【非専門家のためのBIツール入門】そもそもBIツールとは?Excelとの違いは?
この記事のポイント
・データを分かりやすくするBIツールとは
・BIツールで出来ることは?
・Excelとの違いはこれ!
普段、tableauというBIツールを使ったデータ分析の記事を書いています。BIツールを使っていて感じるのは、最近、BIツールが身近なものになってきているということです。
少し前までは、”一部の専門家だけが使うもの”というイメージでしたが、数年内に、専門家ではない人にとっても身近なツールとして定着していくような気がします。ExcelやWordと同じように。
そこで今回は、BIツールについて、専門家ではない人にも知ってもらえるように紹介していこうと思います。
そもそもBIツールとは
BIツールは、Business Intelligence ツールの略です。
Business(B)は、仕事、業務、事務、事業のことです。
Intelligence(I)は、理解力、思考力、知性、知恵、機転、知恵のことです。形容詞としては、”情報の”という意味も含んでいます。
そこから、BI(Business intelligence)というと一般的には、膨大なデータを分析して、その分析結果を仕事に活用することをいいます。そして、BIをやり易くするツールがBIツールです。
技術の発展により、年々、蓄積されるデータが多くなっています。その結果、エクセルだけでは、そのデータを十分に活かすことはできなくなってきました。
せっかく蓄積したデータを有効に使っていくために、BIツールが使われるようになってきています。
医療介護業界においても、同じです。オープンデータが増えていたり、患者データの蓄積が必須化していく中で、データの利活用が大きなテーマになっています。
一般の業界と同じように、医療介護業界においてもBIツールの活用が一般的になっていくと思います。
BIツールでは何ができるの?
BIツールとは、”膨大なデータを分析して、その分析結果を仕事に活用するためのツール”ということでしたが、より具体的には何ができるのでしょうか。
百聞は一見に如かずということで、活用事例を見ながらどんなことができるのか紹介していきます。
■政府CIOポータル 医療提供状況(β版)
https://cio.go.jp/hosp_monitoring_c19
こちらは医療機関の運営状況をtableauというBIツールで表現したページです。新型コロナウイルスの流行に合わせて4月から政府が公開しました。
緑色は通常通りに運営している医療機関を示しています。黄色は受け入れを制限している医療機関、赤色は受け入れを停止している医療機関を表しています。
新型コロナウイルスの影響で、医療機関の受け入れ制限も多発する中で、医療の提供状況をリアルタイムに、わかりやすく表現しようとBIツールを使って開示したものと思われます。
左上の都道府県の選択窓から、確認したい都道府県を選択すると、その地域の地図や医療提供状況が表示されます。
灰色は未回答を表しており、情報を集めきれていないことは少し残念ですね。
ただ、この活用事例のように、BIツールを使えば、全国から集まった膨大な医療機関データを自動的に集計して表示したり、地図上にデータをプロットしたりすることができます。
BIツールを知らない方からすると、このような表現をすることは、難しいことのように感じるかもしれませんが、実はこれ、簡単に、誰にでもできます。
もちろん、最低限の知識は必要です。ExcelでもWordでも最低限の知識は必要になるように、BIツールも使い方を知る必要はあります。
でも、一見、難しそうに見える、データの集計と可視化が簡単にできることが、BIツールの画期的なところです。
■社会医療法人 愛仁会での診療圏分析
https://business-map.esrij.com/casestudy/2751/
社会医療法人 愛仁会では、診療圏分析にBIツールを使っているようです。
インタビュー記事から一部抜粋します。
愛仁会では施設長が集まる会議、役員会議等様々な会議の場があり、施設の数が増えるにつれ会議資料の枚数が増え、資料を作成する手間とコストも大きな負担となってきていた。立場や物の見方が異なる参加者が、資料論点の把握に時間がかかり、協議中の資料も探しづらいとの声もあがってきた。
そこでまず、BIツールを活用することで大量のデータから必要な情報を整理して提供することを実施した。会議出席者全員が同じ資料を閲覧しながら協議し、タイムリーに状況把握し考えることができるようになった。また、わかりやすさを重視して、試験的にBIツールとGISを連携させた診療圏分析を実施したところ、地図はイメージに残りやすく会議でもっとも関心の高い結果が出たため導入を進めることになった。
