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陽キャの"陰"が呼び起こされた本

正直、読み始めた時は
「もしかしたら、私にはあまり合わないかも」
と思い、疑った。

わからない言葉や読めない漢字があって、その度に検索する。
「本屋のくせに、あんまり本読まんから言葉も漢字も知らんなぁ」と自虐する。

合わないかもと思いつつも読み進められたのは、五感が刺激されたからだと思う。
今、自分は文字を読んでいるのであって、映像は見ていないのに、頭の中に鮮明に”景色”が浮かぶ。

同じ景色を見ていない、会ったこともない著者が見ていたのかな? と思われる景色が。
たぶん、合わないかもと思い始めた時から、思いっきりハマっていたのかも知れない。

人それぞれ合う文章、合わない文章があると思う。
私はどちらかというと、ご飯やデザートを食べながら読める文章、笑える、やわらかい文章が好きだ。

例えば、ひらいめぐみさん(転職ばっかりうまくなるなどの著者さん)など。

この本の著者、蟹の親子さんの文章は食べながらだと少し読みづらいタイプだった。

年始に祖父のお見舞いに行く道で読んでいたところは、物凄く重い部分だった。

病室に向かうエレベーターの中で思わず母に
「今読んでるパートがめっちゃ重い部分で、ちょっとやられてて、病院におるのキツイわ……」と言った。

「うん、そんな顔してるわ」と一蹴された。
久しぶりにじいちゃんに会うんだからコンディション整えろよと言わんばかりに。

見舞い後に行ったとんかつ屋で、続きが気になり過ぎて食べながら読んだ結果、案の定、
「とんかつ食べながら読むんじゃなかった」と思った。

家に帰り、再び読み進めると、私が最近考えていたことと似たことについて書かれていた。

「合わないんじゃなくて、蓋してたことを見ることになりそうで怖がっていたのかも」と思った。

お蔭様で私の"陰"の部分がめちゃくちゃ掘り起こされた。
気を抜いたら、私もドロッドロの文章を書き殴ってしまいそうだ。

人前に立つ時はエンジン全開の陽キャだが、
全部終わった後は誰とも喋らず、一人いたい。寝たい。

人に自分の全ては見せたくない。
守ってもらわんでいい。
構ってもらわんでいい。

人が大好きなのに、人と交わることが面倒くさい。

ここまで曝け出してくれた蟹の親子さんの文章だからこそ、読者である私も普段、あまり触れないようにしていた蓋を開けてしまったんだろうなと思った。

初めは置いてけぼりにされた気になって、疑いながら読んだけど、読み終わった後は、勝手に信頼していました。

あー、やっぱ読書っていいですね🦀
新年早々抉られたー。

タイトル:脳のお休み
著者名:蟹の親子
定価:1,800円+(税)+送料
発行所:百万年書房
発売日:2024年01月18日

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