業のフェーズによっては、期待されても提供できない条件もあるため、ミスマッチを防ぐために、Willなのか、Mustなのかを明確に分けて回答しました。マネジメント職をやりたいと言っても、そんなポジションがすぐに用意できるわけではないし、信頼できていない人に任せることはありえない。将来的なキャリアパスとして可能性があるのか、認識合わせすることが重要です。これでポジションのミスマッチをなるべく防げたと思います。

主な質問リストをこちらに作りました
https://note.com/is_saito/n/n88fa791876ef

フィードバックループを回す

選考を進めた中で、見送りになった会社が3社ありました。

あるスタートアップ1社のお見送り理由としては、「ゼロイチの新規事業を得意とする人(自分でリーダーシップを発揮して事業を自ら開拓するタイプ)を探していること」が事後のフィードバックで分かりました。そして「候補者は貴重な人材ではあるものの、今の会社の事業フェーズでは、マッチするポジションが用意できない」というコメントもありました。

振り返ると、面談の内容は問題はなかったものの、既存プロダクトの会話を中心にしてしまい、新規開発関連のやりとりは少なかったなと思いました。説明した部分と現場が欲しい人がフィットしていなかったようです。コア事業を大きくしたいのか、新規事業/新規サービスを作るのかでは、説明する実績も大きく変わります。

選考のミスマッチを防ぐために、既存プロダクトの中でも、0-1, 1-10, 10-100のどのフェーズでも打席にたって実績を作ってきたことをポートフォリオ資料に加えました。
また、面接の冒頭で、募集ポジションにおいて期待する動き方を聞きました。今回のポジション想定は、既存プロダクトor新規開発の領域どちらか、働き方としてはバランス型orスピード型のどちらの活躍イメージか、すり合わせを入れるようにしました。その回答に合わせて、自己紹介の実績説明ポイントをアレンジしていきました。

もう1社お見送りになったのは、大手のSaaS企業の面接で、自分が担当するプロダクトをどう成長させるか?というケース質問で、月並みの回答しかできなかったものです。
これは、私が事前に深掘りできていなかったため、合格点に達していないと判断されたと思います。相手のプロダクトを詳しく知らない中では、致し方ないとは思ってます。浅い解像度でプロダクトの方向性を示すのは無理ゲーでしょう。特にBtoB向けの領域は公開されている情報は一握りで、候補者側に不利です。
とはいえ、応募先でアサインされるであろうプロダクトの将来像や、10Xできるアイディアを断片的でもいいから、持っておくことは必要でした。自分の準備不足でした。

もう1社は、面接官と相性が合わなかったため、普通に落ちました。
面接で、会話していて熱量もそれほど高くなくて、ロジカルではあるものの、権威的なスタンスに違和感を覚えました。
一緒に働く人との雰囲気や相性は、失敗しない転職を進める上で、とても大事です。もちろん色々な人がいるので、相性が合わない人、刺さらない人も当然います。

転職活動の最後に

最終的にオファーを頂いた会社から1社に絞り込み、内定承諾して、転職活動を終了しました。転職活動を通じて、自分の考えを言語化できたことや、自分の実績を振り返りできた点は良かったと思います。市場価値を再認識できたことも良かったです。次の転職先でも頑張っていきます。

転職活動のまとめ

  • 転職は面接官をファンにできれば勝ちである(推薦者)

  • 転職は事前に準備しておけば勝率は上がる

    • 質疑応答やポートフォリオでわかりやすく言語化できる能力は重要

  • 転職はマッチングアプリと同じで相性がある

    • 100%勝ち、全勝できたら嬉しいが、打率10割は奇跡。

    • 心構えとして、打率5割あればいいし、お見送りになったらご縁がなかったと思って次に進めばいい。

  • タイミングもご縁の一つ

以上


最後まで読んでいただきありがとうございました。
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