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レビットのドリルの穴理論

マーケティングを学んでいる方なら知っている方も多いと思いますが、レビット博士という方の有名な格言で「ドリルを買いに来た人が欲しいのはドリルではなく『穴』である」というものがあります。

シンプルですが「顧客目線が大事」ということを改めて認識させられる良い言葉だと思います。

お客さんから「ドリルが欲しいんですけど」と言われたからといって、それをそのまま言葉通りに受け取って「どんなドリルをお探しですか?」「大きさは?」「性能は?」と聞き返すのはマーケティング・セールス的に言うとNGということですね。


ドリルを買いに来た人にまずヒアリングしなければならないのは「なぜドリルが必要なのか?」ということです。

「趣味で日曜大工を始めようと思って」ということならドリルを売れば良いでしょう。

しかし「何かの修理をするために一回だけ穴を開けられれば良い」ということであれば、販売するのは必ずしもドリルである必要はなく、板を持ってきてもらって販売員がドリルで穴を開けてあげても良いわけですよね。

もっと言えば、よくよくヒアリングした結果その修理をするためには実は穴を開ける必要はなくて、別の何かで代用できるということであれば、

ドリルとは全く関係ない別の商品を提案することがそのお客さんに取っての最善になりうるかもしれません。

「どんな商品・サービスを作ろうか?売ろうか?」という視点ではなく、「お客さんはどんな状態になりたいのか?」というところから発想していく必要があるということですね。


電気屋なんかでもいきなり近づいてきて「このパソコンはメモリがうんちゃらで、グラフィックボードがうんぬんかんぬん」みたいなスペックの説明を始める店員もいますが、パソコンに詳しい方ならともかく基本的には逆効果です。

まず聞かなければいけないのは「何のためにパソコンがほしいのか?」つまり「Youtubeで動画をみたいのか?」「映像編集をしたいのか?」「最新の3Dゲームをしたいのか?」「仕事で使うのでネットの閲覧とメールだけできれば十分なのか?」ということです。

ネットの閲覧とメールだけだったらそれほどハイスペックのものはいらない、むしろスマホだけで十分かもしれませんが、最新の3Dゲームをしたいならそれなりのスペックのパソコンが必要になるでしょう。


こうやって聞くと割と当たり前のことを言っているように聞こえるかもしれませんが、意外と商品・サービスを作ろうとする時にここの視点が抜けている場合も多かったります。

特に商品やサービスへの愛着が強くなりすぎると「顧客目線」というのが抜けてしまいがちです。

「見込み客の5つのLevel」という記事でも書きましたが、お客さんは自分の問題の解決方法を自分自身で正確にわかっていないケースも多々あります。

本当は他にもっと有効な解決策があるのに「これを修理するにはドリルを買って穴を開けるしかない」と思い込んでいるだけかもしれません。

なので表面上のお客さんの言葉をそのまま全て鵜呑みにするのではなく、しっかりとヒアリング・リサーチを行って

「本当の問題、欲求はなんのか?」
「お客さんはどんな状態になりたいのか?」
「その状態になるためにはどのような解決策を提示してあげるのが最適なのか?」

ということを考えていかなければいけないということですね。


個人的にはレビットのドリルの穴理論は「顧客目線が大事」ということと共に、顧客目線になるためのヒアリングやリサーチの重要性も示していると思います。

自分目線にならないよう、自戒のために定期的にこの言葉を見返してみても良いかもしれませんね。

少しでも参考になりましたら幸いです。



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