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SS【送り込まれた何か】


男が部屋の中でクシャクシャにしたメモ用紙を投げると、大きく弧を描き、一メートル先のゴミ箱を通り越した。

しかし、何かに当たり跳ね返ったかのような動きでゴミ箱の中へ落下した。

男は言った。

「君が誰かは詮索しないよ。ずっと居候していたことにも目をつむろう」

男は少し間を置いてから話を続けた。

「新しい居候先が見つかるまでこの部屋に居てもらっても構わない。ただ一つだけ条件がある。明日の夜、一人女が訪ねてくる。その女が帰る時にタイミングを見計らって車道に突き飛ばして殺してほしい。条件はそれだけだ」


翌日、女が訪ねてきた時には規制線がはられ、警察が立っていた。

女は誰も居ない通路の隅に向かって声をかけた。

「おいで、帰るよ」


後日分かったのは、その部屋で殺人事件があり、男の首には噛み切られたようなあとがあったということ。

部屋の中には誰もおらず、窓は施錠されていた。侵入されたような形跡もなく、扉の前を撮る監視カメラには誰も写っていなかったことで、事件は迷宮入りした。

事件にはたった一つだけ謎が残っていて、男は襲われた時に通報しており、男の叫び声と共に興奮した猫のような声が聞こえてきたらしい。


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