斜め45°上に狂ったメロディーと陽気さ/J.G.G. - Intentos [Ediciones Populares]

Artist: J.G.G.
Title: Intentos
Label: Ediciones Populares
Format: LP
Genre: Pops
Release: 2015

スペインのバルセロナにて活動している音楽家J.G.G.の2015年作、自身が運営しているレーベルEdiciones Popularesより。

全く暗くなく、むしろ明るく陽気な楽曲であることに間違いないが、どうにもこうにもどこかが違う、そうナチュラルに狂っている。どこかチューニングがずれたような調子っぱずれである。狙ってつくれるものなのかと疑問に思うが、狙ってできたようなある種の厭らしさのようなものは何一つ感じさせず、元々こうなのだと言わんばかりの潔さ。非常に出来の悪いポップでシュールな悪夢を見せられているような、それでいて底抜けに明るいアフロな感覚を持つ短い楽曲が泡沫の現れては消えて行く。愛嬌というその一点においては紛れもなく非の打ちどころはないだろう。絵画に例えると、子供が殴り描きしたようなというか、ヘタウマな部類というか。まったく隠れる雰囲気のない狂気。

クスっと笑ってしまうというか、世の中にはこんな音楽もあるのかとポカーンとしてしまう。先述の通り、底抜けの明るさと楽曲から溢れ出している自信(狂気とも言う)のおかげか、聞いているこちら側に元気を与えてくれる。どちらかというと、こういう世界もあるのかと妙に得心してしまう。世間の目まぐるしい喧騒とは次元がズレている理想郷が果てしなく広がっていて、別の意味でメディテーティブな効果を発揮する。明日、隕石が落ちてきて地球が壊れても、それも良いかという気分にさせてくれる。