還暦超えの敏腕社員に学ぶ『柔らかいマネジメント術』について話したい
還暦をとうに超えて、まだまだ現場を取り仕切っている敏腕社員がいる。
初めて出会ったのは4年ほど前。当時はごく普通のちょっと気弱そうなベテラン社員。
それほど凄い人という印象は持っていなかったのだが、じりじりとこの人の凄さが分かってきた。
たぶん、30代40代のキレの良いマネジメントとは真逆をいく、柔らかいマネジメント術に僕が凄いと感じる何かがあるのだろう。
分析して、ちょっと整理してみたいと思う。
人を責めない
昔は同期や開発メンバー(多国籍)にイライラすることはたくさんあったそうだ。
だが、そのイライラを周りの人が不快にならないように吐き出している。
少林サッカーのゴールキーパーが、弾丸シュートを太極拳で柔らかぁく受け止めてしまうのに似ている。
(あ、えっと、イライラが弾丸シュートだとして、それを太極拳いや合気道のように柔らかく受け止めてから発言しているってことです分かりにくい例えでごめんなさい)
この柔らかさは何なのか。ずっと発言を聞いていて気付いたことがある。
最初は批判や文句から入るのだが、最後は笑いに変えているのだ。
「あいつが『〇〇!』ってまた適当なこと言うんだよな~…
まぁ『へへ~い!』って分かったふりするんだけどさ!」
ムカつくことはあっても、最後は自分の感想に落とし込んで自分事で終わったり、相手の発言を少し誇張して面白い感じで言ってみたり。
絶対に笑いで終わるので、周りの人も笑って受け止められる。
これはいろんなところで使えるテクニックだなぁと思っている。
自分が理解できるまで聞く
基本的に謙虚だ。
謙虚でいると得することはたくさんあるが、関わる人みんなが親切にしてくれるのが大きい。そしていつの間にか人望の厚い人になっている。
謙虚だからと言って、ミーティング中は物静かかというとそうでもなく、少しでも分からないことがあると、躊躇なく時間を戻して説明を求める。
「周りのメンバーは知ってるだろうから、後で聞いておこう」
みたいな先送りは絶対にしない。
その場で理解するために、適切なタイミングでしっかり質問する。
そしてこの人の凄いところは、相手に説明してもらった後、必ず自分の言葉に置き換えて言い直し、認識が合っているかをちゃんと確認するところだ。
僕がよくやってしまう失敗なのだが、セミナーなどで質問して、登壇者が回答してくれた内容をよく理解しないまま、「ありがとうございました」と言って、緊張から早く解かれようとしてしまう。
自分の言葉に落とし込んで咀嚼するという作業をしないで分かったふりをするので、自分の知見が溜まっていかない。
知見になっていないと気づくのは、相手に説明ができないときだ。
説明できずに「なんか〇〇って誰かが言ってた」と濁して終わってしまったときに激しく後悔するのだ。
周りの人の理解度など関係なく、自分が理解するまで聞く。
自分の言葉で説明できないとリーダーシップは発揮できない。
自分が拡声器と化して、誰かの言葉をそのまま言っているだけでは誰も動かない。
とにかく資料化する
自分を過信していない。
どうせ忘れるからと、とりあえず手順や開発の要件を息を吸うように資料に残す。資料に残すことが苦ではないのだ。
誰かに説明するためという目的ももちろんあるのだが、それと同じくらい自分の頭を整理するために作っている。
説明するというよりは、「自分はこの認識なんですが相違ありますか?」というスタンス。
びっしりまとめられたパワポのスライドをちょっと高圧的に説明する人をよく見かけるが、それとは全く真逆だ。
資料とは自分の認識を文字化・図解化した物。
ミーティングの場では、「自分がどのくらい理解しているか」相手に分かってもらうために「伝える」という作業をしている。
認識の相違があればすぐに修正し、細かく認識合わせする。
そうやって出来上がった資料は、誰が見てもとても分かりやすいものに仕上がっている。
システム開発において、仕様が分かりやすく整理されていて、しかも漏れがないドキュメントはプログラマーにとってとてもありがたいものだ。
僕が思ったこと
これらを自然な振る舞いで実践できている。これが柔らかいマネジメントの秘訣だと分析している。
年を重ねて丸くなったから成せる業なのだろうと、この記事を書く前は思っていたが、改めて整理してみると心掛け一つで誰でもできそうな気がした。
何一つ特別なスキルは必要なくて、仕事に向き合う姿勢を変えるだけ。
今すぐ実践したいところだが、今日は休暇。
来週から僕は、柔らかく、なる!
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