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くずれゆく経済の気配と、私の髪の毛

銀行が潰れたりして、不穏な雰囲気漂うアメリカ。日本でも報道されてるとは思うけど、インフレがすごい。ニューヨーク市も、かなりきてる。

ただ、インフレと言っても、どういうわけか、アメリカの物価について、日本での情報は、大袈裟すぎるものがある。例えば、ツィッターで、卵がアメリカで二千円と見たけど、ニューヨークで、そこまでは、見たことない。高くても、12個10ドル(有機)というところ。私が買ってるのは、有機で、6、7ドルまで。

日本の情報は、当てにならないのも、あるけれど、ニューヨークの物価高は現実問題である。街の中心部で、喉が渇いた時、水のボトル(中くらいの大きさ)5ドルと、コーヒー売ってるレジの人が言うので、「クレイジーやね。」と言うと、「ほんと。」と同意していた。その時は、どうしても飲み物が欲しかったので、買ったけど。そういう店は、クロアッサン5ドル近く、ケーキ一切れ、7ドル、8ドルとかである。

こういうことに懲りると、飲み水やおやつを持ち歩くのを、忘れないようになる。忘れたら、遠回りしても、並んでも、スーパーなど安めの店で買っていく。レストランは、まず行かない。最初は、水筒だけ持って歩いてたけど、今では、時々、コーヒーも、蓋つきのカップに入れて、外出している。

先日、日本製のシャーペンを10ドルで買って、すごく散財した気分だったのだけど、今日、なくしてしまったことに気がついて、ショックを受けている。こうなると、物やお金を大事にするようになるし、作れるものは、自分で作るようになる。お菓子も手作り。

ところで、私は、美容院は、日本人のオサムさんという方が経営するお店に、ずっと行っている。オサムさんは、とても上手いのだが、お高い。ずっと前、カット100ドルだったけど、数年前に、110ドルに上がって、今は知らない。

半年から1年に1回しか、行かないし、2022年は、9月に日本に帰国した際に、切ったので、最後にオサムさんに会ったのは、2021年だったかもしれない。カット110ドルと言ったけど、プラス、税金、さらにチップを25ドルとかするので、150ドル近くになる。これでは、たまの贅沢という感じである。

最近、髪の毛が伸びて広がって来ている。オサムさんとこ、高いしなぁと思って、いつも髪が、きれいに揃ってる日本人の友人に、「どこで切ってるのですか。」と聞くと、「自分で切ってる。」と言う。ここ30年、美容院に、行ってないらしい。さらに、もう一人その場にいた女性は、髪染め、カット、パーマ、全部自前でやってるという。

髪が多く、癖毛なので、自分で切るのは無理だと思ってたけど、「ほんじゃ、ものは試しに、やってみるか。」となり、生まれて始めて、顔の横の髪を、4、5センチ自分で切ってみた。前髪は、前にも切ったことあるから、抵抗なかったけれど、横に関しては、動画やブログを参考にした。すきバサミが良いと言う情報もあったけど、真っ直ぐのハサミを使用。

コツは、一気に切らずに、数日に分けることのようだ。数日前、前髪と顔周りを切ったら、髪がおさまった気がした。さらに、今日は、側面をちょっと切った。まだ、後ろを触る勇気はない。今の感じだと、美容院なしは、まだ無理だけど、間隔は延ばせそう。

インフレで、よかったことと言えば、今まで人任せが当たり前だったことを、自前でするようになったこと。プロに頼むしかないと思ってたことも、実は自分でできることを発見すると、「今まで、何だったのか。」と思う。

20世紀後半の生活は、昔の自分でしていたことを、専門家にしてもらうという生活スタイルで、雇用が生まれ、経済が回って来た。けれど、そろそろ、大量消費の時代も、日暮が迫っていて、私の『おうち髪切り』は、その現れなのかもしれない。



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