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140字小説【泥棒猫】

人混みでは森に隠れる木の如く周囲に溶け込み距離を詰める。人通りの少ない道では長めに距離をとる。ずっとつけてくるあの人は探偵だ。偶然、近くで激しいクラクションが響いた。探偵の注意が離れた一瞬の隙に、私は素早く路地に駆け込み野良猫に姿を変えた。近頃は浮気するのも一苦労だ。

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