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SS【神様ガチャ】


年の初めに昨年達成できたことを神様に報告すると、それと波長の合った神様が一年間応援してくれる。

そんな言い伝えのある神社に男はやってきた。

若い人の間では神様ガチャとも呼ばれている。

男はありのままを伝えた。

「神様、昨年も病人のふりをして生活保護で生活することができました。ギャンブルがやめられないせいで、食事は一日一食でした」

男は神様への報告が終わると一回百円のおみくじを引いた。百円は払わずに払ったふりだけした。

書いてある内容が気に食わなかったのか、舌打ちして引いたおみくじを人混みにまぎれポイ捨てした。


すると男を応援する神様が現れた。

男はショッピングモール内のベンチに誰かが置き忘れていたくじ引き券で何度もくじを引いた。

なんと大当たり連続で高級家電が当たった。

冷蔵庫にエアコン、洗濯機にオーブン、男は神様への報告が効いたと喜んだ。

当たった家電を使い始めてすぐに、役所の人間がやってきてこう言った。

「ずいぶんと高そうな家電を揃えていらっしゃいますね。余裕がお有りのようなので申し訳ありませんが生活保護は打ち切らせていただきます」

男はくじで当たったことを説明したが、男がしたくじをするには数万円分の買い物をしなければできないものだった。正月からそんな買い物をする余裕があるなら生活保護を出すわけにはいかないと、役所の人間は怒って帰ってしまった。


それから一ヵ月もしないうちにに当たった家電はすべて壊れた。

どういうわけか保証書も見当たらない。

結局捨てることになり、多くの処分代がかかった。


男は再び生活保護を受けるため精神科へ行き、うつ病の診断書を書いてもらおうとした。しかし先生は変わっていて、今度の先生は仮病をすぐに見抜いて相手にしなかった。


男はしかたなく働きだしたが、怠けた生活を送っていたせいで成果は上がらない。

給料も上がらず、心の狭い男は誰からの信頼も無かった。

それでも男は必死に働いているつもりだった。

身体にも心にも疲れが溜まり、そろそろ本当に病み始めたある日、男はふと鏡に映る自分の背後に何か黒い影のようなものを見た。

それは人の形をしており、暗く沈んだ表情でこちらを見ている。


男を応援していたのは貧乏神だった。

一年間は離れないだろう。

男の神様ガチャは成功した。



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