医療・介護職「しごと満足度ランキング」|全40職種を発表
この記事のポイント
・医療介護40職種のしごと満足度ランキングを発表
・ランキング1位は○○職、39位は○○職
・詳細分析で分かった注目トピック3選
・介護福祉系は、労働条件の満足度が低い
・事務職は、対人関係の満足度が低い
・リハビリ職は満足度が高い。ただし課題も
2020年3月18日に労働政策研究・研修機構が、あらゆるジャンル約500職種の「仕事満足度」や「仕事に必要なスキル・知識」等を調査しました。(プレスリリースはこちら)
調査結果の中から、医療・介護職のデータ全40職種を抜粋して可視化しました。
全2回に分けて、調査結果について書いていきます。今回は「仕事満足度」についてです!
医療・介護40職種の仕事満足度ランキング
早速ですが、医療・介護40職種の仕事満足度ランキングを発表します!
1位は 助産師 という結果になりました!
項目別で見てみると、助産師は特に自己実現に対する満足度が高いことが特徴です。
自己実現の項目は、4項目(自律性・専門性・達成感・奉仕社会貢献)ありますが、4項目全てで40職種中トップの満足度でした。
赤ちゃんが生まれる奇跡の瞬間に立ち会うというのは、仕事の大変さ以上の感動や充実感があるのかもしれませんね。
一方で、同じく赤ちゃんの誕生に立ち会う産婦人科医の仕事満足度ランキングは39位でした・・・。全40職種中の39位ですので、ワースト2位になります。
同じ現場で仕事をしているにも関わらず、助産師と産婦人科医でここまで明暗が分かれるというのは印象的です。
仕事の大変さからなのか、性別による受け取り方の違い(産婦人科医は男性が多く、助産師は女性のみ)なのか・・・
ぜひ、それぞれの職種の方から心の内を聞いてみたいものです。
項目別のランキングが確認できるWEB版も用意しています。ぜひ、合わせてご参考ください。
▼医療介護職 しごと満足度ランキング(WEB版)
▼WEB版ランキングの簡単な見方
満足度は3区分(自己実現、対人関係、労働条件)10項目に分けて調査
満足度は以下の通り10項目に分けて調査されています。今回、データを分析するにあたり10項目を3つの区分に分けて整理しました。
詳細分析で分かった注目トピック3選
詳細な分析ができるように満足度分析ツールを作成しました。
満足度分析ツールを使って分かったことの中から、特に印象的だったトピックを3つ選んでご紹介します。
トピック1 介護福祉系は、労働条件に対するの満足度が低い。
トピック2 事務系は、対人関係の満足度が低い。
トピック3 リハビリ職は総じて満足度が高い。ただし課題も。
▼ 詳細分析ツール
▼詳細分析ツールの使い方
【トピック1】介護福祉系は、労働条件に対するの満足度が低い
医療系・介護福祉系・事務系の3つに分けてみると、介護福祉系は労働条件に対する満足度が2.98であり、最も低いことがわかります。
介護職の労働条件については、長らく議論されているテーマですが、やはり厳しい結果となりました。
介護福祉系の職種だけに絞って、満足度を比較して見てみましょう。
介護施設をまとめている「施設管理者」でも労働条件の満足度は3.11であり、医療系の労働条件の平均満足度3.22や、事務系の労働条件の平均満足度3.15を下回っています。
また、施設で働く介護職である「施設介護員」の労働条件の満足度は2.87であり、全40職種中36位の低さです。
労働条件を詳細項目で見てみた結果が次の通りです。
職種を色別で表現しています。ハイライトされているのが、「施設介護員」と「施設管理者」です。
施設介護員に関しては、特に「雇用や報酬の安定性」に対する満足度が低いことがわかります。
介護職の報酬に関しては、処遇改善加算などで少しずつ改善されてきているようですが、まだまだ満足度は低いようですね。
【トピック2】事務系は、対人関係の満足度が低い
医療系・介護福祉系・事務系の3つに分けてみると、事務系は対人関係の満足度が3.03であり、他の医療系・介護福祉系と比べて低いことがわかります。
事務系を職種別に見てみましょう。
対人関係の満足度は、事務系の中では診療情報管理士が最も高く、医療事務が最も低いことがわかります。
対人関係には、「社会的認知・地位」と「良好な対人関係」の2つの詳細項目があります。
事務系の職種をハイライトしています。特に「社会的認知・地位」の満足度が低いことがわかります。
医療機関・介護施設においては、どうしても医師・薬剤師・看護師・介護職等の医療介護の専門職が注目されがちです。
事務系の職種は、なかなか社会的認知を受けている感覚を持ちにくいのかもしれません。
【トピック3】リハビリ職は総じて満足度が高い。ただし課題も。
リハビリ職の満足度が総じて高かったことも印象的でした。PT、OT、STいずれの職種もトップ10にランクインしています。
基本的に満足度の高いリハビリ職ですが、項目別にみると課題もあるようです。
専門性、達成感、奉仕・社会貢献の満足度が非常に高いことがわかります。
一方で、「社会的認知・地位」と「組織的な支援体制」に対する満足度は低いことがわかります。
近年、回復期や慢性期の需要増加に伴って、リハビリ職の重要性が増しています。
リハビリ職の採用や定着を考える場合、「社会的認知・地位」や「組織的な支援体制」といった満足度の低い項目にスポットを当てて、組織改善していくことも重要かもしれませんね。
今回使用したデータについて
今回から、使用したデータの提供を始めたいと思います。素材となっているエクセルデータが欲しいという方は、ご参考ください。
おわりに
今回は、「医療・介護職「しごと満足度ランキング」|全40職種を発表」と題して、以下の事を説明しました。
・医療・介護40職種の仕事満足度ランキング
→ 総合ランキング1位は助産師、39位は産婦人科医。
・詳細分析で分かった注目トピック3選
→ 介護福祉系は、労働条件に対するの満足度が低い。
→ 事務職は、対人関係の満足度が低い。
→ リハビリ職は総じて満足度が高い。ただし課題も。
今回は番外編として、仕事満足度ランキングについて書きましたが、普段は病院・介護施設の市場調査の方法を紹介しています。
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次回は、今回の続編として医療・介護職の「仕事に必要なスキル・知識」について解説していきます。
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