見出し画像

〜 わたあめ姫の冒険 Vol.2 〜





物語のあるリボン作家『いろいと』です
私の作るリボンには1つずつ物語があります
手に取って下さった方が、楽しく笑顔で続きの物語を作っていけるよう心を込めて作っています
ストーリーは、一つではなくどんどん増えていくもの、これからのストーリーを作るのは、あなた
あなただけのストーリーを楽しんで行って下さい♡
こちらでは、リボンの物語を紹介しています楽しんでもらえたら嬉しいです♪


〜 わたあめ姫の冒険 〜

文化祭は、忙しい
毎日の授業の合間や、放課後は出し物の練習。衣装作り。話し合い。そして言い合いになることも
色んな思いが錯綜する文化祭は、高校生活の醍醐味でもある
文化祭委員になった私は、高校初めての文化祭ということもあり、少し張り切っていた
あれやこれやと引き受け、手一杯になりながらも毎日を何とかやりきっている
文化祭の準備も中弛みが出始めた頃、やはり不満は出てくるものだ
『もうすぐ文化祭楽しみだけど、ちょっと毎日はキツイよね、今日は帰りたいわ』
『私も、ちょっとなぁ』
クラスでも目立つ一人が口を開くと、それは水面の波紋のように、一瞬で輪となり広がってゆく
ざわざわし始めてきた事に気が付いた私は、また背負ってしまう
『あ、それ私やっとくよ?たまには、早く帰る日もいるよね!今日は、早く帰る日にして明日から頑張ろう?』
『ほんと?いいの?じゃあ、今日は私達帰らせてもらうね』
『まじ?ありがとう!』
『さっすが委員長頼りになるわ!』
そう言って、半分以上のクラスメイトが後片付けもせずに教室を出ていってしまった
残った生徒はどちらかと言うと大人しめの子達が6.7人私を見つめる
『明日みんなでまた頑張って看板作ろうか?』
『じゃあ・・・』
少し申し訳無さそうに残りのみんなもカバンを手に教室を出ていった
『あ、片付けだけは一緒にしたかったかも』
そう言いながら私は落ちている『わたあめ姫の冒険』を拾い、一人教室に残り看板の後片付けを始めた
『あ?何でお前一人?』
丁度、ペンキを取りに行っていた彼はガランとした教室へ帰ってきた
『あ、えっと、毎日遅くまでみんないてくれるから早めに終わろうって今帰ってもらったんだ!だからいいよ?帰って』
『はぁ?何言ってんの?これ一人で片付けるって相当時間かかんぞ?とりあえず片付けるぞ!』
そう言って彼は帰らず一緒に片付けてくれるのだった
·
次の日その次の日も、何かと理由を付けてサボる人が出始めてしまう
これはヤバいと思いつつ、打開策が見つけられない
『ごめーん!今日、家に荷物届くから受け取らなきゃいけないの』
『今日は、一緒にやろうって言ってたしやろうよ?』
『分かってるよ、明日からはちゃんと手伝うから!』
顔の前で両手を合わせ、拝むように頭を下げる彼女
何とか残ってもらおうと必死になる私
そこへしびれを切らした男子が口を挟む
『おい!お前らサボってんなよ!ちゃんとやってる奴らに申し訳ないって思わないのか?』
『はぁ?出たよエースくん。人気者は違うね。私達は明日からやるって言ってんじゃん』
この間一緒に片付けをしてくれた彼は、野球部のエース。だからたぶんエースくん
学校でも、ちょっとした有名人で誰にでも優しく漫画に出てくるような好青年
女子には人気のある人物だ
『毎日、一生懸命やってる人に失礼だろ?それに高校生活初めての文化祭なんだし、もっと楽しもうぜ!何で協力的になれねーの?今年の文化祭は、今しか楽しめねーのに、もったいねーなお前ら。一緒に楽しもうぜ?』
『うっ』
正論を言われる彼女たちは、返しの言葉が見つからない
『まぁ。楽しむ楽しまないは人それぞれだけど。今を精一杯楽しんでさ!将来、今日の事を思い出した時、めんどくさかったって思うより、楽しくていい思い出だったって言う思い出にしたいじゃん?一緒にやろうぜ!なっ!』
眉間に皺を寄せながら、彼女たちは目を見合わせる
『わ、分かったよ!悪かった!ちょっとサボったくらいでこんなに言わなくてもいいじゃん』
『なんだよ、もう!仲良くやろーぜ!ほら!みんなもサクッと進めてこーぜ』
重く黒くなっていた教室が、彼の言葉で一瞬にして明るく一変した
くすっと笑う声が聞こえ始め、雰囲気が良くなっていく
·
ポンと肩を叩かれ、右側にいる彼に目を向けた
『ありがとう言ってくれて』
『お前もさ?全部、背負い込むなよ。みんないるだろ?俺に出来る事もあるし、分担しろよ。みんなの文化祭だろ?』
『そうだね。うん!ありがとう』
『おっしゃ!今日はみんなで一緒に片付けするか』
そう言って私の頭をポンと叩いて、爽やかな笑顔を私に置いてった
叩かれた頭を自分で撫でながら、彼がペンキを持って看板を作る姿を目で追う
彼の周りだけ明るく楽しそうに見える
『よし!』
私は、気合を入れ直して文化祭の準備に取り掛かる
初めての文化祭。みんなで全力で楽しむんだ。
日が暮れ辺りは暗くなる頃には、賑やかな教室達が、眩しく光り輝いているのだった
·

『はじめまして、いろいとです』へ戻る


読んで下さり、ありがとうございますm(_ _)m


コメントやスキもらえると嬉しいです♪励みになります♪頑張ります!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?