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創造性は"才能"ではない - 速報 #awwwardsconf Tokyo Day2

Day1に続きAwwwards Conference Tokyo 2020からの学びをお届け。


“Creativity is not a talent. It is a way of operating.”
(創造性は才能ではない。運用の一手段である)

Claudio Guglieri がプレゼンで引用していた、喜劇俳優John Cleeseの言葉。

しかし一方で、Day2は「この創造力とユニークさは真似できない、天賦の才としか言えない」と感じさせるような、印象的なセッションが相次いだ。


Smashing MagazineVitaly Friedman は、「Flashが懐かしい人は手を挙げて?」と煽りながら、メディアの視点でさまざまな小気味よい「コモディティ化を拒むデザインの形」を提示する。普通にしない、Friction(摩擦)をつくる、退屈そうなことを面白く転換する (Make boring interesting)。面白いものを集めてくる視点は、日本のWebメディアで言うとデイリーポータルZと同じ匂いを感じた。

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「無駄づくり」の藤原麻里菜さんは、荒唐無稽に思えるアイデアをIoTデバイスで動く作品に仕立て上げ、YouTube/Blogと各種SNSを用い、多言語で発信して多くのオーディエンスに届ける。《真顔で面白いことを言う》というお笑いの原則と、ソーシャルメディアの特性を丁寧に捉えたプロモーションは、地道な積み重ねでもある。


UltraSuperNewの Marc Wesseling 。案外物静かなプレゼンの語り口とは裏腹に、紹介するプロジェクト事例のインパクトは強烈だ。SKYNのコンドームフィッティングルームLazadaの"BUY ME SHIT"、ARを使った"PUMAN"。どの事例も、アイデアとしては相当パンクな飛ばし方でありながら、ちゃんとビジネス/プロモーションの企画になるように着地して、成果も出している。


そして大トリのWade & Leta。この二人は結婚しているけれど、ふつうの夫婦というより、《特別な関係性をもつ男女のクリエイターユニット》という方がしっくり来る。その関係性自体も、芸術/創造のツールになっている感じ。ビジネスとくらしの一体化。ニューヨークっぽいテイストのグラフィックを基本に、山ほどのプロジェクトを仕掛ける。LetaとWadeを見て、強烈に影響される人は少なくなかっただろう。

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そして、話はClaudioの超美麗なスライドに戻る。

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クリエイティビティが「天賦の才」ではなく、後天的に得られる技能であり、デザインできるものだとすれば、誰もが「クリエイティブ」になり得る。カンファレンスを通じて、複数のスピーカーが "Creativity" 自体を話題にしていた。《作り手》のコミュニティにあって、ユニークな存在でありたいという圧は、けっこう強いと思う。

Day1のトップバッターを務めた Henry Daubrez (dogstudio)は、 "To Leave a Mark" 《痕跡を残す》というフレーズを掲げて、制作実績を紹介した。Henryだけではなく、David (Ueno.)からも、Peter (fantasy)、Vitaly (Smashing Magazine)、Claudioからも、ひとりのクリエイターとして【普通に埋没すること】への抵抗を強く感じた。

Webの世界は、とくに均質化が進む。Commodity(経済学的な意味で言うコモディティ)という言葉も多く使われた。コモディティ化するデジタル・クリエイティブの世界で、どうしたらユニークな存在であり続けられるのか。


Awwwards Conference Tokyoは、まさに才能ではなくプロセスとしての "Creativity" を呼び起こす装置の一つだった。多様なスピーカーを知ること。多様な参加者を知ること(人見知りの私はツイッターに書き込む一方でちっとも知り合いを増やせなかったけれど……)。渇望感を共有すること。場に身を置くこと。

この場に身を置いた事実をひとつの契機として、Awwwardsに集う人々の流れをしっかり追っていこうと思った。次のカンファレンスは2月のアムステルダム、7月のトロント。数年後にまた、日本で開催される僥倖はあるのだろうか?


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Day1レポは英語でも書いています(実験)

シフトブレインさんが美しいフォトレポートを上げてくれています。こちらも。


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