たくさんの会議資料を使うのではなく、BIツールで可視化した画面を見ながら協議を行ったという事例です。
BIツールでは、一つ一つレポートを作成しなくても、画面上で地域を選択すれば、その地域のレポートが一瞬で出来上がります。
しかも、レポートの気になる部分がでてきたら、その気になる部分を深堀りしていくこともできます。
ExcelやWordやPowerPointで資料を作って、印刷するのはとても大変な作業です。BIツールを使うと、一つ一つの資料を作る必要がなく、効率的な会議をすることができるようになります。
BIツールでできる4つのこと
先に、具体例を見ましたが、BIツールには4つのできることがあります。
①データの可視化
データを自動的に集計し、必要とするグラフやレポートを簡単に作成してくれます。会議などで報告するグラフやレポートをBIツールで準備しておくことで、データを更新さえすれば、あとは自動的に可視化してくれるようになります。
②分析しやすい形にデータを整える
短時間に、視覚的にデータを分析、表現できるようにあらかじめデータを整えておいてくれます。
BIツールを使うときには、Excel等で用意したデータを取り込みます。すると、自動的にBIツールが分析しやすいデータの形式に変換してくれます。私たちが普段使っているデータをそのまま取り込むことができるからこそ、BIツールは誰でも使いやすいものになっています。
③データマイニング
マイニングとは、採掘するという意味です。人が手動で膨大なデータから何か発見する(採掘する)というはのとても難しいことです。膨大なデータを簡単に、一瞬で可視化してくれるツールだからこそ、データから何かを発見することができるようになります。
④ダッシュボード機能
ご紹介した、政府CIOポータル 医療提供状況(β版)がまさにそうですが、BIツールで可視化したデータは、ブラウザの画面内で表現し、自分以外の人にも公開することができます。
チーム内限定で公開して会議や議論に活用することもできますし、広く一般に公開して世の中に情報をわかりやすい形で発信することもできます。
BIツールとExcelの違いは?
データを可視化するという意味では、Excelが最も良く使われているツールだと思います。
BIツールとExcelには、どこに違いがあるのでしょうか。
データを使うプロセスを考えると、その違いがわかります。
データを使うプロセスを私は7段階でとらえています。集める→加工する→解釈する→伝える→意思決定する→行動する→成果を得る の7段階です。
BIツールを使わずに、この7段階を行う場合、加工するステップと、解釈するステップにとても時間がかかります。
グラフを作るために、ひとつずつデータの集計と加工をしなければいけないためです。
グラフを作るのに疲れてしまって、解釈に時間をかけることができません。
また、伝えるのステップでは、パワーポイントなど他のツールを使う必要もでてきます。
Excelで作ったグラフを、パワーポイントに張り付けて、説明用の資料を作って、印刷して、という作業にも時間がかかります。
本来、データ分析は分析結果から、何らかの意思決定をして、周囲の行動を促し、成果を得るために行います。
でも、Excelを中心に業務を行うと、グラフを作るまでに多くの時間がかかってしまい、その先の伝えることや、周囲の行動を促すことまで時間を割くことができません。
BIツールの最も優れた点は、グラフを作る為に、データを集計したり、加工したりする必要がないということです。
こんなグラフを作りたいなと思ったら、ドラッグ&ドロップするだけで、グラフを作ることができます。
しかも、そのグラフをすぐにシェアすることができる為、わざわざパワーポイント等にデータを移し替える必要もありません。
その結果、データ分析の本来の目的である、「分析結果から、何らかの意思決定をして、周囲の行動を促し、成果を得ること」に時間を使うことができるようになります。
おわりに
今回は、「【非専門家のためのBIツール入門】そもそもBIツールとは?Excelとの違いは?」というテーマで書きました。
改めてですが、BIツールとは、”膨大なデータを分析して、その分析結果を仕事に活用するためのツール”です。
私たちは、今まで、データを可視化することに多くの時間がかかってしまっていました。
でも、BIツールを使うと、データを簡単に可視化することができて、可視化したデータから意味を発見したり、データを周囲に伝えていったりすることに時間を使うことができます。
データ量が増えていくこれからの社会には必要不可欠なツールになると思います。
次回は「無料で使えるBIツールには何があるのか」についてです。そちらもぜひ見てみてください。
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