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遺言相続の無料相談会について思うこと


0.はじめに

遺言書や相続対策などの無料相談会は、
市役所や行政書士会など各所で頻繁に
行われています。

ご相談に来られる方のご相談内容は実に
多種多様です。
当然ご相談を受ける方(士業などの専門家)
のご対応も実に様々で、中には回答に困る事
も数多くあると思います。

無料相談会が終了した後には、相談員同士で
どのようなご相談があった、このように
アドバイスしてさしあげた、あるいは、回答
に窮したのだが、どのようにお答えすべき
だったのかというような反省会を行う場合も
あります。

その場にいて、いつも思うのは

・1.遺言書を書くように勧めた

・2.遺言書には公正証書遺言と自筆証書遺言
  が主に使われていて、各々の説明をして
  差し上げた

・3.認知症になっても成年後見制度がある
 から大丈夫ですと言って安心してもらった

・4.成年後見制度というのは法定後見と任意
 後見というのがあって、各々の説明をして
 差し上げた

・5.相続税について相談したいと言って来ら
 れたので、税理士さんにご相談下さいと
 ご案内しておきました

・6.相続の不動産の名義変更について登記簿
 持参で尋ねられたので、司法書士にご相談
 下さい。
 私たちは行政書士ですとお伝えしました

等々

以上、決してある意味間違えてはいないの
ですが、はてさてどうなんでしょうか?

ここで大切なのはご相談に来られた方に
とっては、このような対応がどのように感じ
られるのかということではないでしょうか

・1. 遺言書を書くように勧めた

について です

遺言書を書くように勧めた

これはその通りですよね

うちはサラリーマンだから遺言書なんて書く
必要ないですよね?
と言うようなことをよく尋ねられるのですが
そもそも遺言書ってお金持ちが書くものだと
思い込んでるからこういう質問が出てくるん
です

そうでは無いですよ
お持ちの資産の額の多少にかかわらず遺言書
を書いておくと言うのはご家族の為にも大切
なことだと思います

なので遺言書を書いておきましょうとお勧め
する事はとても大切なことです

ただし、遺言書を書いておかないと将来揉め
ますよとか、残されたご家族が困りますよ
とか、ネガティブな、ある意味 捉えように
よっては脅しのようなアドバイスの仕方は
やめた方が良いかと思います。

遺言書を書くことで遺言者の思いを伝える
ことができる、ご家族に遺すことができる
最後のラブレターなのですよ、

とでもご案内された方がよろしいのではない
かと思います。

ケースにもよりますが

もちろん、遺言書は書いておくべきものです
が、遺言者本人が死なないとその効力が出な
いのだということも併せて お伝えする必要
があると思います。

・2.遺言書には公正証書遺言と自筆証書遺言が

について

これはこの通りですね。
メリットデメリットをキチンとお伝えして
差し上げるべきでしょう。

・3.認知症になっても成年後見制度がある

について

これは、どうでしょうか?
既にご家族の認知症が進んでおられて、預金
口座が凍結された、遺産分割協議ができない、
不動産の名義変更(相続登記)ができない
等々のご事情なら、法定後見をご案内する
しか方法はないのでしょう。

ても、まだお元気な方の認知症対策として
任意後見制度だけをお勧めするのはいかがな
ものかと思います(ケースにもよりますが)

そう、愛情信託(民事信託)のお話もなぜ
ご案内して差し上げないのでしょうか?

相談員の先生ご自身が、任意後見制度のこと
はわかるけど、愛情信託(民事信託)のこと
はさっぱりわからない からですか?

仮に、その先生が勉強不足で愛情信託(民事
信託)の詳細は理解できていなくても、今や
認知症対策の選択肢の1つとして、絶対に
ご提案すべきことではないでしょうか?

えっ、それは士業としてのプライドが許せ
ない?
知らないことがあるということをご相談者に
悟られると、説得力がなくなるじゃないか。
 
はい?
そのプライドは、何も知らない、ご相談者に
とって、はなはだ迷惑なものではないかと
私は思います。

愛情信託(民事信託)はまだまだ、わが国
では最先端の法務知識だといえます。
(欧米では当たり前のようですが)

その旨をお伝えした上で、ご相談者に認知症
対策には任意後見だけではなく最先端の対策
方法もある旨をお知らせしたらいかが
でしょうか?

もしそのようなプライドがあるからと言われ
るのなら、

学ばないことを正当化しようとせず

しっかり愛情信託(民事信託、家族信託)を

習得しておいて下さい。

成年後見制度だけではできないことがあるの
です
超高齢社会・超長寿社会では尚更です。

目の前の方が愛情信託(民事信託)に

よって救われる場合だって数多くあるのです

ネガティブな やらない正当化を考えるより
ポジティブに解決する方法を考えた方が

間違いなく、お客様のためになるはずです。

任意後見と愛情信託を組み合わせて、場合に
よってはさらに遺言書も加えて、ご提案した
方がはるかに適している場合があります。
 
愛情信託(民事信託、家族信託)を十分に
理解しておらない先生から言われたことが

ありますが
勘違いしていただきたくないのは

任意後見 VS 愛情信託(民事信託)

というような対立関係の構図にはならないと
いうことです。
対立するのではなく共存するべく、ご提案
するものなのです。
その辺りをせめてしっかりと理解しておいて
いただければなと思います。

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