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Power Titans: First Generation

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【俺は、平和で豊かな系(くに)に住んでいるんだと思っていた】 Power Titans シリーズ初期2作と、両者の間をつなぐスピンオフです。 時系列的にはおおむね「カストル戦記」…
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#創作小説

思念巨神ビーク:Power Titans 外伝

思念巨神ビーク:Power Titans 外伝


Part 1

 アンタレス系、惑星ハイドロン。
 ゼノンは、公営鉄道の若手運転士だった。
 職場には労働組合があったが、ゼノンは加入していない。入社式では一応“労組に入る自由がある”と説明されるのだが、同僚たちは“違法ストで賃金をカットされ、最悪の場合は処分”という噂をまことしやかに囁き合っているのだ。ゼノン自身はそうした噂を半信半疑で聞いていたが、安くはない組合費を毎月払うメリットを感じられ

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Young VANGUARD ~Draco~①

Young VANGUARD ~Draco~①


1. 天秤

《平和な地球を破壊するドロイド軍団を指揮していたのは、太陽政府に雇われたサイボーグ、「スクラップ」と「ビルド」だった!》
 ドラコは自治会館の休憩室で、“社会派”と評されるヒーロー番組を眺めていた。
「へー。攻めてるじゃん」ドラコの横でナレーションを聴いて、トリトンは感心した。
《戦う植物戦隊(ガーデンフォース)の前に現れた、過激カルト「ナイラーン」。三つ巴の……》
「……前言撤回

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Young VANGUARD ~Draco~②

Young VANGUARD ~Draco~②


3. 仲間 - 下 -

「権力の前では名前を呼び合わないように。勿論、ドラコの名前もだ」
 警察署に向かう飛行船の中で、レオンは十数人の“有志”たちに指示した。
 ドラコの逮捕から10日ほどが経つが、伐採作業はまったく進んでいない。委員会が萎縮せずに座り込みを続けていることそのものに警察は圧倒され、遠巻きに警告を発するばかりで強制排除に踏み切れないのだ。
「でも正直、意外だな」トリトンは隣の席

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