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SS【灰色の地下迷宮】
人は人生で何度も地下迷宮へと迷いこむ。
数日だったり、数年だったり、あるいはそれ以上。
現実から逃げたくなった時。
今ある幸せに目をつむり、無いもの探しを始めた時。
試練の時。
冷たい灰色の地下迷宮を歩いていると、もう信じられるものもなく、何もかも投げ出したくなってくる。
先の見えない暗く冷たい通路を行ったり来たりとさまようだけ。
迷宮の奥へ向かったまま帰らぬ人もいる。
ある日誰かが助け出してくれるわけではない。
自ら脱出のルートを探し出すしかないのだ。
でも人はいつか気づく。
困難に見えても、確かに先に進む道は存在すると。
その足場は意外としっかりしていて、空気もあると。
地下迷宮に照明と暖房がつくのを待っていても時間の無駄だと。
そして困難な冒険の旅に出るために地下迷宮のマップを作成し始める。
自分を変えるために。
誰かを守るために。
人生を豊かにするために。
終
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