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公共交通経営者だから言える「地方公共交通が衰退するワケ」 01

全国を見渡すとバス路線、航路、鉄道の廃止が毎年のように行われている。そもそもなぜ公共交通がここまで衰退し続けているのだろうか。何回かに分けてその原因を考えてみたい。

私は学者でも無く、研究者でも無いので細かい統計データや研究事例は知らない。その代わりに自分自身で現在も公共交通機関を運営をしているのである意味そういった学識経験者の方より実情は遥かによく知っている。

一般的にはモータリゼーションや人口減少・過疎化が主因だと言われているが、それはあくまで一つの要素に過ぎない。最大の理由は単純に地元住民が乗らないからである。シンプルにその一言に尽きると思う。

実は今の人口規模でも公共交通機関が維持できる可能性がある地域はたくさんある。地域の全住民が毎月1回往復で利用するだけで交通事業者の経営は随分楽になる。例えば人口3万人の町。3万人が毎月1回でも路線バスを往復乗ると

3万人×2回×12ヶ月=72万人(延べ人数)

もちろん寝たきりの高齢者や赤ちゃんなどもいるので60%が対象者と考えると43.2万人となる。運賃を500円で考えると2億1600万円の売り上げ。これに通勤・通学・通院の3大顧客や帰省客、観光客を考えると更に乗客数、運賃収入が増える。もちろん車両の維持費、燃料代、人件費、路線数など細かい経費の計算はあるがそれは一旦置いて考えると、これだけの数字があれば十分路線維持の可能性が見えてくる。ではなぜ交通事業者は文句ばかり言ってくる地元住民、行政に対して声を上げないのか。それは地方公共交通機関の大半が赤字補填の補助金をもらっているからである。補助金を貰えば経営は出来る反面、行政・議会に主導権を握られてしまう。だから交通事業者側も面倒くさいことは避ける傾向があるし、努力もしなくなってしまう。

結局、日本の地方公共交通が衰退していく理由は交通事業者・行政・地元住民すべてにあると言える。誰のせい? 皆のせいなのです。

公共交通機関の衰退が進行している地域の皆さん。地元の首長さん、議員さん、行政職員さん、近所の方、家族、自分自身に聞いてみよう。

「ここ1ヶ月で地元の公共交通機関に何回乗りましたか?」

おそらくほとんどの方がゼロ。あなたも含めて。

だから衰退するのです。

さあこの記事を読んだ皆さん。今日から1年に1回でも良いから地元の公共交通機関に乗ってみましょう。少しは状況が変わりますよ。

公共交通の存族は地元住民の積極的な利用が不可欠なんです!

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