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SS【覚醒した男】


プルルルル プルルルル 仕事のある日はいつも五時四十五分に携帯のアラームが鳴る。

目覚めの悪い日は二度寝する。

五分おきにアラームが鳴るようにセットしてあるので寝過ごす心配は無い。


冬の朝はいつまでも寝ていたいものだ。

仕事は八時からということもあり、もう、五分、もう五分と起床時間はダラダラと伸びていく。


しかし今日のぼくは違った。

アラームと共に脳が覚醒した。

ぜんぜん眠くない。

頭がスッキリとして感覚が研ぎ澄まされている感じだ。

情報処理能力も上がっている気がする。

視界は明るく、いつもは聞こえない車の通る音も聞こえる。



ぼくはアラームを止めようとした。

「ん??」

携帯画面に表示されている文字を見て、ぼくは更に覚醒した。


目覚ましではなく会社からの電話だ!!

そう、今は五時四十五分ではない。

七時四十五分である・・・・・・。


「すいません! 今から出ます!!」


ぼくは今、遅刻届けを書いている。


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