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SS【四人の犯罪者】


四人が話をしている。


最初にミユキが口を開いた。


「あの男、ワタルだけは許せない。あいつはとことんクズよ!!」


四人の中で一番優しいタカシが心配そうに答える。


「どうしたんだよミユキ。浮気でもされたのか?」


ミユキは首を小さく横に振る。


「そんなもんじゃないわよ。結婚詐欺よ!! 私から片手もお金を借りといて消えたのよ。社長夫人として迎えたいとか言ってたあいつが」


四人の中で一番短気で怪力のレイジが反応した。


「片手って五十か?」


ミユキは目をつむり大きく首を横に振った。


「五百万よ」


「はぁ!!?? まじか!! ありえねえ」


レイジの口調に強い怒気がこもる。


静観していたサトルが口を開いた。四人の中でもっとも口数が少なく沈着冷静であるが、もっとも闇が深いキャラでもある。


「俺たち四人で探し出して殺そう」



それから二年後。

ミユキたちは夜の街でワタルを見つけて追い詰めた。


お金を返せと怒るミユキに対し、開き直ったワタルはこう言った。


「俺はお前からお金を借りた覚えなんてねーよ。顔洗って出直してきな。それとも力ずくで奪ってみるか。もっとも今は金欠でな、ギャンブルで使い果たしたからお前みたいなカモを探しているのさ」


言い終わったかどうかというタイミングでレイジがワタルを担いでワタルの車のフロントガラスに投げつけた。

フロントガラスは割れ、車の中につっこんだワタルは苦しそうな表情を浮かべた。

おそらくワタルは何が起こったのかも理解できなかっただろう。

なぜなら小柄で細身のミユキが、百キロ近い巨漢の自分を軽々と投げたのだから。


「変わろうか」


ミユキの中の誰かが喋った。

サトルだった。

サトルはレイジと交代すると車に乗り込み、まだ身動きの取れないワタルをナイフで滅多刺しにした。

ワタルが息を引き取ったのを確認してミユキと交代した。


姿形はずっとミユキである。

ミユキは多重人格者であり主人格であった。

状況に応じて切り替わるのだ。


タカシはため息をついてから呟いた。


「はあ、またやってしまった」


レイジが反応する。


「今回はあのワタルって奴が悪いだろ。自業自得だよ」


そして四人はサイレンの鳴り響く夜の街から去っていった。


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